16話「人類の希望」
「レボルトぉ…会いたかったよ…」
このEV、大牟田さんと志波さんの二人を相手取って圧倒するなんて相当強いに違いない。最初からスパークモードで行くか。
Mode:Spark!
スパークモードで火花を散らしながら突っ込んでいく。だが全くかわそうとする気配がない。それならこのまま決めさせてもらうぜ!
「待て敦彦!むやみに突っ込むな!」
大牟田さんから声が飛ぶが今から停止しても間に合わない。そのまま敵のEVに突っ込んでしまう。
「だめじゃない…仲間のアドバイス聞かないと…」
そういうと叩き込んだ電流がすべて俺のほうに跳ね返ってくる。ぐっ…これは一体…
「そいつに与えた攻撃は全部跳ね返ってくるんだよ!ああ、もう見てられないよ!」
「おい、志波無理すんな…」
「動けない奴は黙ってろ!」
志波さんが敵の攻撃を、ダメージを与えないように受け流す。でもこれじゃいつまでたっても埒が明かない。どうすればあいつを倒せるんだ…
「君じゃない…レボルトだよ…僕たちの目的は…」
「なら尚更やらせないね!」
俺の攻撃が全く通じてなかったってわけでもなさそうなんだよな。でも跳ね返ってくるからむやみやたらと攻撃できない…
「志波さん、離れててください!俺思いつきました!」
「なら任せるよ。決めてくれよ。」
危険な方法だけどこれしかない。要は一撃で決めればいいんだろ。俺はもう迷わない。
Voltage max!! 1000000000V!!
「ビリオンボルトパンチ!!」
「忘れたの…全部跳ね返ってくるんだよ…」
「知るかそんなこと!」
電流が跳ね返ってき始めるがここで攻撃を止めるわけにはいかない。電流を流し込み続ける。みんなが俺を頼ってくれてるんだ、こんなところで…
「っ負けてたまるかああああああああああああああああ!!」
そのまま一気に殴りぬける。なんとか全部跳ね返ってくる前に倒し切れたみたいだ。大牟田さんと志波さんが駆け寄ってくる。
「敦彦、お前…無茶しすぎだろ。」
「どんな策かと思えば…全く呆れるよ。」
「へへ…すみません…でもこれしか思いつかなかったんで…」
今度こそちゃんというんだ。志波さんの目をまっすぐ見据える。
「俺皆を守りたいです、本気です。」
志波さんがため息をつきながら呆れ顔で答える。
「…なら勝手にしなよ。」
「はい!勝手にします!」
「おいおい、大スクープだぞ沙希!」
「まさかあの子がレボルトだったなんて…」
「帰ってさっそく記事にするぞ!」
「ガッテン!」
家に帰ると蜜絵さんが真っ青な顔をして出迎えてくれた。食器でも割ったかな?
「あ、敦彦くん…これ…」
そう言いながらスマホの画面を見せてくる。
▼スクープ!レボルトの正体判明!
少年がレボルトに変身する決定的瞬間(写真1枚目)
顔にはモザイクかかってるけど、どう見ても俺だなこれ…いつの間に…ていうかさっきの写真だな、誰が何処で撮ってたんだ?全然気づかなかった。
記事・風間晴之
風間っていったら…さっきの記者さんか!誤魔化し切れてなかったのか…
「ど、どうするの敦彦くん、正体ばれちゃったよ?」
蜜絵さんは俺以上にうろたえている。確かに困った、この写真だと俺のこと知ってる人が見たら確実に俺だってわかるだろうし。バイト変えないとダメかなあ。マックさんにはまだまだ教えることがあったんだけど。とりあえず記事の続きに目を通してみる。
…レボルトに関しては好意的に感じている人が大多数であるが、一部には、正体不明の存在であるレボルトをヒーローとして頼らざるを得ない状況に不安を感じている人もいた。しかしこれではっきりしただろう。私たちと同じ人間が、EVの脅威から人々を救うために勇敢に戦ってくれているのである。彼はまさに『人類の希望』である。…
風間さん…。こんなこと書かれたら嬉しくなっちゃうよ。
「あのー、敦彦くん?」
「ん?ああ、大丈夫だよ蜜絵さん。心配しないで。」
俺がみんなを守るんだ。もう迷わない。なんたって俺は『人類の希望』だから。
「…アダム、ラムダが倒されてしまった。」
ガンマからの報告を受ける。ああ、そうか、ラムダが…
「やはり仲間を失うというのは悲しいものだね…」
ガンマも黙ってうなずく。そして部屋の片隅のPCを遠隔操作で起動する。
「しかし悪い知らせばかりではない。レボルトの正体を突き止めた。荷田敦彦という人間だ。」
「そう、彼も頑張ってくれたんだね…それで、レボルトは今どの段階かな?」
「ああ、間もなく最終段階に差し掛かる。しかしそのためにはまた仲間を刺客として差し向けねば…」
「悲しいことだけど仕方ないよ。計画がうまくいけば犠牲になった仲間も僕の力で復元できる。」
できれば人間もEVも死んでほしくない。しかしここでやめたら今までの犠牲もすべて無駄になる、止まるわけにはいかない。たとえこの計画が人間をすべて滅ぼすものだとしても。
16話・完




