15話「引退勧告」
博士のラボに呼び出されると、なぜか大牟田さんと志波さんも一緒にいた。あの二人いつの間に仲直りしたんだ?悪いことじゃないけどさ。カイが気に病む必要なかったんじゃないか?そう考えていると、志波さんが話を切り出す。
「呼び立ててすまない。単刀直入に言おう。君、レボルトは引退しないか?」
……………へ?なんで?理解が追い付かずにいると、志波さんがさらに付け足す。
「先日僕とオメガが交戦したEVは君を、レボルトを探していた。君が前線に出ていけば奴らの思うつぼだ、奴らの“計画”とやらの全容がつかめていない以上迂闊なことはすべきでない。それに、君はもともと戦う必要のない人間なんだし、ここらで重荷を下ろしたらどうだい?」
優しく、理路整然と諭される。言ってることはもっともだけど、でも…
「敦彦、あんなこと言った俺が言うのもなんだが…、俺もお前はもう戦わなくていいんじゃないかと思う。俺や志波がいるわけだし。あ!でも安心してくれ。お前の決意はしっかり引き継いでやるから。」
ちょっと、大牟田さんまで…博士のほうを見るが目をそらされてしまう。博士も大体同意見ってことか…
「いやでも、俺はレボルトとして皆を守りたいんです。」
「守りたい、ねぇ…自分の信念のために戦えない奴の戯言だね。」
精一杯の反論も志波さんにぶった切られてしまう。理屈はわかるけど、でも…
「考えておいてくれよ、答えは一択だろうけど。」
志波さんが俺の肩にポンと手を置いて立ち去っていく。…いやどうすりゃいいんだよ。まあ確かにEVの狙いが俺なら俺がわざわざ姿を現してやる必要はない、っていうのは正論だけど。この間大牟田さんにボコボコにされて、目一杯悩んで、蜜絵さんに助けてもらって、戦う覚悟決めたのに、なんでそんなこと言うんだよ…。はぁ、明日もバイトだし今日のところは寝るか…
結局答えは出ない。考え込みすぎてバイト中もずっと上の空で、マックさんにも心配されてしまった。やっぱり俺、やめた方がいいのかな。
「すみません、少しお時間よろしいですか?わたくしフリーで記者をやってる風間と申します。この子は私の娘でして、助手をしてくれております。」
ボーっと歩いていると男性と女性の二人組に声をかけられる。記者さんが俺に何の用だろう?
「今世間をにぎわせている謎のヒーロー・レボルトについて街の人の話を伺ってるんですよ。あなたは、レボルトについてどう思ってますか?」
どう思うも何もそれ、俺なんだけど…。
「正直よく分かんなくって…続けるべきかやめるべきか、どうするのが正しいのか俺には分からない…」
勢いで変なことを口走ってしまった。記者さんたちもキョトンとしている。やばい、誤魔化さないと。
「あ、えーと、他の人はどんなこと言ってたんですか?ほら、俺レボルトの熱狂的ファンだから気になっちゃって!はっはっは!」
娘さんがはあ、と言いながらメモを開く。勢いで口走っちゃったことは勢いでごまかすしかない。
「好意的な意見がほとんどですよ。『人類の希望』とか『俺達の救世主』だとか。でも正体に関する情報は掴めてないですねー…あっ!」
「おい、沙希お前!口滑らせてんじゃねえよ!俺らがレボルトの正体探ってんのは秘密だ、って言ってんだろ。はっはっは、いやー、ご協力ありがとうございました!では私たちはこの辺で!」
そういうと嵐のように去って行った。…人類の希望に救世主か。そんな風に言ってくれてるなんて知らなかったな。
「騒がしい人たちだったね。君も大変だね。」
今度は見知らぬ青年から声をかけられる。でもなんか聞き覚えがあるな…
「ひょっとしてカイ?」
うん、と満足そうにうなずく。正解だったみたいだ。
「事情は大体わかってるよ。…志波君は一人で背負い込んじゃうところがあるからね。君を巻きこみたくないんだと思う。でも、だからこそ君やオメガに彼を支えてほしいんだ。…残念ながら志波君は僕を良く思ってないみたいだから。」
「カイ…俺さっきの記者さんからレボルトの評判聞いたんだよ。すっごくレボルトのこと頼りにしてくれてた。答えなんか最初から出てたんだ。もう迷わないって決めたはずなのに情けないよ。みんなを守るって言ってたのに守りたい人たちの声が聞こえてなかった、戯言って言われても仕方ないよ。」
カイがそれを聞いて、そっか、とまた満足そうにうなずく。
「早速なんだけどさ、今志波君とオメガがEVと戦ってる。結構苦戦してるみたいだ。」
「分かった。場所を教えてくれ、すぐに行く。」
「なあ、沙希。さっきの男の子、どう思う?」
「あの熱狂的なレボルトファンの子のこと?普通の男の子だと思ったけど…」
そう聞き返すと父がため息をつく。
「あのなあ、どうみてもただのファンじゃねえだろあれは。レボルトのことなんか知ってるぜありゃあ。」
そうかなあ。父のジャーナリストの勘ってやつは結構当たるけど。今まで芸能人のスキャンダルばっかり追いかけていた父が急にレボルトの正体を突き止めるなんて言い出したのもやっぱり勘って奴なのだろうか。
「あと、あんなふうに口滑らせんのやめてくれよな。マジのやばい国家機密かも知れねえんだから。そんなんじゃ一人前のジャーナリストになれねえぞ。」
実は街での聞き込みを開始するより前に防衛大臣への取材を取り付けることに成功していたのだが、取材直前になって大臣が行方不明になってしまった。だからレボルトの正体は知ってはいけない機密情報なのではないかと警戒してるんだけど、そんな警戒するぐらいならやめておけばいいのに。父は危険だから一人でやると言っていたけど、放っておけないので私も仕方なく手伝っている。
「よし、決めた!あの少年を尾行する。行くぞ、沙希!」
はいはい、ついていきますとも。あの子はどこに行ったかな、まだそんなに遠くには行っていないはず…お、いたいた。誰かと話してるな。距離が遠くて会話の内容は聞こえないけど。話が終わったと思ったら、突然走り出してしまった。勘付かれたか?いや、まだそうと決まったわけじゃない。こちらも走って追いかける。だが追いかけた先に驚くべき光景が広がっていた。レボルトによく似た人達が3人。一人が立っていて二人が倒れている。どうやら父の勘が当たったようだ。あの少年は確実に何か知っている。3人と少年が何か話し始める。隠れて様子を見守る。
「なぜ来た?奴らの狙いは君だといったはずだ。」
「志波さん、俺やっぱりみんなを守りたいんです。それに俺が狙いなら、俺が出て来るまでこいつらは人を襲い続ける。俺が狙いだっていうならいつでもかかって来い、何回だって返り討ちにしてやる。俺が、荷田敦彦が、レボルトだ!」
Thunder armor set up! Type_Revolt
ええ~っ!?…しょ、正体突き止めちゃった。
15話・完




