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短編総まとめ

スライムになった男の話

作者: Rion

「誰もいない部屋で」「溶けるように」「死んでしまいたいと思った」という3点をテーマに

短編練習をかねて、友達と40分で書き上げました。

言葉が足りない等あるかとは思いますが思いついたことを形にできてよかったです。


俺が転生したと気づいて早3日。

何もしないで、いやできない中で、恐らく時間だけがそれくらい過ぎただろう。

俺という存在がどういうものか、やっと掴めてきた。

その意識が芽生えるまでにかかった時間だ。


ここがどこなのかは分からない。だがそれでも転生だと気づいたのには理由がある。

意識が混濁する中、感じたというか思い出していたのは死ぬ瞬間の記憶。


仕事に追われ、残業で日付を超える毎日。

目の下の隈はとれなくなり、人間の3大欲求全てがわかなくなってきた頃だった。


いつものように仕事がやっと思ったと、ふと息をついた瞬間、目眩だったのか激しい頭の痛みを感じた。まるで洗濯機でぐるぐる回されているかのように頭の中が、脳が揺さぶられる感じたことのないような感覚。


俺の感覚では数時間、いやきっと数秒だったかもしれない、その激しい痛みで俺の人生は恐らく終わった。


死んだ過去の俺の記憶を完全に思い出し意識がはっきりとした今、今なら分かる。

俺はスライムになっている。


・・・・・・・・・は?と思うだろ?

俺もそう思う。

スライム?スライムだよな・・・多分。


手足や嗅覚などの感覚もない。だが体の全体像はなんとなく感じる程度。

視覚はあるのか目の前は見える。だが視線を動かしても自分の体は見えないし、周りには俺の姿を写せるものは何もないから分からん。


というか、姿が写せるものどころか、本当に何もないというのが正しいかもしれん。

おそらく洞窟?なのだろうか。

見える範囲にあるのはゴツゴツした岩肌の壁だけ。

意識がはっきりしたからか、やっと自分を動かせたのだが上にはねただけ。それもぴょん!というよりも、ぽよんと擬音がつくような感じだ。

やはりスライムか・・・。


この広い洞窟?に俺はただ1人、いや1匹か?

誰もいないから音も全くないこの状況。ちょっと怖いな・・・。






そしてそれからまた数日?経ったが俺の状況は何も変わらない。跳ねて跳ねて跳ねまくって動き回ったが何もない。

洞窟だと思ったが出入り口といえるものもなく、岩肌のただの空間。


壁に沿って1周?するほど動いても、疲れないし、腹も減らない。

俺の死ぬ間際と同じ感覚だな。


転生あるあるの神様と出会うこともないし、美少女やドラゴンと出会って交流することもない。俺は一体何のために、転生したんだ?

疑問は尽きないが、できることは尽きてしまった。同じようにこの空間を動き回ること以外はこうして考えることしかやることがない。


休みたい、何もしたくない。

確かに死ぬ直前ではそんなことばかり考えていた。

しかし本当にその状況になってみると分かった。


何もしたくないは嘘だ。過去の忙しい状況でも良い。俺は存在意義がほしい。

何をすればいいのか?何のために俺はいるのか。

分からないこの状況は嫌だ。




・・・だが、そう感じたとしても何もできない。状況を変えることもできない。

死ねる方法が分からん。壁に思い切りぶち当たっても痛くもない。

俺はこれからどうしたらいいんだ・・・。










そして今、数年?が経ったのだろうか。

日付を数えてみてもむなしいからいつからかそれもやめた。

もう転生に気づいてどれだけ経ったのかは分からない。


やることも、できることもなく、1人で過ごすこのスライム生。

早く終わりたい。

終われるのか?


何も分からない。

いつ終わるのかも分からない。


あぁ、こんな人生を望んだわけじゃないのに。

なぜだ、なぜ俺をここに転生させた。


みんな考えたことはあるはずだ、忙しくて何もしたくないと。

そんな考えをもったことがあるのは俺だけじゃない筈だ。


頼む神様、そう考えた俺が悪かったのなら謝る、謝るから・・・・・・


俺を殺してくれ・・・


早く死にたい・・・・・・・・・


あぁ、スライムなんだから溶けて消えてなくなれればいいのになぁ・・・・・・・・・・・・・・・

時間上、詰め込むことはできませんでしたが、下記のようの設定を想定していました。

・ダンジョンの最下層

・1つ前の階層でドラゴンがいて、その世界に生きる者達はそこが最下層だと思っている

・このスライムを倒せるとどんな願いでも叶う

このような役割がこの男にはありました。

しかしこの最下層への行き方も、この男、スライムがどうなったのかも、分からないのです。


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