表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

4.タイムリープも悪くない

「知らない天井だ」


 いや、勿論知ってる天井だ。幼い頃見続けた実家の天井。

 ただ、次に目を開けたら何となく言おうと思っていただけ。


 というか全然眠れなかった。心臓バクバクで、頭も冴えてる。


 触覚の至る所が、これは夢じゃないと私に訴えかけてくる。


 ほんとに私、若返ったんだ。



 布団から上半身を起こし、手を前に出して握ったり、開いたりを繰り返す。


「小さい手」


 こんな手で何ができるのだろうか。


 こんな私に神様は一体何をしろと言うのだろうか。


 過去に戻って何かを変えたい人は、それこそ星の数ほどいるだろう。


 過去の失敗をやり直したい人、もう一度会いたい人がいる人。今の人生に満足していない人。


 そんな人たちがいるなかで、どうして私みたいな特に大きな後悔もないような人間に限って、タイムリープなんてことが起こるのだろうか。


「現実は残酷だ」


「なーにが残酷だって?」


 気付けば部屋のドアが開いており、お母さんがドアにもたれ掛かりながら、こちらを見ていた。


「お母さんが若い!」


「ハイハイ。お母さんは年取らないからね。いつまでも若いんだよ」


 嘘だ。


 未来のお母さんも若く見えたけど、今のお母さんの方が流石にもっと若い。


「まったく。珍しく自分で起きてるかと思ったら、物思いにふけったり、急に褒めてきたり、ほんとあんたは可愛い子だね」


 お母さんが言う“可愛い”には色んな意味がある気がする。


「ほらほら、プリトア始まるよ。早く起きな」


「プリトア!? 今何時!?」


「もう10時になるよー」


「行かねば!!」


 布団から飛び起きて部屋の出口に向かってダッシュする。


 今の私を止めれるものは誰もいない!!


「こら。布団はちゃんとたたむ」


「グエッ」


 とめられた。


 すれ違い様に首ねっこを掴まれて持ち上げられる。足が宙に浮いて空を切る。


「お母さんお母さん! 早く降ろして! プリトアがいなくなっちゃう!」


「はいはい。プリトアはいなくなんないから、さっさと布団畳んじゃいなね」


 足が地面についた瞬間、私は華麗にUターンをきめ、布団を高速で畳み、押入れにぶちこんだ。


 完璧だ。


 布団押入れぶちこみ競争という競技があれば、間違いなく優勝していただろう。


 華麗な一連の動作の後、お母さんへ視線を投げかける。


 お母さんが右手の親指を上に突き上げる。


「行ってよし」


「サーイエッサー!」


 今度こそお母さんの横を駆け抜け、一階のテレビへ向かう。


「若いっていいわねー。元気があって」


 お母さんはいつまでも若いんじゃなかったのか。


 そう思ったが、プリトアが迫っていたため、無視してテレビに向かうのだった。



 テレビの目の前まで移動し、すぐにチャンネルをプリトアに合わせ、正座をして待機する。


 放送一分前。ギリギリ間に合った。


『良い子のみんなー! テレビを見る時は部屋を明るくして、離れて見てねー! プリトアとの約束だよ!』


「プリトアの頼みといえど、それだけはきけません。テレビ前30センチ。この大画面で見るプリトアこそ最高なのです。私は悪い子なのでOKです」


「私の子供は良い子しかいないから、ちゃんと離れて見ましょうねー。ママとの約束だよー」


「グエ」


 首根っこを掴まれてテレビから引き剥がされる。


 そのまま引きづられて、しっかりと距離を離された後、お母さんの膝の上に乗せられて後ろから抱かれる。


(そっか。昔はよくこうやってテレビ見てたっけ)


「タイムリープも悪くないかも」


「ん? なんだって?」


「お母さん、太ったかなって」


「なんだとコラ」


「キャーーーーーー」


 お母さんが私を抱きしめる力を強くする。


 お母さんと戯れていると、いつの間にかプリトアのOPが終了し、本編に入っていくところだった。


(このお話は、第2代プリトアの第5話かな。ということは、私は今、小学一年生ってことか)


 タイムリープに動転して日付の確認をしていなかったが、ようやく確認することができた。


(とりあえず今は、プリトアを楽しむことに全力を注ごう)


 そうして、時折お母さんと戯れながらプリトアを楽しむのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ