依頼人A-1人目の少年
雨川遊園地に現れ、大量殺人予告をして消えた謎の少年霊。
その正体を確かめるために、霊能力者大神もまた調査を続けていた。
「中は案外普通なんだな」
大神は一人遊園地の管理室に忍び込んでいた。
殺風景な部屋の中、複数の機械があるが大神には詳細な理解はできなかった。
「来てみたはいいが、することもないか」
大神の周りには二人の男が椅子の上でスヤスヤと眠っている。
流石に件の霊のこともあり、警備も厳しくここに来るのには一苦労した大神は、こんなことなら最初から相宮に頼めばよかったと後悔した。
しかし、彼女を信頼するにはまだ謎が多すぎる。
特に相宮は幽霊を信じていない言動をしながら、依頼をしてきたのは大神の中で引っかかっていた。
「……ん、あれは?」
大神が部屋の中のモニターを見つめる。
「なるほど、少しは来た甲斐あったようだ。何となくだが掴めてきたぞ」
大神はモニターの映像をスマートフォンの写真に収めると、管理室を後にした。
大神が部屋を出ると、中から何やら慌ただしい物音が聞こえる。
眠っていた二人が起きたのだろう。大神は気にせずこのまま遊園地の中を調査することにした。
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「どうして……。こんなこと」
昼間に差し掛かり公園の中に人も増えてもいいというのに、辺りは人ひとり霊一人いなかった。
そんな中公園の中にはただ二人、不幸な交通事故で死んだ少年佐藤勇太と、彼を調べに来た霊能力者外里真夜。
少年は膝をついて疲れ切っているのに対し、真夜は霊力でつくった爪を出したまま息一つ乱さないで立っている。
真夜を飲み込んだ少年の霊力は、真夜の爪によって無力化されていた。
「なんで、なんで平気なんだよ!」
「言ったはずです。私は『四獣』の力を使えます。あなたの力は強力ですが私に勝つことは出来ません」
「うるさい、うるさいうるさい!」
少年は力を振り絞り、残った霊力を真夜にぶつける。
青白い弾丸形状の攻撃が真夜に襲いかかる。
が、真夜が少し爪を振っただけで煙のように消えてしまった。
その光景を見て力なく倒れる少年。
「霊力はあなたたち幽霊にとっての生命源です。いい加減にしとかないと消滅してしまいますよ」
「……」
少年はゆっくりと起き上がると、周囲を見る。
今まで気にもしてなかったが、周りに人がいないのを見ると、
「どうして人も霊もいないの?」
と、真夜に問いかけた。
「人払いのようなものです。この戦闘、普通の人見たら私が一人で暴れてるだけですから。霊に関しては巻き添えを恐れて逃げただけですよ」
「母さんは?」
「大丈夫、ちゃんと家に戻られてます」
「そっか、なんかもう疲れちゃった。じゃあね、お姉さん」
母親が無事なのを知ると少年、佐藤勇太はどこかへ消えていった。
少し彼のことも気になったが、今回の目的ではない。
真夜は次に向かうことにした。




