第0話 登校
かなり昔に書いたので季節がおかしいですが勘弁><;
こんばんは、はじめまして、山田有香です。
憂鬱な四月が終わり、中間テストを終えた今日このごろ
なんだか春らしくなってきて、テスト前までが嘘のように、快感な気分にさせます。
周りが田んぼだらけの田舎道を見渡し、私は学校へ向う。
この田舎に不釣合いな、コンビニを通り過ぎると後方からおそらく足跡を忍ばせてきているのだがバレバレの二人組みがつけてくる。
「転もっと静かに!」
「すいませ〜ん、ヒールはどうしても音がしちゃいまして〜」
「ヒールで学校くるんなっ!」
「でも、昨日の雨で、靴が〜」
そんな感じで、突っ込みどころ満載の会話をしながら忍び寄ってくる。
こいつらは何がしたいんだ?
私を驚かせたいのか?
それとも単に後ろにいるだけか?
そう思ってた刹那、後頭部に激痛が走る。
「く〜、何すんのよ!あんたたちは!」
「どう、トマト、驚いた?」
人にクロスチョップをくらわせて言う言葉か!
あっ、トマトって言うのはあたしのあだ名。
はじめの方にいろいろあって今じゃ定着しちゃっています。
そして、いきなりクロスチョップをしてきたこのちびっ子は日之下ひるか
私たちと同じ一年A組、見た目は子供、頭脳も子供という要するに馬鹿。
後ろでヒールが折れて転んでいる美少女は藤村転
スタイル抜群、頭脳明晰、経済から兵法まで、さまざまな知識のある天才です。
でも、八兵衛さんと競うぐらいのうっかり者で、学校にヒールを履いてくることもあります。
まぁ、私たちはたわいもない会話をしながら、ゆっくりと歩き始めました。
「ね、ね、トマト」
「な〜に〜よ〜、いきなり攻撃しておいて。そんなちびっ子の話は聞かん!」
「む、小さいと、それは言わない約束では!!これでも結構気にしてんだから!」
ひるかは顔を真っ赤にして、憤慨したふりをする。
「別にそんな約束した覚えないわよ」
「そんな殺生な、トマト殿〜。転、弁護してよ!」
「え!そ〜ですね。人間には必ずコンプレックスというものがあります。普段は意識下に抑圧されていますがちょっとした発言で意識するようになり、心に深い傷をつけることがあります。」
「それ弁護になってないよ。説明じゃん!」
あの、馬鹿なひるかが鋭いツッコミを入れると転は、右の人差し指を唇にあて少し考え始める。
そして、少しすると顔をあげ、万遍の笑みで一言。
「てへ」
ちくしょ〜、何だこの子は、コンプレックスまで可愛さに変えやがって。
「てへ」ってなんだよ、普通に出る言葉じゃないだろ〜。
まぁ、転にツッコミを入れると切りがないのでこの辺にしておこう。
そんな、哲学者が漫才をしたようなつまらない会話をしながら、永遠と続く田園風景の道をゆったりと歩く。
なんとなく学校の話をしておこうか。
私が通う県立ミラクル高等学校、県内でも一、二を争う名門学校。
なのに、校長が―
「生徒の自由を尊重するデシ」
とか意味わからんこと言い出して、校内は荒れほうだい。
転のようにヒールを履いてきても怒られない
髪は染めるわ、制服は改造するわでもうメチャクチャです。
でも、外見的なところは尊重するが、内面的なことや、あまりにも度がすぎると怒られるし、授業もしっかりしてます。
つまり、変な人が集まる普通の学校だ。………変な人がいるのに普通なのか?
そんなこと言ってるうちに新校舎になったミラ高(ミラクル高校の略)が見えてきた。
私達は玄関までの、無駄に長い道を歩く。
「ねぇ、トマト。ここ長すぎ」
「しょうがないでしょ!」
「転なんて後ろでへばってるし」
私は後ろを振り返る。転が足を引きずりながら、一歩ずつ歩み寄ってくる。
「待ってくださ〜い」
まぁ、私たちはかまわず進む。
「あっ!!そういえば、ひるか、なにか言いたいことがあったんじゃない?」
「ん、あ〜、別にいいよ。トマト絶対無理っていうし。」
「なによ、言ってみなさいよ!」
「え、じゃ〜…宿題見せて!」
「………………………帰れ!」
まぁ、長くなったけど、『くらッしゅ!』始まります!