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およそ原稿用紙1枚の短編集  作者: 柊 真詩
22/25

温もりでわたあめを溶かして

病み系。

 深夜二時。家族は寝静まっているだろう。

 九月に入ると、クーラーを付けない日も出てくる。けれど、お手洗いのためにリビングへ向かうと、冷涼な空気が満ちていた。

 さらに驚いたのは、母が電気も付けずに座っていた事だ。

 つらくない? 母の言葉が私を引き止める。

 私は言葉を飲みこんだ。

「絵は……どう? 最近は、前よりも苦しそうに見えるから。ねえ、もう充分頑張ったじゃない。これ以上……」

 私は耳を塞ぎながら、部屋へと駆け戻った。

――頑張らなくていいじゃない。

 その声を追い出すように、ドアを閉めた。

 私は袋の中でわたあめを小さくちぎって、口の中に放り込む。静かに溶けて、元々何もなかったかのように、消えていく。

 残るのは、粘っこい甘さだけ。でも、この甘さが小さい頃から好きだった。

 私は、わたあめみたいになりたいと思った。

ご愛読ありがとうございます。

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