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語らぬ友情
男性同士の友情。恋愛系少々。
人気のない大学内の学食に、キーボードの子気味良い音が響く。大学新聞の制作だ。
窓ガラスに雪が叩きつけられ、固まっている。天気の荒れた夜空には、星一つの輝きも見えなかった。
「やっぱり居たか。病み上がりが大丈夫か?」
「いつの話だよ。もう元気だわ」
俺はPCの画面から視線を動かさずに、男に言葉を返した。ブリーチをかけた金髪に、ピアスを開けた男だ。
「看病してもらった? 彼女に」
俺は言葉を返さず、文章を打ち込み続ける。
男は小さな溜息を漏らした。
「なあ。何でそっちにしなかったんだ?」
背もたれに寄りかかって、窓の外を見た。
今の彼女と幼馴染。二人の姿を思い描く。
男は「別にいいけど」と言って、缶コーヒーを俺の傍に置いた。俺がよく買う微糖の缶だ。缶には「無理すんな」と書いてあった。
男の背を見送りながら、缶を丁寧に開けた。
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