兄としてできること
公認の家出中のラピスを両親のところに返す。両親に対する罪悪感を無くすために動く。がまあ、そのピースは俺の手に自分の意志関係なくある。取りあえず頭を使ってはターンを考えていた。幸いにサーシャは俺のやろうとしていることに気づいてユンとラピスを外に出してくれた。本当にいい仕事をしてくれる。やるときはやるメイドさんです。はい。部屋に誰もいないついでに他のやるべきこともやっておいた
現在は7時30分。
ラピスが来るのは8時
時間とラピスの来る時間を確認するとベランダに出た。
俺がこんなことをしようと思ったのは何でだろう?
夕暮れの時のラピスの表情をみたから。
そして義妹としても弟妹だからそう思うのかね。
まあ、俺は前世ではろくな親族いなかったから家族のために何かやるというのはわからない。
だが義妹……ラピスのためという言葉がしっくり来るな。
ここまで考えてからベランダの手すりに両腕を置き夜空をみる。
俺は夕焼け空が好きではない。単純に血の色に見えるのだ。家族が惨殺されたのは別にトラウマでも無い。そして自分を守るためにそして馬鹿なやからが近づかないように社会的に殺すのも別に後悔はない。夕焼けから血。血から社会的に殺すこと。連鎖的に思い出すだけだ。
一転星はいい。そう思って空を見上げる。夜空には星が光っている。満点の星空。最後の方は都会だったから満点の星空を見るのは久しぶりだ。今まで異世界ということで前世と違うところをたくさん見てきた。しかし星を結ぶ星座は偶然か必然か前世と似たような形だった
まるで明日からまた前世のような日々が始まると言ってる気がするな。
そう思ったがその考えを振り払う。
前世では俺の持ってる金に目が眩んだ奴らがいたからだ。この世界では俺は何でもない。少なくとも今は
そんなことを考えながら自嘲気味にラピスが来るまで星空を眺めていた。
「兄さん、私だけど?」
どうやらラピスが来たようだ。俺は部屋の中に入るとドアを開けた。
「ラピス、こんばんは」
「こんばんはです、兄さん。」
ラピスをクッションに座らせると俺は向かい合うように座った。ラピスの顔を真剣に見る
「話って何ですか?」
「今日、外から帰る時。様子がおかしいと思ってね」
「……そうですか?おかしかったですか?」
首を傾け何とも無さそうな、心当たりがないような顔をする。しかしやはり子供。この年で表情を作れるだけましだ。が俺には通用しない
「夕暮れの親子を見て凄く悲しそうに見えた。ラピスの両親に会いたそうな顔をしていたとも言うかな。」
「そんなことはありません!!」
ラピスは声を張り上げてから俯く。拳を膝の上で震わせ、唇を噛みしめ、強い感情を抑えるようにしかし懺悔をするようにしながら続きを言った。
「私は両親に………大好きで大切な人に怪我をさせてしまったんです。そんな子に………悪い子に……会う資格も……甘える資格もないんです!!だからお母さんも……お父さんも会いに来てくれないんです!!」
泣くのをこらえ声を堪えながら震えてる声で話すラピスの話を聞いてから口を開いた。
「なあ、ラピス。お前はここに来てから1ヶ月。全く話さなかったよな?」
俺がこう言うとラピスは頷いた。それを確認すると俺は続きを話た。
「俺はラピスがここに来た理由をお前が来てから3週間後に母さんから聞いた。お前道で偶然母さんに家に連れてこられた。そして自分が何でここにいたのかは1ヶ月後に話した。ラピスおかしいと思わないか?」
ラピスは泣いていて頭が回らないのか首を横にふる。
俺は座ってた場所から立ち上がりラピスの隣に座るそして頭に手を置く。
「それはラピス。お前の両親がラピスを探しにこの町まで来ていたからだ。」
こう言うとラピスは顔を上げる。
「俺達がラピスの事情を知っていたのはこう言うこと。母さんはラピスの状態をすぐに話した。お前の両親はそのことを聞くとしばらく預かって欲しいと言った。ラピスが落ち着いて……寂しくなって会いたいと言うまでな。」
ここまで言うと俺はいったん話すのを止めラピスの頭から手を話すとラピスが話すのをまった。
「お父さん、お母さんにあって前と違ったら怖いんです。前のように頑張ったら笑って褒めてくれるか。抱きついたら優しく撫でてくれるか。今の話を聞いても…………それでも怖いんです!!」
「じゃあこれを見せたらどうだ?」
俺が出したのは
ラピスラズリのブレスレット。ラピスの両親が誕生日のプレゼントとしてラピスに渡すはずだった物だった。
「これ……どうして?」
「両親がお前に会いたがってるという証拠として母さんに渡したもの。それで母さんが私じゃそんな素振りはださないだろうからといって何故か俺に渡してきた。これでわかっただろ?」
俺はブレスレットをラピスの腕に付けてあげる。
そしてため息をつくようにまた話し続ける。
「それに俺とラピスは血は繋がってなくても家族だよな?」
こくん
「そう、家族。甘えたいときは甘えてくれていいし凄いことをしたなら褒めてやるよ、抱きついてきたら撫でてやる。」
俺は再度手を頭にのせ次は優しくなでる。そして笑いながら。
「な?」
ラピスは俺に抱きつき今までの溜まった物を流すかのように泣き始めた。
「すぅすぅ」
ラピスは泣き疲れたのか眠ってしまった。今は俺の膝を枕にして寝ている。
俺はそれを見守っていた。明日にはもうこの顔は見えなくなるかもしれない。儀式に失敗してもう会えなくなるが
「まあ、俺が死ななければあれえるか。」
そう開き直ると明日のために眠ろうとするが………
「指が離れない。」
ラピスが俺の服を強く掴んで離さないのだ。まあ、今日ぐらいは許そう。最後にまた頭を撫でると俺も眠ったのだ。
「ん……んにゅ…ふわぁー」
「ラピス起きるのはやいな?」
「え?」
ラピスは自分の周りを確認するとすぐにベッドから降りて
「何で私は兄さんのベッドでねむってるんですか!」
「何でってラピスが服を掴んでいて離さなかったからだけど?」
ラピスは顔を赤くしだから数秒たつと持ち直しこう言ってきた。
「兄さん、昨日はありがとうです」
「ん、弟妹孝行だよ弟妹孝行。」
「それと近い内に会いに行ってこようと思うのですが……一緒に行きませんか?」
……さて俺はどう返そう。それこそ運次第。取りあえず
「そうだな。行けたらな」
曖昧にそう言うと俺は部屋を出て儀式の時刻まで待った
さて。魔才の儀である。儀式の流れは魔力量を計ると同時に魔力値を計る魔力にはプラスマイナスがあり人それぞれにプラス○。マイナス○とあり同じ魔力値を待つ人間は極小数である。一卵性の双子に同じ魔力値を持つケースが多いいがやはりそれでも少ない。ついでに人は空気中にあるプラスマイナスゼロの魔力を自分の魔力値に調整し使うことも出来るがそれには繊細な魔力操作が必要らしい。次に現象魔法の適正。属性魔法の適正である。
それぞれ違う魔道具を使い三つの水晶を使う。
魔才の儀式はどうやら父さんの部屋でやるらしく母さんとユンとラピス、サーシャがいる。それと何人かいる。
「リズティー。まずは一番右の水晶に触れるんだ」
俺はいわれた通りに水晶に触れる。
結果。
水晶は透明な色を保っていた。つまりは魔力ゼロ。それは魔法の才が無いことを示していた。周りが少しざわざわする。その他大勢だろう。魔法師の子供でも魔法の才は受け継がれないと言うこともある。そのことは知っていても実際に目の前でやられると驚くんだろう。しかも俺は長男。いずれは継ぐ立場の人間がこうなのだ。俺の先行きも不安と言う人もいてくれたらーなーと思ったり。
俺は水晶から手を離し父さんを見る。父さんも俺をじっと見ていた。
「リズ。お前に魔法の才はない」
そう口を開く。
「だが色んな才能がある。そう信じている。それを伸ばすため頑張れるか?」
父さんはそう聞く。恐らくこれで無理と言えば俺はおさらばだろう。だが
「出来る限りは頑張るよ。期待に答えられるように」
「そうか……」
父さんはそう言うと視線を外しどこかを見た。やがて俺を見ると
「頑張れよ」
そう言って立ち去った。
母さんもそう言って立ち去る。三人は俺を励まして戻っていく。それに俺もついて行く。
どうやら俺は少し猶予を貰えるようだ。ずっと入れる自信はない。
あそこで吐いた嘘。
期待にはそこまで答えない。過去の再来は嫌だからな