僕の体は、棘棘でいっぱい。
僕が産まれてきた頃から、僕の体にはとげとげが
いっぱいあったんだって。
僕が産まれたのは、秋から冬に変わる季節だった。
少し肌寒く、枯れ葉が風で舞落ちる。
僕のママは、僕を何度も何度も抱きしめようとしたけど?
僕の体はとげとげ。
どんなに僕の事を愛していても。
とげとげの僕の体を触る事させ大変だったらしい。
僕が泣いている時も。
ママは、僕の事が心配で心配で、、、。
なんで泣いているのかさえ分からないのに、僕の体はとげとげ。
触りたくても触れない。
おむつなの? お腹がすいたの? どこか悪いの? なんで泣いてるの?
ママは何度も何度も、自分に【自問自答】したんだ。
【ママ! ごめんね。】
そうやって! ママは、僕の前で一人泣いていた。
そんな僕も、少しずつ成長していく。
大きくなっていくにつれて、僕の体のとげとげも。
少しずつ成長していってるみたいだった。
とげの一本一本が、しっかりしてきて太くなっている。
小さなとげとげが何本かくっついて、1つになってるみたいだ。
ママが僕を赤ちゃんの頃からよく連れていく病院の先生に診てもらうと?
『・・・うーん? なんでこんな事に!? この病気は稀な病気で
治療法もありませんし、どうしたらいいのか?』
『・・・先生! それをどうにかして治してください。』
『お母さんの気持ちは分かりますが、、、私の先輩医師に聞いてみます!
何か? 治る手掛かりがあるかもしれません。』
『どうか! よろしくお願いします、先生。』
『はい!』
僕のママは、僕の病気を治すのに必死だった。
僕をギュッと抱きしめる事がママの夢なんだって!
ママが泣きながら僕に教えてくれた事があるんだよ。
僕も、1度でいいから? ママにギュッと抱きしめてもらいたい!
どんなに、お互い想い合っていても出来なこともあるんだね。
【ママ! ごめんね。いつも僕の事で泣かせてばかりで。】
・・・数ヶ月後。
僕の主治医の先生から、僕の家に連絡があったんだ。
『お母さん! 息子さんの病気が治るかもしれません!』
『・・・えぇ!? 本当ですか、先生!』
『はい! 私の医師の先輩が、息子さんの病気について治療法を
ずっと探していた方がいまして、その先生なら! きっと息子さん
の病気を治せますよ。』
『どうか! どうか、息子の病気を治してください。』
『今度こそ! 大丈夫です。』
『ハイ!』
僕の病気を治す治療費や諸々かかるお金は、、、?
寄付やボランティア活動、病院側が治療費は0円と言ってくれて
何とか? 僕は手術をする事になった。
ママは、涙を流していた。
僕の為に、“嬉し泣きで泣いてるのよ。”って!
僕もママから、もらい泣きをする。
・・・更に数か月。
僕の手術の日、僕の為にたくさんの人たちが僕を応援しにきてくれた。
僕は、元気にみんなに笑いかけて手術に挑んだ!
でも、本当は手術する事が怖かったんだ。
そんな僕の心をママだけは、知っていた。
【大丈夫よ! きっと病気は治るから! 心配しないで行ってきなさい!】
僕は、ママの言葉に背中を押されて手術室に向かった。
そこには、“神の手を持つ医師”が待っていた。
【何にも心配ない! 目を覚ましたら? 無事に手術は終わっているよ。】
【うん!】
・・・僕は手術を無事に終えて、病室のベットで眠っていた。
麻酔がまだ効いている。
ママは、僕の手をギュッと握って僕が目を覚ますのを待っていた。
僕は、麻酔が切れて目を覚ますと。
ママは、夢だった“ギュッ”を僕にしてくれた。
【手術後、初めてのギュッだね!】
ママはそう言って、笑って泣いていた。
僕は、ママにもう1度ギュッしてとお願いした。
ママは、もう一度ギュッってしてくれた。
【治って良かったね!】
【うん!】
僕は、1か月後。
無事に、退院する事が出来た。
今は、毎日1回はママとギュッってするよ。
ママは、ずっと僕とギュッってしたかったんだって。
だから、僕もママをギュッってするんだ!
もう、僕の体のとげとげはなくなった。
【さようなら、僕のとげとげさん。】
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