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「名前のわからない鳥」
何かを待っているみたいに
名前のわからない鳥が 電線にとまっていた
友達でも待っているのか
大事な用事でもあるのか
すぐそばで見ていても 身動き一つしなかった
そこには 強い意思みたいなものがあって
清冽な凝固が
静謐な緊張が
身動き一つしない その体に
しっかりと収まっていた
名前のわからない鳥は
いつまでも その場に定着していたけれど
わたしには雑事というものがあるので
やがて その場をあとにした
けれど わたしの一部は
名前のわからない鳥と融着して
永遠にその場に残り続けいていた
志坂 律子




