深夜テンションと火力主義
今回は深夜テンションでおかしくなったナイトメアの失敗談です。ロシア語がバンバン出ます。翻訳は信用しないで下さい。
ナイトメアが狙撃任務を終えてから2日後、精鋭隊の武器工房でナイトメアが何かを言いながら、ティーガーIIの主砲を前にノートにこれまた何かを書き殴っていた。
遠くからみると計算式にも、設計図にも見える。
「Блят Почему |такая штука осталась! Это наследие предыдущего поколения!」
いつも以上にロシア語が迸るナイトメア。何故彼がこの様に頭を抱えているのかというと、1時間前に起きた事件が発端だった。
「なあ!隊長!スカベンジャーの子達がこんな物掘りだしたんだよ。見てくれ!絶対に驚くぜ!」
「…あぁ?何が出て来たんだローグ?ウランか?それとも石油か?まさか、骨の塊だとか言うんじゃねえだろうな」
ローグと呼ばれる赤髪の青年はナイトメアの問い掛けに全て首を横に振った。ローグは精鋭隊の2代目の隊長、ナイトメアの後輩にあたる人物だ。
「出て来たのがな、ティーガーIIなんだよ。信じられるか?そんなに錆びてねぇしよ」
信じられないがここ、ジルコニア龍王国では地面を掘ると色々出てくる事が多い。1番大きい時は戦艦が丸ごと埋まっていた事もあるそうだ。現場では、スカベンジャーのアングラを筆頭になんとか70t近くある戦車を引き揚げていた。
「うーわ、Ты спятил?本当にティーガーIIが出て来たのかよ」
「俺はアンタと違っていつでも正気だぜ?…それでさ、隊長。コイツで造って欲しいもんがあるんだ」
「限りなく嫌な予感がするから断っても良いか?」
「そんな無体な!やめてくれ、造ってくれよ〜!」
子どもの様に駄々を捏ねる23歳の大人の男なんて見たく無かった。そして、いつもなら喜んで引き受けるのだが、今日は引き受けるのを渋った理由がある。
2日前の狙撃前からずっと徹夜を続けていた。その合計日数、なんと25日。不眠にも程がある。
「くっそ…。ローグ、理由は何だ?言え。さもなくば俺は帰って寝る」
「あああああ!分かった!分かったから!言うよ!…理由はな、防衛設備の強化だよ」
「あれ?師匠、防衛の強化する所ありましたっけ?」
何となくローグの言う“防衛する場所”が分かった気がする。…恐らく、ローグの故郷だろう。コイツは精鋭隊に入隊した理由もそうだったからだ。
「分かった、いいだろう。やってみよう、いややる。おまえの為でもある」
「マジで!?よっしゃぁ!」
…という事がナイトメアを悩ませる発端だった。
「Если бы я вспомнил происхождение истории, я бы смог этосделатьно не знаю, что делатьま、作るか!」
完全に深夜テンションの延長線である。設計図にはティーガーIIの主砲部分をマシンガン用の三脚にくっ付けただけの様にも見えるし、高射砲の様にも見える。言わば「ゲテモノ兵器」である。
「よし、試し撃ちすっかぁ!」
完成させてから直ぐに駆けつけたローグと、オドオドしながらも着いて来たミラを観客に精鋭隊の重装射撃訓練場で試し撃ちする事になった。もちろん、戦車の主砲から出る弾は音速を超える。耳栓は必須だろう。
今回使用する弾は剛性核徹甲弾。確か砲口初速は
…1200m/s、だったか?
「まぁ、いいか。兎にも角にも、発射ァ!」
前から睡眠不足と疲労、そしてティーガーIIの砲撃音に耐えられなかったナイトメアはその轟音で気絶した。近くにいたローグは腰を抜かし、ミラは泣き出したらしい。幸いにも他に人はいなかった為、物的被害は窓ガラス数枚がはじけ飛んだだけ。安心した。
「はは、Блят。ちゃんと休まねえとな…」
前回の話は大勢の閲覧、ありがとうございます。拙いですが、これからもどうぞよろしくお願いします。