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色織  作者: 千坂尚美
二章 紅灼城編
31/144

鉄板

おはなし2-5(31)  


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

「ウラァアアアアアアアアアアアアアアアアワッシはクマじゃねぇぞぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおうっい!!!」

ドガァ!ドガァ!ドガガガガァ!!!

デコボコに突き出した岩々をハカイしながら猛進するマツボ(巨大化版)。

「ウラァァァァァァァァワッシは、ワッシはクマじゃ…ねぇえええええええええええ!!!。」

ポカポカポカポカ

飛んでくる小石をものともせず直進し続ける。その勢いはすさまじく次々とレーサーたちを追い越していく。それをモニタで見ているギャラリーたちは…。

「おお、すごいぞ!」

「何だあのクマ!」

「ありえねぇ!」

「何ということでしょう!これが緑の国の血の力か!マツボ選手、激進!」

そうこう言う間に三つめの試練、洞窟の一本道へと突入するマツボ。

「あいつ…何だよアレ、こんなんなるなら最初から使っとけよ。」

「いや、サト…これはなんというか…反則的な所があるから…。」

「てかツムグ、早くスタンバイしとけよ。あのクマ、すぐに出てくるぞ。」

「う、うん。」

ツムグはレーンへと歩いていく。それから数十秒後、

ドガァアアアアアアアアアアアアアアア!!!

モニターから大きな音が響く。見ると、洞窟の出口が大きく大破し、そこから複数のレーサーたちが放り出されたではないか!犯人はもちろん我らがアイドル、マツボである。

「ラッラァァァァァわっシはクマじゃねクマじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「おおお、マツボ選手、何やら叫びながら、ラストスパートです!」

ドドドドドドドドドド

都の町を駆け巡る大グマ。雲に乗ったツムグの元へと猛ダッシュで迫ってきて…そして、

パン!

マツボの大きな手とタッチを交わす。そして、ビュン!ツムグは勢いよくスタート!

「マツボ選手、あっという間にゴールしました!これで現在21位。あと一人、あと一人抜かせば二回戦へ進めます!さぁ緑の国のツムグ選手、抜けるのでしょうか!!?」

『がんばれぇ――!!!』

観衆からもエールが飛ぶ。一方ゴールしたマツボは、疲れ切って元のサイズに戻っていた。そこへ駆け寄る花とサト。花はギュッとマツボを抱きしめる。

「マツボ、すっごい!よくやったね!!」

「まさか、お前にあんな力があったなんて、ぶっちゃけナメてたぜ、お前のこと。」

「花はん、サトはん…。」

「さて、あとはツムグ次第。がんばれよ…ツムグ。」



 コォォォォォォォォォォォォォ

 風を切る音と共にコースを疾走するツムグは、はるか先に見える20位の選手を目指してデコボコ山道をクリア。二つ目の関門へとさしかかっていった。

ビュンビュンビュン!

小さな石が雨のように降ってくる。それがボカボカと体に当たって激痛が襲う。

――く、こんなの、よくサトは避けてたな。

ただでさえ運転が難しい雲に乗りながらランダムに襲ってくる攻撃をかわすのは、並みのテクニックではできない。ツムグは並みのテクニックの持ち主なので、残念ながら石をかわすことはできない。

――ええいままよ!

と、いうことで、ここは強行突破で直進することに。はるか先の敵に追いつくためにはもうこれしかない。ガンガンとぶつかる小石、ツムグは目に涙をためながら二つ目の試練を突破するのであった。

 そして、最後の試練、洞窟の一本道へとさしかかる。

――よし…さっきのことを直進したおかげで結構距離は縮まった…てゆか、かぁ~痛かったぁ〰~(;´・ω・)

ツムグはより体勢を低くし一気にスパートをかける。見る見るうちに20位に近づいていく。

――よし、これでこのスピードを維持できれば、ヤツを抜ける!

そう思った矢先、目の前を走るマシーンの乗部から弾丸の様なものが飛んでくる。

「!」

とっさにかわすツムグ。

モヤモヤモヤモヤ

左目をコバルトブルーに変えて左手を白い毛に包まれた獣の腕へと変える。

パンパンパン!

放たれる弾丸。それを犬の手でブロックする。ブロックしながら敵と距離をつめる。そして、

「よし!追いついた!」

「ニャ!!!」

驚く隣のレーサー。マシンに乗っているのは猫と人を足して二で割った様な生き物だ。そいつは手に持った銃を投げ捨て、モヤモヤと白いモヤを漂わせる。

――!カラーか…。

猫の腕はメタルの板の様に変形する。まるで鋼の翼だ(…ま、飛べそうにはないけど)。それで追い抜こうとするツムグをブロックしてケちらそうとする。

ギャイン!

犬の爪と鋼のプレートがぶつかり合う。ぶつかった振動が左腕を伝う。

ジ〰〰ン

「くぅ…。」

――固さでは敵の方が上…どうする?

ブン!

とんで来たひと振りをしゃがんでかわす。

――敵のカラーとやりあっても不利なだけ、なら…。

再びとんでくる鋼の板。タッと飛んでかわし、そして、

「おおおおおおおお!!!」

ズバァァァァァァァァァ、ガギョオオオオオオオオオオ!!!

敵の乗っているマシンの半身を犬の爪で破壊する。

「ニャにぃ!!!」

敵は猫の鳴き声を上げて、クルクルと回って失速するマシンと共にツムグの後ろへと消えていった。

「よし、やりぃ〰~♪。」



「さぁてレースも大詰め、現在19組のレーサーがゴールを果たしました。はたして、最後の一枠を勝ち取るのは…。」

ビュン!

モニターに雲に乗った青年が穴から出てくる。

「来ました!出てきたのは42組、緑の国のツムグ選手!!」

わああああああああああああああああああああああああああああ!!!

沸き起こる歓声の中、赤の都の町を悠々と疾走するツムグ。歓声の中で肌をかすめる疾風がとても心地よく感じられる。最後までスピードを緩めることなく走り切り、そして、

「ゴール!!!ツムグ選手、20番目にゴールしました!最後の一組に入ったのは、42組の選手達!!!」

わああああああああああああ

再び沸き起こる歓声と拍手と口笛。ツムグは雲に乗ったまま周りに手を振る。ツムグの元へとチームの三人が駆け寄ってくる。

「よくやったツムグ!」

「うん、最高よ!」

「やったなツムグはん!」

「いやぁ…ハハ…。」

ポリポリと頭をかいて照れるツムグで…。



 大会終わり、宿への道を歩いている一行。すると、

「よ、兄貴、何とか勝ち残ったみたいだな。」

サトの弟、タミが現れる。彼の後ろには三人…(にん?)の仲間がいる。今日の大会のチームだろう。一人は165cmくらいの金髪に耳ピアスの少年、いかにも不良っぽい。もう一人は顔の半分、鉄の仮面をかぶった長髪金ロングの女…いや男?どちらにせよ綺麗な顔立ちをしている。もう一人…いや、一匹はノドの下が白い大きなトカゲが学ランを羽織っている。肌は黒いザラザラにオレンジの点々がついている。こいつはでかい。180cm以上は確実にある。ちなみにタミは160cmくらいで背が低い。

「タミ…お前は。」

「オレらは5位だったよ。まぁいい位置だろ?」

「ん、ああ、さすがだな。」

「いや、てか笑ったよそこのク___。」

「あ゛―――――――――――――!」

『!?』

ツムグが突然大声を上げる。

「タミくん、マツボにクマは禁句だから。」

タミに耳打ちする。

「はっ?んだよそれ、まぁいいけど。こいつら、オレらのメンバー紹介するよ。」

タミは金髪の少年から指さす。

「こいつの名前はタク、オレの高校のタメだ。んでこっちはアラタカ、なかなかの美人だろ?…でもこいつは♂(オス)だ、こいつも高校のタメだ。んでこいつはワザワ、でっけーけど一応後輩だ、力があるから仲間に加えた。以上。」

紹介を終えるタミ。

「タミくんがリーダーなの?」

ツムグが問う。

「いや、オレじゃない。」

「え、じゃあ誰?」

「は、誰でもいいだろ。よし、お前ら行くぞ。じゃあな兄貴。」

タミは仲間を連れて行ってしまった。

「うーん、明らかにリーダー面してたのに、よく言うわねー。」

「タミより強ぇー奴がいるんだとよ。」

「え、ウソ!アレより強いやつがいるの!?」

「みたいだぜ。さ、オレらも宿に帰ろうぜ。」

「うん。」

「せやな。」

僕達は宿へと向けて再び城下町を歩き始めた。


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