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こっくりさん。6

木曜日。

昨日は肩を脱臼して、今日は骨折した足に軽い火傷を負っていたらしい。

大きな大学病院を進められて詳しい検査をしてみたが、結果はやはりわからなかった。

夕方ごろにお邪魔だとは思いながらも、わたしは夕夏を尋ねた。

最初は強がっていた夕夏だったけど、部屋で泣きながら話してくれた。

「昨日はね、弟が隣で寝てくれたの。隣って言っても、敷布団なんだけどね。」

「うん・・・。」

「戸締りも、みんなで確認したし、誰かが入ってきたらお父さんもお母さんもすぐ動けるようにしてくれてたんだけどね。」

私は夕夏の怪我をした所を避けながら背中をさすった。

夕夏はご飯もろくに喉を通らないようで、少しやつれた顔で笑っていたけれど。

「なんかあったら起こせって・・・。」

弟の夕介くんの言葉だろうか。

夕夏は脱臼した肩を構わず抱き寄せた。

「だって、全然痛くないんだもの・・・!わかんないじゃない・・・!」

こんなに苦しそうに泣く夕夏は初めて見た。

きっとこんな事がなかったら、平凡に過ごして、少なくとも卒業するまでは見るはずがない姿だと思う。

私も思わず涙目になったけど、泣いちゃだめだ。

一番苦しいのは夕夏なんだから。

「・・・夕夏、誰かに相談しよう。」

「誰かって・・・?」

親や教師、医者なら相談しつくしたという言い方だった。

ちがう。

そんな人じゃなくて。

「やっぱり変だもん。寝てる間に怪我して、痛くもないなんて。」

「うん・・・。」

「お寺とか、神社とか、そういう、よくわかんないけど、詳しい人に相談しよう?」

「今日夜来るの。」

「誰が?」

「霊媒師さん。」

そうか。

私の考えそうなことなんて、もうやってるよね・・・。

「なくなると、いいね。」

私の言い方は、なくなるかどうか疑わしいって感じだったけれど、夕夏も頷いてくれた。

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