北の大地と闇の詩
光が終われば闇となる
闇の暗さに人々は恐れをなした
墨の様な夜空に
光が瞬く
瞬く間に光が溢れる
北の守護霊獣である玄武は
闇が忍び寄る
そんな光景が嫌いではなかった
瞬く星々が好きだった
時折
大地に人の姿で降り立っては
星を静かに眺めていた
そんな玄武の青年の姿を
見つけた乙女が居た
黒髪に光を集めた様な
輝きを持つ乙女だった
物静かな乙女は
賑やかな乙女たちの中では異質だった
瞳が曇っていた為
あまり目が良くなかった
見えなかったのだ
それでも乙女は玄武の青年を見つけた
見えにくい瞳に
何故だかはっきりとその青年の姿が
見えたのだ
玄武の青年も乙女に気付く
二人は互いに好きな星を語った
玄武の青年は
久しぶりに心が穏やかになっていくのを感じた
天帝はそれを彼方より見守っていた
かねてより玄武は孤独だったからだ
しかし
天帝は試した
ある時
乙女の視力を突然見えるようにし
その目の前で
玄武の真の姿をさらけ出した
玄武の姿
それは脚の長い亀に蛇が絡み付いた姿
チロチロと舌を伸ばす蛇
身を震わせた乙女は耐えた
逃げ出したい程の威圧感
そして恐ろしさ
乙女は目を瞑った
心の瞳には青年の姿が見えた
優しき青年の声を思い浮かべ
そっと手を伸ばす
あたたかな乙女の手が玄武に触れる
天帝は許した
青年の姿となった玄武は
乙女を抱き締める
固く抱き合った二人
乙女の目はまた見えにくい瞳に戻った
が、
二人の想いは一つになった
これは玄武の最初の番となった乙女の物語
お読み下さり、本当にありがとうございます。
◇この詩の様な物語たちは、作者の勝手な四神をイメージしたものですので悪しからずお願い致します。