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いちごの砂糖漬け   作者: 霧霧
6/12

ごわめ

「三宅さんだっけ?あんたみたいな地味なのが西東くんと仲いいって聞いたんだけどなんかの間違いよね?」


やっぱりこうなったか。


今は放課後、そしてここは視聴覚室だったりする。そしてここにいるのはあの藤中たち、そしてクラスメイトの安達さんだ。

藤中がこんな仕返しをしてくるとは思ってなかったよ。そういえば藤中、安達さんと仲よかったっけ。まあ藤中が安達さんを好きなだけだのようだけど。


「なんなんですか?いきなりこんな所に連れてきたりたりして」

「うるせえ!大人しく安達さんの質問に答えろよ!」


はあ?無理矢理ここに連れ込んだのはそっちだろうが!事情説明しろよ。まったく。

…言わないけどね。

私は大人しい佐奈江ちゃんだもの。

でも視聴覚室なら音がもれないからってちょっとやりすぎじゃないかな?あとこいつら無駄に手際がいいな、何人もの子に同じことを働いていそうだ。

っていうか藤中らだけに恨み買ったはずなのになんなんだこれは?


「西東くんとはただの友達で…」

「嘘よ。西東くんが何も言わないからっていい気にならないで」


この気のキツイ美人さんは安達さん。頭も良くてすごいひとなんだけど、自分の思った事に一直線な子だ。彼女に地味な女と西東くんとが仲がいい=一方的なストーカーと脳内変換されているらしく私を駆除しようと必死らしい。

まあそれもこれも藤中が安達さんに昨日のことを話したことが原因だ。藤中のせいだ。ホントうざい。


「西東くんも迷惑してるわ!いくら好きだからでは通用しない、もうつきまとわないで」

「そんな、私つきまとうなんてしてない…」


安達さん、頭大丈夫かな?付き合ってるわけでもないのに。こっちが心配してもしょうがないか。


「でも西東くんも西東くんよ!いやならいやと言えばいいのに!もうなんでこんな子と!」


「安達さん。こいつ懲らしめてやりましょう!こんな喧嘩とは無縁そうなやつちょっと殴ればビビって近寄らなくなりますよ!」

「そうですよ!」


はあ?何言い出すんだこいつら!私が先生に話すとか思わないわけ?しかも殴ったらあと残るしバレバレなのに。


「…そうね。やってしまいなさい」


って暴力反対!ここまでするか普通?

あーもう今日は西東くんくるのに!遅れたら何かあったのかって疑われる。どうしよう!


「こいつひびってるぜ」

「ああ、顔はバレるから殴らないようにしろよ」

「わかってるって」


私のどこが怯えてるんだよ。






…もういっか。西東くんにはばれてるし。こいつらを口止めしたらばれないよね。私、今までよく我慢したよ。


そういえば、西東くんは昔の頃の私の話を聞いても変わらず接してくれたな。凄くあっさりだったけど嬉しかった。

『私』を知っていても変わらない人っていたんだ。西東くんもだけど四郎や亜子ちゃんもいてくれたんだ。

自分をされけだしてみよう。

少しだけ勇気を。


…警察に捕まらない範囲で。






「あんたたちさあ、さっきから生意気な口聞きすぎじゃない?」


私がそう言うと皆びっくりしたような顔をした。私がこんな口答えをするとは誰も思っていなかったようだ。


「はあ?お前なに言ってんだよ」

「いきなり粋がるなよ!」


「うるさい」


今の藤中や安達さんの顔みんなに見せてやりたいね。

私は藤中の顔ギリギリに壁を殴る。

少しの音と風で壁がへこんだ。バラバラと壁の破片が落ちてくる。

そしてその他の男共の顔から3ミリ程度の所に拳を叩き込んでいく。もちろん手加減なしで。

それから少しの沈黙があり


「うああああああああああああ!!!」

「こいつやべぇ!」


安達さんは一応女子なので勘弁しといてあげたよ。それでもあまりの事に口が出せないみたいだけど。


「逃げるぞ!」


藤中たちは安達さんを置いて視聴覚室から出ていった。


「さて、あなたはどうする?」


少しの静寂のあと。


「力が強いからっていい気にならないで。西東くんは私のなのよ!」


安達さんは不気味な笑みを浮かべ凄んで見せた。まるでいきのいい獲物を見つけたみたいな目つきだった。


「西東くんをものみたいに扱わないで。あなたなんかに西東くんを好きな気持ちなら負けないよ」


そう。私は西東くんが好きなんだ。出会ってからまだそんなに時間は経っていない。けどあの人なら信じられる。

そういうと安達さんは何故か飽きれたような顔をしてため息をついていた。


「…もういいわ。悪いけど手を貸してくれないかしら」

「え、うん」


安達さんはいきなり態度を変えた。その変わりように私は不覚にも驚いてしまった。


「今日の事は謝るわ。…どうしてそんな変な顔してるのよ」

「え?いやなんかあったのかなって」


どうやら顔に出てたようだ。これからは表情筋を鍛えよう。


「変わったわけじゃないわ。ただあなたが以外にも骨がありそうだったから違う方法で潰そうと思っただけよ」


凄く怖い言葉が聞こえてきたんですけど。ここは辞める所じゃないのかな?

そりゃあ西東くんの事好きだし、付き合えればいいなとか思ってたりするけど潰し合いとかしたいわけじゃないよ。この頃話し通じない人多くないかな。


「私は帰る。ああ藤中には私から手を出さない様に伝えておくわ。じゃあね」

「え、あ。ありがとう」


あれ?友達とかじゃなかったよね。でも安達さんはいい人のようだ。話し通じないけどね。







みんな帰ったあとの視聴覚室はとても静かだ。

この数日で色々な事があり過ぎて世の中を達観しちゃいそうだ。あー明日は大変かな。


ま、そんな事より


「西東くんも来る事だし早く帰ろうか」

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