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Revolt  作者: ハイマン
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18話「父の思い」

「あなたですか、レボルトの正体をスクープした記者は。」

敦彦君が問題ないと言っているとはいえ、僕はあまりいい気分ではない。軽率にこんなことをされると敦彦君が狙われてしまうリスクも高くなる。

「申し訳ないと思っています。でも今日はどうしても聞きたいことがありまして。」

この期に及んでまだ何か聞こうというのか。なかなか図太い人だな。

「EVは機械にしか感染しないのではなかったんですか?どうして父が…」

まあ父親が感染されたとあっては気になって仕方ないか。さっさと答えて帰ってもらおう。

「あなたが見た通りですよ。EVは生物にも感染して宿主を操る。あなたの父親が選ばれた理由は分かりませんが、そういうことですよ。」

あ、少し言い方がきつかったか。父親の死を知ったばかりなんだからもう少し優しく…

「大ニュースじゃないですか!さっそく記事を書かないと!」

懲りてないなこの女。

「やめて下さい。今そんなことを周知してもいたずらに不安をあおるだけだ。それにEVは明確な目的を持って動いている。それが分かるまでは下手に刺激しない方がいい。」

語気強めに否定すると、少しシュンとした。分からない人だな…

「…父は、昔からスキャンダルばっかり追いかけまわしてるくだらない記者でして。」

死んだ肉親に対して辛辣だな、おい。

「でも記者としての信念は絶対に曲げない人でした。真実は決して曲げずに伝える、そういう人でした。」

なるほど、この人も自分なりに父親のこと尊敬していたんだな。

「私は父の思いを受け継ぎたい…だから、真実を知ったからには伝えずにおくなんてできません!」

父の思いを受け継ぐ、か。僕と同じだな。…あ?こいつ僕の話聞いていたのか?だからそういう問題じゃないって言ってるだろ。結局そのあと数時間にわたって説得する羽目になった。これだからマスコミは嫌いなんだよ。

父の思いと言えば、僕の父の遺したサンダー・アーマーについての論文。相変わらず手掛かりはないが、一つ引っ掛かることがある。これは英語で書かれている。学術論文を英語で書くのは別に変な話ではないが、僕の父に関していえばこれは「変な話」なのだ。父は生前「私の論文を読みたいなら海外の学者が日本語を学べばいい」と常日頃から言っていて、実際父の遺した論文はすべて日本語で書かれていた。それなのにどうしてこれだけは英語なのか。

「博士、お客さんもう帰った?」

蜜絵さんか。ラボに来るのは珍しいな。

「部屋の掃除してたらこんなものが…」

これは…父さんの日記じゃないか。そういえば蜜絵さんの部屋は元々は父さんが使っていた部屋だったな。父さんが日記つけてたなんて知らなかったな…。とりあえず蜜絵さんにお礼を言っておく。日記には研究のことや家族との思い出が書かれていた。懐かしい思い出ばかりだ。それにしてもこの日記変だな。1ページ目に10月12日のことを書いているかと思えば次のページには3月5日のこと、その次のページには8月18日のこと、と順番がめちゃくちゃになっている。残り2冊の日記も同じだ。あの几帳面な父がこんなことをするか?そして3冊の日記の最後のページにはいずれも、「我が息子直也に託す」と書かれている。ただの日記なら「託す」などとは書かないはずだ、これは父からのメッセージだ。…まさかこの論文と何か関係が?もしかしたらそういうことかもしれない。日記のページ数と日付を論文中の単語と照らし合わせてみる。つまりこういう具合だ。

p1.10月12日→p1.10行目12個目の単語

こうしてつなぎ合わせていくと…ビンゴだ。一つの文章が完成した。


こんな伝え方になってしまってすまない。だがこうでもしなければ“彼ら”に勘付かれてしまう。人類は、地球の生物は彼らによって太古より支配されてきた。最悪の場合彼らはいずれ不要になった我々を排除するだろう。良くても器として利用されるぐらいだろう。その時に備えてこれを完成させてほしい。彼らの支配を覆す革命の戦士、という意味を込め“レボルト”と名付けたい。レボルトとイブが一つとなれば、彼らの想定を超えた力が生まれるだろう。


…“彼ら”というのはおそらくEVのことか。この文章によれば父の想定ではボルテッカーではなくレボルトが本来の姿であったということになる。そういえば幸平の適性はギリギリ使えるって程度だったしな。父がEVの計画を知っていてこの文章を書いたとすれば、排除とか器とか、あまり穏やかではなさそうだな。まあ、それはある程度予測できたことか。それより問題はここだ、このイブという名前…これがEVを倒す鍵になるというのか?それに父はどうやってEVのことを知ったのか。

「また謎が増えたな…」

でもこれではっきりした、父がサンダー・アーマーを設計したのは人類の平和を守るためだ。父の思いを受け継ぐためにも、僕も自分にできることを…

「なるほど、この論文にそんな思いが込められていたとはね…」

「…志波、いつから居たんだ?」

声がしたので振り向くといつの間にか志波がラボの中に入ってきていた。

「蜜絵さんが日記を渡しに来た時からだよ。君ホント周りが見えてないよね。」

…気づかなかった。

「で?君はどうするのさ。」

「どうするって…今まで通り全力で敦彦君達のサポートを…」

「サポート、か。それでいいのかな?」

「どういうことだ?」

「ほらこれ、返すよ。」

これは…僕が開発した量産型アーマー…

「EVが防衛大臣に感染してたってことはそれの量産化も奴らの計画の一部だと僕は思ってる。でもせっかく開発したんだ使わない手はない。」

志波の奴、何が言いたいんだ?

「君が戦えよ。交野先生の、君の父親の思いを君の手で叶えるんだよ。」

…僕が戦う?いや、しかし、敦彦君のサポートは…

「レボルトのサポートなら井田さんに任せればいいだろ?彼女は優秀だよ。」

まあ、確かに杏さんは優秀だが…

「いつまで他人に戦わせてるんだよ。僕と、君と、幸平とで『三人で世界を守ろう』って誓ったのは、嘘だったのか?」

サンダー・アーマーを完成させたときか…嘘じゃないさ、でも僕は…

「もういいよ、邪魔して悪かったね。」

そう言って志波は立ち去っていった。




18話・完


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