愛情指南 ~友達から恋人へ…~
「友達が欲しい!心が許せる本当の友達が欲しい!」
私の名前は霧浦友子。
友人絶賛募集中の女子高生だ。
今、友達が欲しくて出会い系サイトに登録して60秒経過したが一向にメールが来ない。
どうして私には友達が出来ないのだろう…。
友達が出来なければ彼氏なんて夢のまた夢だし、一緒にお墓に入ってくれる運命の相手が現れない。
ああ、なんて私は不幸なんだ。
その時、空間を引き裂いて超絶イケメンが登場する。
樽のような腹、性格の悪そうな目つき。毎日風呂に入っているはずなのに漂う不潔感。
「も、もしかして貴方は日本人唯一の政府公認無差別セックス許可証を持つ男、ふじわらしのぶ様では⁉」
私は瞳の中にハートマークを作って、醜いという言葉だけでは表現できない醜悪な存在を見てしまう。
ふじわらしのぶ様はパンツから値引きシールの貼ってあるおはぎを取り出して食べた。
(すごい。おはぎだってわかっているのに、何か自クソを食べているみたいに見える。これがセックスで世界を革命する男のカリスマ…)
私は鼻血を出して卒倒してしまった。
しのぶ様は百円ショップで買ったパンツで意識を失った私の顔を拭いてくれる。
ああ、なんか酸っぱい匂いがするな。
これってもしかしてしのぶ様の蒸れた玉金の袋に匂い?
ああ、今日は何て素晴らしい日なの?
私は臓腑が裏返りそうな嫌悪感に襲われながらも理性と意識を保った。
しのぶ様は私が爆発寸前である事を確認すると口の中にトランクスを詰める。
「俺の事を呼んだかい?子猫ちゃん」
もごもご。
ああっ、すぐにでも起き上がって貧相な珍宝が破裂するくらい殴ってやりたいというのにそれが出来ない。
私は眼球が内側から破裂するくらいの殺意を込めてしのぶ様を睨んだ。
「おっと口の中に俺のパンティが入ったまんまだったな。ごめんよ、子猫ちゃん。今すぐセコムを呼んで取ってもらおうねえ」
ふじわらしのぶはパンツの中からスマートフォンを出してセコムに連絡を入れる。
それから一時間後、セコムの危険物、爆発物処理班がやっとの思いで私の口の中に入ったしのぶ様のトランクスを取ってくれた。
「よいしょ…っと。うん、良い感じでグジュグジュしているね。もしかして歯とか磨かないタイプ?駄目だよ、そういう事じゃあ」
しのぶ様は私の唾液で汚れたトランクスを装着する。
その頃、私はセコムの社員から渡された領収書を見て愕然としていた。
だって…スマイル0円ですって?
もうしのぶ様ったらお茶目なんだから!
「しのぶ様。お願いします、私友達が欲しいんです。自分の乳頭とか陰唇(もしくは陰茎)の形状を気軽に話し合えるような心を許し合える本当の友達に出会いたいんです。よろしければ肉便器でも構いませんから私とお付き合いしてください」
私はぐっと頭を下げる。
こんなにお願いしたのは小学校に入る前、お父さんとお母さんにセックスしているところを見せてってお願いした時以来だ。
しのぶ様はニヒルな笑みを浮かべ、後ろを向くなり私にオナラをぶっかけた。
「馬鹿者ッ‼今のお前に友達を作る資格なぞ皆無ッ‼」
臭いッ‼
硫黄を焚いたような悪臭に私は思わず鼻をつまんでしまう。
でも悪いのは私、しのぶ様ではない。
しのぶ様は偽りだらけの私を心配して屁をぶっかけてくれるんだ。
しのぶ様、超ありがとう。
しのぶ様は「気にするな」とおならで答えてくれた。
「その資格とは、友達を作る資格とは一体、何なんですか⁉教えてください、しのぶ様‼」
私はその場で土下座をして頼み込む。
しのぶ様は首を縦に振った後、地面に座り込んで私の問いかけに答えてくれた。
「友達を作る資格とは、即ちお主の真心を他者に晒す事じゃ。友達になれるかどうかは最終的には相手の判断によるものだが、そもそも本心がわからぬような者同士が友情を結ぶなどという事はあり得んだろう…。桐生冬芽も”友達がいると思っている奴なんて馬鹿”と言っておる…」
西園寺…、お前は何て悲しい奴なんだ。
私は西園寺莢一に同情した。
気がつくとしのぶ様はダブルベッドの上に寝そべっている。
そして私に向かって手を招き…。私はしのぶ様の隣で身を横たえる。
今日私は少女から大人になるのだ。初めての相手がしのぶ様だなんて…。
「しのぶ様、それで友達を作る方法というのは…」
しのぶ様はトランクスの前にあるオチンチンを出すところから赤い天狗のお面を取り出した。
(もしかしてこれは鱗滝左近次さんのかしら…。だったら素敵)
私は天狗の鼻としのぶ様の股間を交互に見つめながら期待で胸がいっぱいになっていた。
「これを使え、友子。俺が愛用している天狗のお面だ。俺は毎日、このお面をかぶって銭湯に行っているのさ」
「嬉しい!しのぶ様からプレゼントをもらえるなら何だって大事にします!あ、そうだ。お礼と言ってはなんですけど私の陰毛で編んだミサンガとかどうですか?」
こうしてしのぶと友子の間にトレードが成立した。
しのぶは太い銅線のような友子の陰毛を食パン(四切り)に挟んで食べた。
ゴリ…、ゴリ…、ゴリ…。
うん、味はあたりめに似ているな。
友子は早速、しのぶからもらった天狗のお面をかぶる。あっという間に鱗滝左近次が完成した。
「よし、友子っち。そのお面をかぶって早速学校に行くぞ。私が友達の作り方というものを教えてやる!」
しのぶは戸惑う友子の手を引いて彼女の通う私立亜久女学園に向かう。
亜久女学園は名の知れた進学校で裕福な家庭の子女が通う事で有名である。
友子の叔父は外国でオナニー用の黒コンニャクを作る仕事で財産を築きあげ、若い頃世話になった姉への恩返しとして姪の友子を編入させた。
しかし一般家庭で育った友子は学園の素行不良な同級生から何かと目をつけられ、陰湿ないじめを受けていた。
何とか転校できないものかと仕事で忙しい両親や叔父に相談するわけにもいかず今回ふじわらしのぶ様を頼る運びとなった。
しのぶは制服に着替えた友子にそっと囁く。
「いいか、友子。人間の価値はそもそも第一印象で決まる。だからこれからお前は何を聞かれても”判断が遅い”と言って片っ端から相手をビンタするんだ…」
しのぶ様は空に向かってジャブを打つ。
ドカーン!ドカーン!
核ミサイルを搭載した戦闘機を撃墜した。
すごい、流石はしのぶ様。
でも私は人を殴った事なんか一度もない。
「ううう…っ。ごめんなさい、しのぶ様。私生まれてから一度も人を叩いた事なんて無いんです。無理です、私にそんな大それた事なんて出来ない。この天狗のお面も返します」
そう言ってから私は泣き崩れてしまった。
私の悪癖でいつも泣いちゃ駄目って思っているのに私の為に頑張っているしのぶ様にもうしわけなくて泣いてしまう。
しのぶ様は私に向かってかりんとうを投げつける。
ああっ…、今はこの黒いマテリアルがしのぶ様の固めのウンコじゃない事を祈るばかりだ。
「馬鹿ぁん!お主の友達が欲しいと言ったのは嘘か‼そんな事では友達はおろか恋人を作るなど夢のまた夢…、まずワシに謝れ!そして全世界の童貞のみなさんに”期待させてゴメンね。私は脱ぎません”と言って謝れいッッ‼」
しのぶ様は私が気を失うまでかりんとうをぶつけた後、亜久女学園に連れて行った。
「ここは…亜久女学園?嫌ッ、ここには辛くて苦しい思い出しかないの!嫌ぁぁぁーッ‼」
私は半狂乱になって泣き叫ぶ。
先日も勇気を出して登校したのだが、結局クラスメイトの前で”生意気な彼氏のアナルを2リットルのペットボトルで拡張してやった”という嘘をついたせいでハブられてしまったのだ。
ここは私のいるべき場所じゃない。
しのぶ様、どうしてこんな酷い事をするの…?
私はしのぶ様を見た。
しのぶ様は学校に入って十代の女性の姿を見てゲロを吐きそうになっている。
彼の職場は基本的に中年のおじさんとおばさんばかりなので十代の若者に対して極端な忌避感が生まれていたのだ。
もうマックとかで食べるの無理。
しのぶ様は私に向かって土下座をして謝る。
「友子、ここは”死”で満ちている…。早く用をすませて家に帰ろう。さあ、天狗のお面をかぶるのだ…ッ‼」
「ジェアッ‼」
私はしのぶ様からいただいた天狗のお面をかぶり、早速教室に向かう。
今は昼休みでみんなはお弁当を食べながら談笑を楽しんでいた。
ガラッ。
しのぶ様は扉を開いて教室の中に入った。
そして私はしのぶ様の後ろについて行く。
教室の隅の方では不良の幹事田穴美が派手な化粧をした友人たちと食事をしていた。
穴美の親は産婦人科と泌尿器科の入っている大きな病院の院長で学園でもトップクラスの金持ちだった。
穴美は私を見つけるとズカズカと黒板前までやってくる。
しのぶ様は私の前に立って穴美にこう言った。
「何だよ、すいぶんカッコイイおっさんだな。アタイをアンタのセフレにでもしてくれるのかい?」
「ほざけ小娘が!ワシのセフレにして欲しければまずは彼奴を倒してからにするがいい!さあ、友子よ!修行の成果を見せてやるのだ!」
木人、砂鉄掌、火の輪くぐり…。
私はエア修行の日々を思い出す。
そして鱗滝左近次になった気分で穴美の前に出た。
穴美は天狗の面をかぶった私の姿を見て下がってしまう。
「判断が遅いッ‼」
ビタンッ‼
私は穴美のほっぺに平手をお見舞いした。
穴美はビンタを受けたショックで舌を噛んで出血する。
穴美はこともあろうか涙を流しながら私を睨みつけた。
「何をするんだい‼アタイはこう見えて箱入り娘で、親父にだって殴られた事がないっていうの…ぎゃおおおおッ‼」
ビタンッ‼ビタンッ‼
私は穴美に往復ビンタをお見舞いする。
口で言ってわからないヤツはこうするしかない。
「判断が遅いッ‼ここが戦場なら今の攻撃でお前は死んでいたッ‼」
その後、私は穴美が口答えする度に殴ってやった。
一時間後、穴美はカレーパンマンのような顔になっていた。
途中で止めに入った先生は裸にしてお尻を百回ぐらい叩いたら学校を辞めてしまった。
こんな浮ついた気持ちで教師をやっていたなんて許せない。
すっ。
戦いを終えた私の肩にしのぶ様は手を置いた。
「友子よ、気が済んだか?」
「半分くらいは…。私、明日から毎日学校に行って穴美に教育を施します…」
何て温かい手。その温もりに私の心は癒される。
私はしのぶ様の手に頬ずりしながら目を閉じる。
しのぶ様は微笑みながら私の首にマフラーを巻いてくれた。
季節はいつの間にか夏になろうとしていた。




