大神霊能相談所
応接室で1人静かにコーヒーを飲んでいた大神は、玄関の閉開音で小煩い助手の帰宅を悟った。
無遠慮にして静かな足音はやはり助手、外里真夜の部屋に向かってく。
大神は特に気にせず、近くにあったテレビのリモコンを手に取り、電源を入れた。
テレビをつけたのはいいものの、これといって観たいものもなくチャンネルは行ったり来たりを繰り返していた。
数分した後、自室にいた真夜は大神のいる応接室に入ってきた。
「ただいま帰りました」
制服から青色を基調とした私服に着替えた真夜が応接室のドアを開けて、ソファに腰掛けている大神に向かって言った。
「ん、おかえり」
コーヒーを飲みながらテレビを見ていた大神が横目に返事をする。
「大神さんがテレビ見るのは珍しいですね。なにか面白いのがやっているんですか?」
「いや、これといった目的はないんだ。現に今やっているのも雨川市の観光名所紹介で正直見飽きてる」
ため息混じりに大神が答える。
「見てみると新しい発見があるかもですよ。
えーと、今は水族館ですか。行ってみたいですね」
「ああ、明日イルカのショーをやるとか言ってたな」
「そうなんですか!私イルカ好きなんですよ、どんなショーなんだろう」
そう言いながら真夜は台所に向かう。
「解体ショーかもな」
「やめてください、もしそうだったら主催団体を呪い潰します……。っと、電話ですね」
物騒な物言いの真夜が、電話になっているのに気づく。
すかさず大神が受話器を取った。
「はい、大神霊能相談所です。…はい、いつもお世話になっております」
電話の応対をする大神。
「はい、ではお待ちしております。失礼します」
相手が切ったことを確認すると、大神は静かに受話器を置く。
「お客さんですか?」
真夜が大神に聞く。
「ああ。随分急だが今から来るそうだ。5分程度で着くと言われたんだが、真夜は何かこれから用事はあるか?」
今度は大神が真夜に問いかけた。
「いえ、ありません。では、お茶の準備をしますね」
「お茶は来てからでいいよ。何人かわからないし。
あ、でも俺にコーヒーのおかわりくれる?」
「はい、わかりました」
クスッと笑って真夜はコーヒー豆を取りに行く。
コーヒーが出来上がるまで相変わらず目新しい情報のないテレビを見る大神。
雨川の観光情報は、水族館から遊園地に変わった。
雨川遊園地、大神は行ったことはないが、雨川市民なら誰もが知る観光地だ。
テレビをみてるうちに、後ろでお湯の沸いた音がすると共に、いい香りがしてくる。
「できました。熱いのでゆっくり飲んでくださいね」
真夜はそう言いながら、コーヒーカップをテーブルにおいた。
大神がカップに手を伸ばすと同時に、タイミング良くインターホンが鳴る。
「……。少し冷まして飲むことになるな」
カップの方へ伸ばした手を戻して、大神はゆっくりとソファーから立ち上がった。




