10話「反発する磁力」
「殺しに来たんだ、君のこと。」
は?何かの冗談か?やっぱりお袋さんのこと無神経に聞いたから怒ってんのかな。
「正体表せよ、オメガ。」
「!何でそのことを知ってる。」
「お前に教える必要はない。」
ステッキに電池を突き刺しアーマーを起動する。やるしかないのか。こちらもEVアーマーになる。いきなりステッキで殴りかかってくる。あれ食らったら何となくやばい気がする!志波の攻撃をかわしながらなんとか会話を試みる。
「待ってくれ!なんで俺達が戦う必要があるんだ!」
「お前が、EVだからに決まってるだろ!」
「俺は人間を襲ったりしない!」
「EVの言葉なんか信用できるか!」
くそっ、ダメか。これじゃあ話にならない。こいつ昔はこんなに頑固じゃなかったんだけどな。それにこれ、全部かわすのは無理あるぜ。というわけで、荊の鞭を取り出し志波の持つ赤と青のステッキに巻き付ける。これで向こうの電池切れまで粘れば何とか…その瞬間志波が手に持っていたステッキを真っ二つに割った。赤と青のステッキは赤のステッキと青のステッキとなり、青のステッキでこちらのみぞおちを突く。志波がもう一度青のステッキを振りかざすと、勢い良く後ろへ吹っ飛ばされる。当たってもいないのにどうして…?
「お前は今Sの磁力を与えられている。だからエスロッドと反発したのさ。」
そういうことか、これが磁石のアーマーの能力…今度は赤のステッキを振りかざす。すると今度は引き寄せられる。お次はN極ってわけか。
「僕はお前たちを一匹たりとも逃がしはしない!特にお前は、僕の友の姿を奪ったお前だけは!」
「奪った?違う、俺は俺だ!」
「黙れ!」といいながら二つのステッキを合体させる。赤と青の両極を中心に強烈な磁力が発生する。あれ食らうとまずいな。荊の鞭を使って、今度は赤と青の境目を縛り付ける。
「かかったね!」
鞭ごと幸平の体を引き寄せ、そのまま磁力のこもった一撃を叩き込む。体内に磁場が発生し逆電流が生まれる。荊の鞭を体に突き刺すが電流は消えない。
「無駄だよ。その電流は磁場の中で発生している。磁場が消えない限り電流も消えない!」
このままでは幸平も俺も消滅してしまう。こういう無粋なやり方は好きじゃないが、こうなってしまったら仕方ないか…
志波が「さすがにしぶといな」と言いながら指を鳴らすと磁力がさらに強まる。動かない体を動かしながら突っ込むが、志波がもう一度指を鳴らすと今度は完全に身動き取れなくなる。
「往生際が悪いな。こうなったらお前たちに勝ち目はないんだ。せめて楽に逝かせてやってくれないか。」
志波が声を震わせながら言う。確かに勝ち目はないが…
「大牟田さん!」
時間稼ぎには十分だ。レボルトがソード・コンダクターで志波のステッキを叩き折ると磁力が消え去る。
「敦彦…どうしてここに?」
「どうして、って大牟田さんが呼んだんじゃないですか。」
俺が…?どういうことだ?まあ、なんにせよ助かった。志波が起き上がると敦彦に向かって怒鳴りながら突っ込んでくる。
「どけ!君と戦う気はない!」
敦彦が攻撃を受け止めながら答える。
「いや、どかない!ていうかあんた誰だよ!EVアーマーか?」
「僕をEVなんかと一緒にするなぁ!!」
志波の攻撃がさらに激しくなる。
「君こそ、なぜそいつをかばう?そいつがEVだというのは知っているんだろ!」
「大牟田さんはEVだけど…人間の心を持ってる!だからだ!」
「どうかな?オメガとかいうEVが幸平の振りをしているだけかもしれないよ?」
敦彦が「それは…」と口ごもる。
「ほらみろ!やっぱり何も言えない!大人しくどいてくれたら君には攻撃しないからさ?」
志波が敦彦を突き飛ばしこちらに近づいてくる。万事休すか。
「バッテリーも残り少ないしさっさと終わらせてもらう。」
再びステッキが磁力を発生し始める。観念するか。もともとEVとの戦いが終わったら消えるつもりだったしな。…まあ、敦彦と志波がいれば大丈夫だろ。
「待てよ。」
敦彦が立ち上がる。おいおい、無理するなよ。
「邪魔するなっていったはずだけど。」
志波が睨み付けると敦彦が口を開く。
「大牟田さんは…俺にヒーローとしての生き様を、戦うってことの覚悟を、教えてくれた。だから信じるよ。俺は迷わない。」
敦彦…お前…参ったな、ちょっと嬉しいじゃねぇか。志波は「あっそ」とだけつぶやくと俺のほうに向きなおる。
「じゃあ、さよなら。」
志波が今度こそステッキを振り下ろすと、敦彦がソード・コンダクターでステッキを受け止める。今度は敦彦の体内で磁場が発生する。敦彦は人間だから俺ほどではないにしても、かなりの苦痛を感じているはずだ。何とか助ける手段は…そういえばさっき敦彦が助けてくれた時志波のステッキを真っ二つにしてたな。そうか!NとSが揃わないと磁場は起こせないんだ。そうと分かれば!荊の鞭をステッキの赤いほうにに引っ掛けて無理やり手繰り寄せる。志波が奪われまいとステッキを強く握りなおすが今の持ち手は“青い方”だ。両側から強く引っ張れば当然!ステッキが再び赤と青の境目で二つに割れる。敦彦にかかった磁場も解除された。
「ちっ、死に損ないが。続きと行きたいところだが…もう電池が残りわずかだ。」
志波がアーマーを解除する。とりあえず助かった…
「オメガ、次は必ず倒す。」
「待て!」と追いかけようとする敦彦を制止する。あいつとは戦わなくていいはずなんだ…多分。
「ねぇ、オメガはどうだった?」
「馴れ馴れしく話しかけないで。君のことは利用するために生かしてやってるだけだって忘れないでよ。」
「ははっ、ごめんごめん。で、どうだったのさ?」
「白々しいな。どうせ全部見てたんだろ。」
「ばれてたか。でも君も案外甘いんだね。」
「バカなこと言わないで。邪魔が入っただけ。EVに情けなんて、ありえないから。」
「ふーん。まあ、そういうことにしておいてあげるよ。」
「何ニヤニヤしてるんだ…気持ち悪いな…」
やっぱり面白い子だ、オメガを憎みながらも同時に愛も持っている。泳がせればまだまだ楽しませてくれそうだね
「ねえ、EVが新しい動きを始めたみたいなんだけど。」
10話・完
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