前へ目次 次へ 71/87 「世界はもう少しだけ」 小さな女の子が 数をかぞえていた (ひとつ、ふたつ、みっつ……) でも十を一つ越えたとき 彼女はかぞえるのを熄めてしまった その数は 彼女の小さな指より 少しだけ先にあったから 彼女がその数を手に入れるのは もう少しだけ先のこと もう少しだけ彼女が大きくなって もう少しだけ世界が小さくなった その時のこと その時が来るまでは 世界は彼女の指より、ほんの少しだけ 大きいままでいられる 志坂 律子 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□