14 髪を乾かさないと
ピチョーンッ
水音が狭い空間に響く。
体を洗いシャンプーをしてから、トリートメントをつけた頭にラップと蒸しタオルを巻いて湯船につかると、我ながら情けない声が口から漏れた。
「ふあぁぁぁぁ」
冬の風呂ほど気持ちのいいものはない。冷えた体を湯につける瞬間の痛痒い感触も込みで、至福の時である。このときばかりは、日本人に生まれたことに心から感謝する。
最近なんだかんだと忙しくてゆったりと風呂につかる時間をとれなかったせいで、その喜びもひとしおだった。1Kのアパートの風呂は小さく、湯船の中でほとんど体育座りの姿勢だが、それでも肩までお湯に包まれる幸福は捨てがたいものである。なんたって日本人の心、風呂なのだ。
――ああそれにしても九月からこっち、本当に忙しかったなぁ……
年が明けてもう二週目。何もない週末は久しぶりで、明日からの土日は家で寝倒してやろうと思っていた。
明らかにおかしすぎる美咲の結婚式の計画はここまでのところ順調に進んできていた。貴俊さんのご両親への挨拶は無事に終わり、来週末には美咲のご両親に細かな事情を説明する段取りになっている。これはたぶん真吾さんと美咲がうまくやってくれるだろうから、私はノータッチでいいはず……だけど……
そこが最難関なのではないか、と私は思っていた。
だって、普通の親だったら嫌がらないだろうか。
娘の結婚相手の従兄が挨拶に来て「諸事情により相手の男は自分の結婚をまだ知らなくて結婚式当日にチャペルに飛び込んでくるのでそのときに会いませう」なんて言われたら。
嫌がるとかいう次元の問題なのかもよくわからない。
なんせ前例がないから。
――ああ、ダメダメ、私が気を揉んでもしょうがないんだった。そういうのを考えるのはやめて、自分がやるべきことをしっかりとね。
ずぶぶっと体を沈めて顎の先まで湯に浸かった。あったかい。
家族への挨拶が終わったら、結納代わりの顔合わせ。
これもご家族同士プラス真吾さんでやってもらえばいいと。
結婚情報誌には式の五、六カ月前までに顔合わせをしておくって書いてあったから……三月までにはってことか。三月は真吾さんも仕事が忙しいんだろうし、二月になるのかなぁ。となると来月か。そんなに日もないし、日程の調整とか大変だなぁ。きっと大安とか何とかも気にしなくちゃいけないんだろうし。友引だとか仏滅だとか、あれが何を意味するのかすら知らないけど、慶弔の行事の時には気にしないといけないんだろうということだけはなんとなく頭の片隅にある。
そこまで考えたところで、私はざばっと立ち上がった。
あまりの勢いに、湯船から流れ出た湯が床で小さな波をたて、壁にぶつかって戻ってきた。
今、一月? もう、一月半ば?
えっっ……
年末年始、どこ行った?
いや、忘年会は行ったけど。
ちがうちがう、ここでいう「年末年始どこ行った?」は「年末年始にどこへ行ったか」という浮かれきった年始のご挨拶じゃなくて、「年末年始がどこへ行ったか」だ。
いくつか忘年会には参加したものの、仕事に真吾に美咲に課長に真吾に課長に……の中に邪魔な飲み会が食い込んできたくらいにしか思っていなかった。
クリスマスは?
おせちは?
おととしのクリスマスは美咲とふたりでパーティーをして、二人でケーキをワンホール平らげて……でも去年は美咲の頭の中は貴俊さんのことでいっぱいで、私の頭の中は美咲のことでいっぱいで……。
――しまった。
一年のハイライトともいうべきクリスマスケーキとおせちを食べ損ねるという大失態を犯してしまった……!
体から落ちた水滴が湯船の湯に当たって跳ねるたびに軽快な音楽を奏でたけど、心地よかったはずの水音は今や私を追い立てるぴちょぴちょ大合唱だった。
「お母さん! あけましておめでとう!」
風呂から上がり、体を拭くのもそこそこにベッドに潜り込んで携帯で泣きそうになりながら母に電話をする。うそだ。おせちを食べ損ねるなんて。おせちなしの新年なんて、新年じゃない。うそだ…!!
『はい、おめでとう。今年は忙しかったみたいね』
「年末年始だってことも忘れてたよ……」
『今年は久美子も忙しいみたいで帰って来なくて、麻美とチビちゃんたちとお正月したのよ。でも、にぎやかで楽しかったわよ』
3人いる孫をまとめて、母は「チビちゃんたち」と呼ぶ。
「私もチビちゃんたちに会いたかったよ……」
自分が末っ子だった私にとって甥っ子姪っ子は弟妹のような存在で、かわいくてかわいくて仕方ないのだ。
『気にはなってたんだけどね。仕事が忙しいんだったら、あんまり帰って来いって言うのもプレッシャーになるかと思って』
帰って来いってひとこと言ってくれてたら、おせちを食べ損ねなかったかもしれないのに……
「仕事で忙しかったわけじゃないの。あの…会社の同期の美咲って子、覚えてる?あの子が9月に結婚するの。それで、その手伝いとか色々あって。仕事はまぁ、忙しいけど例年通りだよ」
『あら、結婚。そう。式は9月なのに今からそんなに忙しいの?結構早くから準備するのね、本人でもないのに。今はみんなそうなのかしら』
母よ、今とか昔とか、そんなことは関係ないのだ。
本人でもないのに9ヶ月も前から年末年始返上で結婚式のパンフを読み漁ったり、相手のご家族に挨拶に行ったりはしないのだ、普通は。
『……結婚かぁ……そうよね、もうハルカも25だもんねぇ。うちは久美がまだ独身だから全然ハルカの結婚なんて考えてもみなかったけど、別に結婚してもおかしくない年齢よね』
「たしかにそうだねぇ」
結婚。私が? いや、考えたこともなかった。ウエディングドレスを着て微笑んでる自分なんて全く想像がつかないし、隣に立ってる男性なんてもっと想像がつかない。
――ううむ。
ドレスを着てバージンロードを歩いている自分を想像してみる。
しずしずと進んでいく私。いや、まず、しずしずってところから多分違う。ドレスの裾を踏んで転んだりしないかが心配だ。道の先には花婿がこちらに背を向けて立っている。
『ハルカは? いい人いるの?』
母は特に期待している様子もなく、ただ話のついでにといった風情で質問を寄越す。
「いないよ」
そう言った瞬間、バージンロードの先に居た男性が振り返った。
「ぎゃあっ」
『どうしたの』
母は焦ったように言った。
電話の向こうで一人暮らしの娘が悲鳴を上げたのだから、正しい反応だ。
「なんでもない。ちょっとね」
『そう。ああ、びっくりした。本当に、あなたにはときどき驚かされるんだから』
「ごめんごめん。本当に何でもないから」
『あ、お父さんに電話かわる? 近くにいるけど』
「あー。いいよいいよ、どうせ寝てるんでしょ?」
電話の向こうからくぐもった断続的な音が聞こえて来ていた。グーグーでもzzzでもなく、ムンゴーっていう音が。
『うん。ソファーでいびきかいてる』
「なるべく近いうちに一回帰るから。その時話せるし、いいよ」
『そう?じゃあ、近いうちにね。待ってるから』
「はぁい」
電話を切ったあと、携帯をほっぽりだしてしばらく呆然とベッドの上で体に布団を巻きつけて丸まっていた。
心臓が痛い。何だこれは。
一瞬浮かんだ花婿の顔は、一体なんだったのだ。
ちがうちがう、よく会う人が偶然出てきちゃっただけだ。
ちがう、断じて、ちがう。
「うーっ」
脳裏に焼き付いたものを追い払おうと、私は枕に顔を押しつけて唸り声をあげた。
そうしているうちに、眠気が忍び寄ってきた。
あー、髪乾かさないと……
風呂上りのほかほかの体で潜り込んだ寝床はふんわりと私を包み込んで放さない。おまけに足も手も、ここから外の寒い世界に出ることを拒否している。その暖かさは本格的な眠気を運んできて、私は完全にベッドにとらわれてしまった。
……だめだこりゃ。
睡魔に抗って髪を拭いておけばよかったと後からどれだけ後悔しても足りず、寝倒してやろうと思っていた週末は寝ているしかない週末に変貌を遂げた。
そして週明けになっても体はいっこうに回復する気配を見せなかったため、覚悟を決めて会社に電話を掛けた。
この時間に出社しているのはきっとあの人だけだ。
「あ゛、がぢょーでずが?がぎでず」
『嘉喜? 何だおまえ、その声』
「がぜひぎばじだ」
『え? 風邪? それでその声なのか?』
「ぞうでず。どどがぎがぎがしで、ぼうだべでず」
『は? 熱は?』
「ぐどでず」
『とりあえず熱が九度あってヤバイことはわかった。仕事に来るのは無理そうだな。お前、最近忙しすぎたんじゃないの。ブライドメイドだか何だか。仕事は何とかなるからゆっくり休んどけ』
「あ゛い」
『仕事帰りに何か買って行ってやろうか』
「え゛、いいでず。ぞんだ。ひどでぃでねででばなんどがなでぃまずがら」
『何言ってっか全然わかんねぇ。まぁ、仕事は休みってことで。じゃあな』
そう言って課長は電話を切った。「一人で寝てれば何とかなりますから」と言ったのだが、通じたんだろうか。
ああ、とりあえず頭痛いから寝よう。
いや、頭痛くて寝れない。
頭を冷やすものがほしい。
ふらりと起き上がって冷凍庫を開けてみたけど、夏に買ったきり食べ忘れていたアイスと冷凍うどんしか入っていなかった。冷却シート……冷却シートが欲しい。お腹もすいたが、冷蔵庫に入っていたのは醤油の大きなボトルと、いつだったか鍋をしたときに残った長ネギだった。もうくったくたになったそれは「頼むからそろそろ捨ててください」と言いたげだ。実を言えば奥の方にもうひとつ得体のしれない白いビニール袋があったけど、絶対に開けちゃいけない気配がただよっていたので、見なかったことにした。鶴の恩返しの爺さんしかり、浦島太郎しかり、開けちゃいけないものは開けなければいいのだ。
一人暮らしってのはこういうときに死ぬほど寂しくなるものだ。孤独に耐えられなくなって、普段はほとんど見ないテレビをつけ、明日には忘れてしまうであろうしょうもない話を延々と聞いていた。
「おい、嘉喜。あけろ」
インターホン越しに課長の声が聞こえたのはもう日もとっぷりと暮れた夜だった。あれからぐずぐずと寝ているんだか起きているんだかわからない時間を過ごし、お腹はすいているし汗だくだし、なのに寒気が止まらず頭もガンガンするという最悪な状態だった。耳がぼんやりしているせいか、課長の声もいつもより遠い。
「がぢょー?」
「そうだ。安心しろ、風邪っぴきの一人暮らしの女の家に上がりこむほど非常識じゃない。クスリとか冷却シートとかおかゆとか買ってきたから、玄関のドアにそれ引っ掛けて帰るよ。だからとりあえずここ開けてくれ」
エントランスの扉の開錠ボタンを押した。
何てデキた上司なんだ。風邪のときに必要なものを宅配してくれる上司なんて、聞いたこともない。さすが課長。
足音が廊下に響くので、課長が来たのが分かった。
ドアのノブが少しだけ動いたのを見て私は慌ててふらふらと玄関まで行き、ドアを開けた。
「がぢょっ!」
直接お礼を言うべきだと思ったのだ。
課長はもうすでに少し離れたところに居たけど、驚いた顔で振り返った。
「う゛がぁ」
勢いよくドアを開けたはいいが足元がふらつくのでそのままの勢いでドアに体重をかけ、ドアと一緒に部屋から飛び出す形になってしまった。
「おい、何してんだ」
課長の呆れた声が聞こえる。
「あ、おい、嘉喜! おい、大丈夫か!」
課長が駆け寄ってきた。
――だめだめだめだめ! ドアの隙間からお礼だけ言おうと思ったんだよ。ドアをワイドオープンにする予定なんかなかったんだよ。だってだって、私の部屋……
「きったねぇ部屋だな」
あー……見られた……
ドアに纏わりついたままぼんやりとする頭で「しまったなぁ」と思った。
一人暮らしで彼氏もいない女の子の部屋なんて皆同じようなもんだと思うんだけど、そう思うのは私がそっち側の人間だからだろうか。
「おい、もういいから、中入れ。ほれ、買ってきたのはこれだ。いいな、大人しく寝とけよ?」
課長の声がぐわんぐわん拡張されて三重くらいに聞こえ、課長の精悍な顔は五、六個見える。
「おい、嘉喜。おま……」
ドアからはなれてぐらりと傾いだ体を支えてくれたのは課長の二本の腕だった。
「何の拷問だ」
課長の呻くような声がすぐそばで聞こえる。失礼だねぇ。そんな言い方しなくてもいいのに。いや、支えてもらってるから文句は言えないけど。
「おい嘉喜。悪いけどちょっと家上がるぞ。すぐ帰るから。おお、汚ねぇなあ。なんだ、この缶とペットボトルの山は。捨てろよ。おい、ほら」
お姫様だっことかではなく、腰を支えられてずるずると引きずるように運ばれる。当たり前だ。この狭い部屋でお姫様だっこなんて危なすぎる。
「ほい、とりあえず寝ろ」
課長の腕を抜け出した私はぬるりとベッドに潜り込む。生暖かいそこは自分の汗でちょっと湿っていた。
「なんだこのくちゃくちゃのバスタオルは」
あ。お母さんと電話したときに頭に巻いてたバスタオルだ。そのまま寝たりするから風邪をひいたんだ。
課長はバスタオルを丸めて入り口付近の洗濯機に投げた。
「だいっじゅーでず、がぢょー」
「あ?ナイッシューって言ったの」
寝そべったままこくりと頭を動かすと、ずきりと痛んだ。
「一応元バスケ部ですから」
何年前の話ですか、と聞いてやろうと思ったのに、言葉が出てこない。
「お前これ、冷凍うどんか。頭冷やそうと思ったのか」
顔のそばにあった袋入りのそれを持ち上げて、課長は呆れたように言った。
「ちょい待ってろ」
課長は持っていたビニール袋をごそごそして中から冷却シートを取り出すと
「ちょっと失礼」と言って私の前髪をどけ、額に張ってくれた。かいがいしい。
「スポーツドリンク飲むか?」
もう頭を動かすのすらつらいので、目をぎゅっとつぶって肯定すると、課長はペットボトルを取り出し、そこにストローを指してくれた。ストローまで買ってくるなんて、この人いったい何者なんだ。
ちゅーっとストローに吸い付くと、かすかに甘い液体がすっと口の中に広がり、喉を潤して体の奥に落ちていく。週末からほとんど何も口にしていなかったせいか、水分がすっと食道を流れて胃に到達するのがわかる。
グギュウー
胃が収縮する音がした。
何てこった。
一応年頃の乙女なのに。
風邪ひいてるのを看病してもらってラブが生まれるなんて王道の展開、本当に世の中に転がっているんだろうか。いや、看病された方はそりゃあ惚れてしまうくらいにありがたいだろうけど、看病する側にしてみれば幻滅もいいとこだ。
だって冷静に私の状況を考えてみてほしい。
土日と寝込んで月曜の夜まで、部屋の空気は一切入れ替えていない。つまり、こもりきった空気の中にいる。やむをえまい。寒いのだから。
それに、金曜の夜以来風呂には入れていない。こんな時にひとりで風呂に入ってぶっ倒れでもしたら事だからだ。
そして、熱があるので大量の汗をかいている。鼻の頭なんてたぶんテッカテカだ。喉が渇いてるしリップなんか塗ってる余裕はなかったので唇はむろんカッサカサ。ずっと寝転がってたので髪はぼっさぼさ。女子にあるまじき擬態語が三つも出揃ってしまった。
さらに服は一番楽な部屋着。これも昨日の朝着替えたきり。
おまけに枕元にはまるまったバスタオルと解けた冷凍うどんが置いてあって、部屋の入り口にはゴミに出し損ねた缶とペットボトルが並んでいる。玄関にも夏のサンダルと冬のブーツが混在しているし、シンクの中にはたぶん二つ三つマグカップが並んでいるはずだ。もしかしたら、コーンスープの残骸がへばりついているかもしれない。
そんな中、腹の虫が色気もへったくれもない音を放ったのだ。
いったいこの状況でどうやったらラブが生まれるんだ。
そこでようやく気が付いた。なぜ世の女性たちが、誰に見られるでもない部屋を整え、可愛い部屋着だなんていうすこぶる無駄なものにお金をかけるのか。前から不思議でしかたなかった。中学時代のジャージではいけない理由。こういう非常事態を想定してのことだったのだ。
可愛い顔して、実は先の先のことまで想定している彼女らは、やはりすごい。
「大丈夫か」
働かない頭であれこれ考えていたら、課長の顔がこちらをのぞきこんでいるのが目に入った。
目は開いているはずなのに、視界がぼやけていて顔立ちがよくわからない。
なんでぼやけてるんだろう。
視力は両目1.5なのに。
ああ、熱でちょっと目が潤んでるのかぁ……
「どうしたもんかな」
課長が呟いているのが耳に届く。
「嘉喜。帰りに実藤のとこに寄って、お前が具合悪いから様子見に行ってやってって頼んだんだ。だからたぶんもうすぐ来ると思う。おかゆとかは実藤に頼んで作ってもらえ。薬もそのときに飲めばいいだろう。ただ……鍵がな……」
ぼんやりと課長の声を聞いていた私は鍵? と思った。
鍵って、課長が帰った後私が閉めればいいんじゃないの。
あ、そっか、立ち上がったらまたさっきみたいになるかもしれないのか。
それはちょっとやだなぁ。
課長にあんまりしがみついて体重を悟られるのも、ねぇ。
いい年こいた女の子ですし。
「実藤が来るまでここにいていいか」
課長の言葉に私はこくんと頷いた。
「あ゛い。もぢどんでず。でいうが、ひどいでごごろぼぞがっだのであでぃがだいでず」
「え?」
だから、一人で心細かったのでありがたいんですってば。いがいがの喉では言いたいことすら伝わらなくて、私は枕元にあった携帯を持ち上げる。
おうわわぁ、指にも力入んないよ。
やっとこさっとこ〈一人でこころぼそかったのでありがたいですすみません〉と打つと、課長はふんわりと笑った。
「おうおう、とりあえず実藤が来るまで寝とけよ。俺はテキトーに仕事してるから」
狭い部屋に課長と二人っきりなんて変な感じ。治ったら何かお礼しないと……
落ちてくる瞼と格闘しながら、心がぽかぽかして私はまた眠気に負けていた。
ご感想で「課長が不憫」というのをいただきましたが、まったくもってその通りで…
しばらく課長は不憫街道を突っ走ってまいります。