第五話 イラストレーターはつらいよ
今は午前一時を回ったところ。
彼此、二時間は経っただろうか?
「う〜〜ん どうするかな?」
俺はずっと同じセリフを呟きながら白紙のPC画面を見つめている。
原因は、今回の新作第五巻の挿絵のついてだ。
「ダメだ… 全く思い浮かばない… 」
俺はPC画面を畳んでその上に突っ伏した。
正確に言うと、思い浮かばないわけではない。どの場面を挿絵にするか絞れないのだ。
「はぁ 小泉先生にあれだけ見栄を切った手前、いい絵を描きたいだけど…」
面白過ぎて場面を絞れないんだよーーー!
こんなことは今までになかったのに、小泉先生どうしたんだ?
一気に覚醒したのか?
いつもあんなふざけた声している癖にやっぱりあの人は天才だよ。
ライトノベル作家とイラストレーターは表裏一体の関係である以上、作品だけが良くても
読者からの好評は得られない。
得られないと言うよりも俺自身が納得出来ない。
俺は自分で納得したもの以外を人に見せられる程天才ではないし、自信家でもない。
だからこそ、俺自身が納得したものをみんなに見てもらいたい。
「って、言うことはカッコいいけど、現実は辛いな…」
俺は一旦考えるのをやめて、喉の渇きを潤す為にリビングへと向かった。
「あれ? まだ誰か起きてるのか?」
俺の父さんはいつも帰ってくるのが午前様が多いので、いつもの様に父さんが帰ってきたのかと
思ったが。
「あれ? 瞬。こんな時間にどうしたの?リビングに来るなんて珍しいね?」
もう午前二時を過ぎているのに姉ちゃんはまだ起きていた。
この時間に起きているのは俺には珍しくないのだが(締め切りが近い時は特にな)
確かにリビングに来るのは珍しいかな。
「姉ちゃんこそ、こんな時間まで起きててどうしたのさ?」
姉ちゃんはかなり眠いのだろう、目を擦りながらも笑顔で。
「ん お父さんが遅くなるみたいだから起きて待ってたの」
え? 父さんが遅くなるのはいつものことだけど、まさか姉ちゃんはいつも父さんが帰って
くるまで起きて待ってたのか?
「まさかいつも父さんが遅くなる時は姉ちゃんも起きて待ってるの?」
「うん そうだよ。だって真っ暗の部屋に帰ってくるのって嫌でしょ? 」
マジかよ? 確かにそうかもしれないけど、毎回毎回こんな遅くまで一人で待ってるのだって
かなり辛いと思うんだけど。
しかも明日は平日だから姉ちゃんだって学校があるのに。
「お父さんが帰って来るまでもう少しかかるみたいだから瞬はもう寝なさいね」
「う うん 姉ちゃんこそムリしないで早く寝てほしいけど…」
「いつものことだから。それにお姉ちゃんの心配するなんて三年は早いぞ」
今時そんなセリフを言う平成っ子はいないと思うが俺には姉ちゃんがすっごく眩しく見えた。
俺は部屋に戻ってくると早速仕事の続きに取り掛かった。
姉ちゃんに負けていられないと思った俺は時間も忘れてひたすら作業に没頭した。
こうして発売された小泉先生の新作『怪盗ツインシスターズ 第五巻』は世間の期待を
裏切る事ない、申し分のない発行部数を叩き上げたそうだ。
すっごく久しぶり過すぎて内容が支離滅裂だったりしたらごめんなさい