第二話
俺は転生したらしい。
前世では俺は、受験真っ最中の高校3年で、卒業間際だった。名前はもう覚えていない。
しかし、生きてきた約18年間に起こった出来事はしっかりと覚えており、覚えた知識も経験も全て思い出すことが出来る。生憎と嫌なことまで。
俺は肌が生まれつきとても弱かった。すぐにかぶれるし、草負けするし、小学5年生にになると、ニキビができ始めた。ニキビを治すには何でもした。毎朝、毎夜丁寧に顔を洗い、保湿をした。枕カバーは母に頼んで毎日変えて貰った。お肌のゴールデンタイムには必ず寝るようにしたし、これでもかという程、ニキビに対する対策をした。
でも、一向に良くならなかった。
ある日からニキビを治す努力をするのを止めた。
隠していく努力を始めた。とはいえマスクをしていく程度だったが。
会う人全てに
「ニキビさえなかったらねぇ…」
と言われる俺の人生。なまじ俺の親の顔が良かった為に俺も顔が良かった。世にいうイケメンだったと思う。
何回も幾度となくニキビに苦しめられる俺の人生。この先どうなって行くんだろう。
そんな事を考えながら受験勉強をしていた中の出来事だったんだ。
俺は転生した。
今世の俺は前世の俺より顔が良いらしい。金髪碧眼のいかにも王子様といった容姿だ。
何より素晴らしいのはこの肌!!
肌荒れが一切なく、ツルスベ肌だ。
今世は肌荒れに悩まされなくて良さそうだ。
だが、まだ油断は出来ない。
今の俺は12歳。
まだまだいつ肌荒れしてもおかしくない年齢だ。
そんな事を考えながら自分のほっぺたを触っていたら、医者から「問題ありません」との言葉を貰ったお母様が、俺に抱きついてきた。
「本当に良かったわ。アレスが無事で。本当に心配したんだから。」
俺の事をぎゅっとキツく抱きしめながら、泣いているのか体を震わせているお母様。
俺は相当心配させてしまったらしい。
「お母様。ごめんなさい心配掛けて。僕はもう大丈夫だから!!」
俺もお母様の背中に腕を回す。
しばらく俺たちはその状態で、抱きしめあっていた。
優しさの滲む表情を浮かべながらこちらを見守っているお父様に見守られながら。
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