盲目の狙撃手
グダグダの投稿、不定期更新、よく分からない能力、ロシア語が漏れ出る。そういった事が大丈夫ならどうぞよろしくお願いします。
現在、時刻は午後7:00を回ったところ。一般的な家族を持つ者は家で夕食を食べている時間だろう。そんな時間に、
「あぁー、クソ。さっさと出て来てくれー、頼むからさぁー!」
ビルの上で気怠げにスナイパースコープを覗き込む白髪の青年が居た。右目に淡い水色の包帯を巻き、残った左目は紅く生気が無かった。彼の名前は黒影龍太刀…ではなく、彼のコードネームの[ナイトメア]になっている。
「わー…風強ーい…。師匠、大丈夫ですか?もう14日も寝てないし、この風も…」
「大丈夫、当たるんじゃねぇ。“当たりに来る”んだよ、コイツは」
ナイトメアの後方からサンドイッチを片手にやってきた少女はナイトメアの一番弟子のミラである。そのミラがサンドイッチを一切れ食べ終わった頃に、「あ、来た」と間抜けな声をあげてしまった。
わざわざ狙撃予告まで出したと言うのに護衛も連れずにノコノコ出て来たターゲットに照準を再度合わせる。
「上に.5、左に.7修正…」
今回はスカウトの役割をしているミラの言う数値を元に修正して、撃つ。
12.7mmの特殊徹甲弾、通称[スピアアモ]がターゲットのこめかみから脳幹に直撃する。かなりの勢いで倒れるターゲットを尻目にナイトメアとミラは撤収の準備を済ませる。
「あれ、そう言えば今回の仕事を受けた理由は何だったんですか?やっぱり、復讐関係?それとも…」
「まぁ、復讐って事で良いよ。俺が受けるのは復讐関連だからな」
ナイトメアが狙撃をする時には必ず、包帯の巻かれている右目でスコープを覗く。反対側の目では覗かない。何故なら、
彼…ではなく彼の中に含まれる“彼達”は全員、両眼が見えていない。いわゆる盲目だ。
「でも、師匠のスコープどうなってるんでしたっけ。忘れちゃって」
「またか、俺のスコープは指向性マイクになってんだよ。スコープを覗いた先の場所の音を聞いて判断してるだけだ」
「じゃあ、その天才的な狙撃の腕は?」
「俺の今は亡き師匠に叩き込まれた」
「そうですか。やっぱり、人を殺しても何も感じないんですねー、師匠って」
彼らが人を殺したと言うのに何も感じていないのは、彼らが人間では無い「龍」だからだろう。中でもナイトメアを中心とする精鋭隊はそう言った者が多い。なんせ彼らは…
「特に俺達は人の道から外れた化け物だからな。あぁ、あと流石に銃の反動は感じるぞ」