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私の価値
病み系。
時計の針が、静かな空間で音を立てる。空気すらも閉じ込めた、私だけの空間だ。
時計の長針は、六と七の間にあった。
もう少しで、家族が起きてくる。父と母と、それから双子の妹。私の価値を否定する、瓜二つの上位互換。
私は、さっきまでタブレット端末で描いた絵をSNSにアップする。
私はプロフィール欄から、これまでアップしてきた作品を見返す。フォロワーは二百人を超えているのに、「いいね」はどれも一桁止まりだ。
私は眠るために、遮光カーテンを閉めようと、窓際へと近寄る。
向かいにある家の塀を、見慣れない黒猫が歩いていた。体の細い、尻尾が丸く太い猫だ。
私は黒猫の写真を撮り、SNSにアップした。すぐに通知音が鳴る。
「いいね」が付いたのは、猫の写真だ。私の作品は、道端の野良猫ほどの価値もない。
ご愛読ありがとうございます。