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ガレオン船と茶色い奴隷【改訂版】  作者: 芝原岳彦
第三章 流転する運命
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第67話 美しき横顔

 土埃つちぼこりの舞う市場にはほとんど人がいなくなった。


 ヨハネはそこでペテロの横姿を見出みいだした。ペテロはヨハネから見て右側を向いていた。背の高いペテロは、美しい金色の髪を雑踏の風になびかせ、澄んだ目で何かを見つめていた。その遠くを見つめる横顔は、何かを思い詰めた少年のように、目を潤ませ背を伸ばしていた。それは、人間の心が、何かに向かって強く強く研ぎ澄まされる時の人姿だった。


 その姿をヨハネは心から美しいと思った。


 ペテロの視線の先には何があるのだろうかと、ヨハネは右を向いた。そこには一人の娘が織物の店の主人と話していた。彼女はいつもの通り黒い女中服を着て、外出用の帽子をかぶっていた。その帽子に入り切らない金色の髪が帽子から溢れていた。


 その娘は、メグだった。

 ヨハネは、ああ、そうなのか、と悟った。

 そしてゆっくりペテロへ向かって歩いた。

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