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試験勉強

帰りは行きと同じく、空路だった。

久しぶりに地上へ降り立つと、懐かしい風が頬を撫でた。

――明日から、学校だ。


ウィングは剣術学校の卒業試験を受けるつもりらしい。

「余裕だ」と言っていた。たぶん本当に余裕なのだろう。


俺たちも、天人国から支援を受けている以上、早く旅に出なければならない。

そのために“飛び級制度”を利用し、卒業試験を受けるつもりだ。


「うーん、メトルナーサ君は実技は言うことなし。余裕で卒業できるけど……筆記がねぇ。」

担任の先生は苦笑いしながら言った。

「ただでさえ苦手だったのに、最近まで休んでたけど大丈夫か?」


「筆記は頑張って勉強します。」

そう宣言したものの、不安しかない。


放課後、ナエリアとジニアと一緒に図書室へ行った。

三人で机を囲むと、静かな午後の日差しが本に落ちている。


ナエリアは筆記も実技も余裕らしい。

一方のジニアは実技が苦手だが、学術で進むつもりだという。

旅には同行せず、学校に残って支援役になるそうだ。


「まずは苦手な分野からだな。」

ジニアが教科書をめくりながら言う。

「地学、歴史、詠唱学……といったところか。」


「試験まで一か月あるし、どれからでもいいと思うよ。」

ナエリアの声は穏やかだった。


悩んだ末に、俺は答えた。

「……歴史から始めるよ。」


俺に関係のあるものから――それが、いちばん燃える気がした。「よし、まずは基礎から確認していこう。」


ジニアが眼鏡を押し上げ、教科書を開いた。

「じゃあ最初の問題。“創造歴0年”って何かわかるか?」


(……え? 西暦的なやつだろ?)

「わからん!!」

顎に手を当て、妙に自信ありげに答えてみた。


ナエリアが苦笑しながら言う。

「創造神アテネが、この世界を作った年のことだよ。」


創造神アテネ――

昔、トワムとユイラが読んでくれた本に出てきた名前だ。


「ちなみに今は創造歴356年だよ。」

ナエリアがさらりと続ける。


(神が世界を作ってから、まだ三百五十年くらいしか経ってないのか……。)

想像よりずっと“若い”世界だ。


ジニアがさらにページをめくる。

「じゃあ、次の問題。魔人族と創造神の“大戦”は何年に起きた?」


(……大戦!? 神と戦争できんのか!?)

山勘でいこう。

「89年!」


「おぉ、惜しい! 正解は92年だ。」

ジニアが楽しそうに笑う。

「ま、当然勝ったのは神の方だ。ここ、テストに出るぞ。」


(神と魔人族の戦争……これ、後で詳しく調べておいた方がよさそうだな。)


そんな調子で、ジニアとナエリアの“ダブルコーチ授業”は続いた。

俺は地学と歴史を中心に、毎日少しずつ勉強を積み重ねていった。


――意外にも、悪くない。

戦いよりも地味だが、世界を知ることが、少しだけ自分を理解する手がかりになる気がした。

ここまで読んでくださりありがとうございます!




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