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「弔歌」
星がいくら輝いても
太陽がどれだけ地を灼いても
月が静かに微笑んでも
あなたはもう それに気づくことはない
冷たい水が
生命を持たない凍水が
あなたの魂を奪ってしまったから
その墓の前で
あなたの死の印の前で
わたしは何を想えばいいのだろう?
わたしは何を嘆けばいいのだろう?
失われたのは あなたの声
あなたの言葉 あなたの仕草
物質や肉体なんていう
無作法な塊りではなく
わたしは涙を流す
冷たい石の前 失われた魂の前で
それが何かを救うわけではないと
わかっていながら
志坂 律子




