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黒影さんは眼が見えない  作者: 12.7mmのセミオート豆腐
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夏の吹雪と酒の為 -2

今回はローグ視点です。

 ジルコニア龍王国の北、ペリカ皇国から更に北に約890km離れた所にある極限海。全ての寒気が生まれる場所として有名な小さな島と海。…恐ろしい事に夏でも海の水が凍っている所らしい。

 今俺はガタガタと揺れる小さな車で。その島の中を移動していた。

 此処にはどうやって来たって?ご覧の通り、船と車だよ。


「…なあ、隊長。この気温は火属性系統の龍にはちと厳しいぞ…。さみー」


「たしかにそうだな。…銃大丈夫だよな?」


 俺の隣で銃のオイルを綺麗に拭いて寒冷地仕様のオイルを注しているのは、俺らの隊長、ナイトメアだ。つか、こんなに揺れてんのによくそんなに細かい部品までやれるな。凄え。


「ローグ、お前は大丈夫なのか?彼処は俺も一度行った事があるが…オイルが凍ってジャムった事がある。1時間で凍るとは思って無かった…」


「ぐっ、隊長がそこまで言うのかよ。ならやっとくか」


「そうしろ、いくらお前の銃が寒さに強いと言ってもジャムったら終わりだからな」


 俺の銃はRPK-16。中〜近距離戦を想定したストックとスコープ、それに75連RPK専用ドラムマガジンを使用。ついでにサプレッサーも付いてる。

 この子の銃口から毎分600発の7.62×32mmの徹甲弾がばら撒かれる…。まぁ、コレがサイドアーム、つまりはサブ武器。メインは…

 と、ブレーキ音と雪を削る様な音と共に車が止まった。


「おし、着いたな。…予想より雪が少ないな。3m近く積もっていると思ってたが…」


「何だよ、そこまで寒く…いや、寒いな」


 初めは「見渡す限りの白銀の世界!雪まみれ!」を想像していたのだが、雪が浅く海もあまり凍っていない。こいつは寒気が来たんじゃなくて…


「出し切った後…か?」


「おい!ローグ!コレを見てみろ。“コレ”は…俺の見間違い…か?」


「逆に聞くけどアンタにはどう書いてある様に見えんだよ。俺からは“二ノ宮重工 建設予定地”に見えるが…ん?待て、二ノ宮?」


 何か悪い予感がして勢いよく隊長の顔を見る。そこには俺の予想通り、目を見開いた隊長の顔があった。


「………此処まで手を伸ばしてきやがったか、あの野郎…!」


「ちょお!待て!待ってくれ、隊長!他のとこの可能性もあるじゃねえか!」


 まぁ、他の所でも隊長の地雷踏む企業だろうけど。口にしない方が正解だろうな。

 てか、隊長がもうコントロールチームに確認とってるしペリカさんのとこにも確認とってる。仕事が早くて何よりです。


「力を持った天才は悪魔になるのか…」


「聞こえてんぞ、ローグ。…そうか、連絡は無いと、分かった。こっちで処理する」


 RPK出しといた方がいいなコレ。ぜってー、潜入からの殲滅。からの存在抹消及び根絶やし。俺からしたら他の企業であってくれと願いたい。


「ローグ?RPK出せ。今回は真正面から殲滅する。お前の得意分野だろ?“中距離からの圧倒的な弾幕と火力で制圧”は」


「うーわ、履歴書に書いた奴まだ覚えてんのかよ!何で覚えてられんだよ!」


「色々覚える事は得意でね、諦めろ」


 ジャコッ、という硬質な音を立ててライフルをコッキングする隊長。それに続いて俺もRPKのマガジンを確認する。

 よし、大体入ってんのは徹甲弾だろう。隊長の方は…うわヤッベ、対物ライフルに炸裂徹甲弾入れやがった…。


「えーっと、俺たちは人間と戦うんだよな?戦車じゃ、ねーよな?」


「…ん?コレぐらいがいいんだよ。頭吹っ飛ばすのはな」


 あー、俺じゃあ止めらんねぇ!どうしよ!


「助けて!レイスの姐さん!この隊長クソ怖えよ!何でこんな人と結婚しちまったんだよ!」


『えー?リュー君結構優しいよ?やる事は全力でやるし。それにさ、昔は仲間は誰も信用してなかったからローグ君は結構信頼されてるよ。今更だけど』


「回答になってねえ!いや、なってんのか?」


「さっさとしろ、ローグ。お前が俺のレイスと話してる間に2人は吹っ飛んだぞ」


 ひえー、眼ェ座ってるけど口だけ笑ってる…。さて、そんな事はさて置き急がないと。時間はあるけど無限じゃねえ。早い方が俺の本命を出さなくてすみそうだ。


「ローグ、お前も染まってきたなぁ。俺は同士が増えて嬉しいよ」


「あれ、俺笑ってたか?」


「此処には鏡が無いからな。俺しか分からんがかなり、歪んだ笑い方だったぞ」


 うわマジか笑った記憶ねえんだけど…。まぁ、いつもと内容は変わらない。


「近くの敵は〜っと。…居ねえ」


「建物周辺は終わった。中はお前がメインだな」


 いつの間にか血塗れになった隊長とその手にある…人間だった様な物の…何これ?心臓?分かんねえや。


 ま、隊長のいつもの悪癖が出てないからドンピシャで二ノ宮だったんだろうな。不自然に髪の毛だけ血に染まっていない隊長と一緒に建物に乗り込む。

 初めは歩きだったが段々と足が早まり、最終的にはRPKを構えた状態で窓から突入していた。


 甲高い音を立てて割れる窓ガラス、いきなりの襲撃で呆気にとられる人間達。


「イヤッホー!!頭を出せー!刈り取ってやるぅー!!」


「……スキルの最大使用段階を調節。レベル20までを無条件で使用可能に変更。いいな?殲滅だぞ、ローグ」


「わーってるよ!言われなくても!」


 突入した事でハイになった俺のすぐ後ろからスライディングする様な姿勢で飛び込んできた隊長と一緒に、俺の大好きな殲滅戦を開始した。

 ローグのちょっとした説明

精鋭隊の2代目隊長。夜は副業としてバーを営む。一応特殊部隊のリーダーなのに、バーの店長やってていいのかよ。誰に対しても軽めだったりする。メイン武器はその内出します。次回もお楽しみに。

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