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およそ原稿用紙1枚の短編集  作者: 柊 真詩
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看病

タイトルの通り。腐れ縁と片想い。

 あたしはガスコンロの火を弱め、キッチンに備え付けてある棚を開けた。

 真っ白な器を手に取る。隣にあった、色鮮やかな食器が目に止まった。今までになかった物だ。

 器に茹で上がったうどんを移し、鍋に溶き卵を加える。ふわりと立ちこめる湯気からは、かつおだしの温かい香りがした。

 ドアの向こうから、喉を削るような痛々しい男の咳が聞こえた。三十八度二分。最近できた彼女と初詣に行き、体調を崩したらしい。

 それを聞いて来てみれば、食事もせずに寝たきりの状態。しかも、移したくないと言って、彼女に連絡もしないでだ。

 馬鹿みたい。

 音上げて煮立っている黒いつゆの中で、固まった卵が揺れている。あたしは火を止めて、うどんを入れた器に鍋の中身を注いだ。

 本当に馬鹿みたい。

 あたしとあいつは、ただの腐れ縁なのに。


ご愛読、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 看病を読ませて頂きました。なんか「仕方ないなあ」って感じで世話を 焼く女性が微笑ましく思いました。この二人はこのまま恋愛感情が発生せず(片方に発生しても黙殺して)腐れ縁を続けて欲しいと思い…
[良い点] 短いながらもやりたいことが伝わって良いと思います、ラストの1行で、全く描写されていない人物が、しかしありありと浮かび上がってくるように感じました。少し照れてるような優しい表情
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