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Revolt  作者: ハイマン
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9話「量産型」

新キャラ出ます。

「流君…。やはり僕は天才かもしれない。」

ラボを掃除していると教授が急に声をかけてくる。今更どうしたんだこの人は。

「新しいサンダー・アーマーの開発に成功したんだよ!」

確かに良い知らせだけど、設計図はできてるし材料がそろえばいつでも作れたはずだ。きっとそれだけではないのだろう。

「このサンダー・アーマーは回路に特殊な抵抗器を埋め込むことで装着時の感電リスクを大幅に低減することに成功したんだつまり誰でも使える君でも使えるレボルトと比べると出力は落ちるが大人数で束になれば十分戦える政府と協力し量産体制を整えて自衛隊に配備すれば敦彦くんと幸平の負担も減らせる」

教授が早口で説明する。途中ちょっとdisられた気がするが、本当にすごいじゃないか。

「というわけで、明日防衛大臣と会うから、スーツ貸して?」

なんだそういう用事か。多分久しぶりに引っ張り出してきたら虫に食われてたってとこだろう。真っ先に教えてくれてちょっと嬉しかったんだが。最近どうも蚊帳の外にされることが多い気がする。敦彦が落ち込んでた時もいつの間にか解決していたし、大牟田さんが例のサンダー・アーマーということもいつの間にかみんな知っていた。

「俺ってそんなに頼りないかなぁ」

…まあ頼りないか。お化けは怖いし、虫も退治できないし、科学者としての才能もない。せめてこんなことぐらい役に立たないとな。部屋から背広を持ってきて教授に渡す。

「すまない、いつもありがとう。」

「いえ、このぐらいさせてください。」



「すごいじゃないですか、交野教授!これなら廃鬼の脅威にも対抗できますよ!さっそく来年度の予算案に組み込んでもらえるよう働きかけてみます。あ、サンプルと設計図と、資料頂けますか?」

大臣も認めてくれたようだ。実現のためなら協力は惜しまないつもりだ。すぐに完成品と資料を手渡す。受け取って少し確認すると「確かに。良い報告ができるよう尽くします。」と立ち上がる。執務室を出るとフードを被った一人の男がステッキを持って立っていた。その男は持っていたステッキで大臣の頭を殴りつけると大臣が手に持っていた完成品を奪い取った。暴漢か?いや、単なる暴漢がこんなところまで入れるわけがない。それにこいつの顔はよく知っている。

「志波、どういうつもりだ?」

男は、ばれたか、とつぶやくとフードを外す。

「久しぶりだね、直也。いやぁ、量産型アーマーか。やっぱり君はすごいね。」

にやつきながら話しかけてくるこの男は、僕や父とともにサンダー・アーマーの開発に携わっていた。今はEVについて解明するために研究している。しかし重病の母の看病とかで実家に引きこもっていたはずだが。いや、今はそんなことはどうでもいい。

「質問に答えろ。なぜ大臣を襲った。」

志波がはぁ、とため息をつく。

「気づいてないの?そいつEVだよ。本物の大臣はとっくに死んでる。見てみなよ。そいつ、磁場の中で強力な逆電流に苦しんでるよ。」

ステッキをさすりながら答える。確かに志波がステッキで殴った個所を中心に強力な磁場が発生している。大臣が「この程度…」といいながら立ち上がろうとするが、志波が「邪魔。」といいながら指を鳴らすと磁場がさらに強力になる。そのまま磁場の中で発生する逆電流で消滅してしまう。大臣の秘書とSPもあっけに取られている。

「ここじゃ外野が多いね。場所を変えようか。」



「へぇ!案外綺麗にしてるんだね。」

志波がラボを見渡しながら感心する。流君が掃除してくれるからな。

「あ、でさっきの続きなんだけど。」

思い出したように話し始める。

「君から預かってたサンダー・アーマー、完成したよ。ぼくは“羅針盤(コンパス)”って呼んでるんだけど。」

それも大事だが、こいつもそんな話をしに来たわけじゃないだろう。

「なぜ大臣がEVだということを知っていたんだ?僕は全く気付かなかったぞ。」

「教えてもらったから。誰から聞いたかは言えない。それより、人間がEVになってるのに驚いてないみたいだけど、いつ知ったの?」

「…それは答えられない。」

「幸平をかばうため?」

こいつ…なぜそんなことまで知っているんだ。それにどうも以前までの志波とは雰囲気が違いすぎる。少なくとも前までの志波ならいくら相手がEVでもいきなり殴りかかったりしなかっただろう。

「まあ、いいや。それより!EVについていくつか分かったことがあるんだよ。今日はその話しに来たんだ。

多分EVアーマーのことはもう知ってるんでしょ?君はさ、EVが地球上に出現したのっていつ頃だと思う?」

いつって…廃鬼が出現し始めたのが8年前だからそのぐらいじゃないのか?

「分かんない?正解は46億年前。」

46億…?つまり地球が誕生してすぐ、原始生物の誕生よりも前ってことじゃないか!

「でも不思議だと思わない?機械しか操れないならともかく、彼らは生物にも寄生できるし、EVアーマーという肉体のようなものもあるんだから。いったいどうしてそんな長い時間潜伏していたんだろね?」

確かに不思議だ。「どうしてだ」と尋ねる。志波がにやりとして答える。

「それはまだ分かんない!ごめんね。」

予想外の返答にずっこける。「話はお終い!」と言って立ち去っていく。何なんだこいつは。「そうそう、渡すものがあったんだ。」と紙束を渡してくる。これは…サンダー・アーマーの設計図じゃないか。でも僕は見たことがないな。

「交野先生、君の父親が書いたサンダー・アーマーの初期設計案さ。でも不思議なんだ。日付見て。」

日付?日付は…17年前?なぜだ、廃鬼が出現し始めたのは8年前のはずだろ。

「待て!どういうことだ!」

志波が首を振りながら答える。

「知ってたら持ってこないよ。」



「はぁ…暇だ。」

家の中にいてもやることがない。でも一応俺、死んだことになってるからあんまりうろうろするわけにいかないんだよなあ。インターホンが鳴る。珍しいな、直也か?

「やあ、幸平。久しぶりだね。」

このにやけ顔と物腰柔らかいしゃべり方…雰囲気は随分変わっているが…

「志波か!お前こっちに戻って来てたのか!お袋さんの具合はどうだ?」

志波(しば)日指(ひさし)。俺がボルテッカーだったころ、直也と一緒に俺を支えてくれていた。お袋さんの看病のために実家に帰っていたそうだが、戻ってきていたのか。そういえばこいつ俺の家知ってたっけ。

「母さんは…いやぁ、現代医学にも限界ってあるんだね!」

「あっ…悪いこと聞いちまったな」

「気にしないでくれ。もう吹っ切れた!」

「そ、そうか?なら良いんだけど…あ、それよりどうしたんだよ突然。」

「ああ、うん。殺しに来たんだ、君のこと。」

そうかそうか、俺を殺しに…は?



9話・完

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