~聖波の弟、李夢くん~
その後、もう一回キスをして私は深い眠りについた。
「ん····」
目が覚めると、辺りは一面、赤色に染まっていた。
もうこんなに日が暮れちゃったのかぁ。
転校初日だって言うのに、何やってるのよぉ。
私達、悪い意味で有名人だわ。
ちゅっ
「おはようのキスまだしてないでしょ。」
·······
こ、この声は!
「聖波ー!!」
あなた何やってるのよ!
って、待って、
今、扉開かなかった?
「「え?」」
·····ハモった。
気まずっ!
「え、聖波にぃ何してるの?」
んんんんんんん、ん、ん、ん、ん?
······"聖波にぃ"?
まさか、聖波·····。
「聖波に弟が····!?」
「·····言ってなかったっけ?」
「聞いてない!!」
「えっと、君名前は?」
「り、李夢ですっ!」
「り、李夢くんですかぁ~」
······えー、内容内容!話す内容!
「ところで、先程の事なんですけど·····」
え、この子聞いちゃうタイプ?
この状況で?
「聖波にぃ達、付き合ってるんですか?」
勘違いするのも無理もない。
「えーとね?聖波と私はなんの関係でもないの!ただ、幼馴染っていうだけで····」
「でも、キスしてたじゃないですか!」
·····キース。
·····キスー。
·····ーキス。
·····キス。
キス。
ぎゃぁー!!
考えないようにしてるのに、キスばかり考えちゃう!
「違うよ、李夢。僕らは、未来の夫婦なんだから。」
「え·····
本当に?」
聖波はニコニコして私を見ている。
笑ってるけど、目が笑ってない。
違うって言ったら····
「そ、そういう契約となっておりますっ!」
私は訳の分からない日本語を並べながら、自分の顔が真っ赤になっているのに気づいた。
「可愛いですね」
突然、李夢くんが何かをポロッと言った。
「え?ごめん聞こえなかった。」
「いいんです。聞こえない方が。」
そう言うと、李夢くんは、寂しそうに笑った。