表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガレオン船と茶色い奴隷【改訂版】  作者: 芝原岳彦
第一章 奴隷たちの島々
27/106

第25話 望郷

 最後にヨハネは視線を右、つまり北に向けた。


 エル・デルタの北には、この島の脊梁せきりょうと言い得る大山脈が横たわっていた。街の北から低い丘が幾つも並び、その北には低い山々の尾根がついたてを何重にも並べたように東西に延びていた。それらは北にいくほど徐々に高くなり、ついに山上に白い雪を頂く高峻こうしゅんな山々が聳え立っていた。

 その先はここからは見えなかった。


 ただヨハネはその山の先を知っていた。

 その先は、これまでとは反対に山が徐々に低くなり、やがて、さほど広くない砂の土地が現れるはずだった。

 その砂地は大山脈からマール・デル・ノルテと呼ばれる北の海に向かって台形が飛び出したような形をした土地だった。その北側は低い山が壁のように立ち、北の海からの風を壁のように防いでいた。

 しかし西の海岸から吹く強い砂嵐が常にその土地をさいなみ、そこに住む人々をなぶり続けた。

 大山脈の雪解け水が河になってその土地に流れ込んでいたが、その河はそこを潤す事なく湖に流れ込んだ。その湖の水は真水ではなく汽水だった。その湖から流れ出た河は海が入り込んだ入り江に繋がり、マール・デル・ノルテへと通り抜けた。


 砂と塩水と強い海風、それが砂の土地のすべてだった。


 もちろん人が住むには適していなかった。この土地に興味を持つものはなく、ただ地生えのワクワクたちが小さな村を作り、ひえを育てくりを拾って暮らしていた。人々はそこを『エリアール』と呼んだ。荒れ地を意味する言葉だった。そこがヨハネの故郷だった。


 ヨハネは北に霞んで見える山々を眺めて、遠い故郷を想った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ