第24話 エル・マール・インテリオール
ヨハネは左側、つまり南の内海の方角に目を向けた。
この内海はエル・マール・インテリオールと呼ばれ、エル・デルタのある本島とその南にある大きな島の間に、細長い回廊のように東西に横たわっていた。そこには緑の小さな島々が無数に浮かび、水面は鏡のように穏やかだった。海と島々にはいつも太陽の光が燦々と降り注ぎ、緑柱石が輝くように美しかった。
しかしそのエル・マール・インテリオールに碇を下して停泊しているのは、見る者を威圧する赤茶色のガレオン船だった。
その背高き船はこの島を脅迫するように沖で屹立し、多くの大砲の口を開いたまま停泊していた。エル・デルタの港は浅いために、ガレオン船は港近くまで乗り付けられなかった。
そのためたくさんの沖仲士が働いていた。
小さな船に金銀を詰めた箱と奴隷を乗せるのが沖仲士の仕事だった。彼らがハシケに奴隷を詰め込むと、ナイフを括くくりつけた長い棒で奴隷を脅しながら、ガレオン船まで運んだ。その奴隷たちはどこに連れて行かれるのか知らなかったし、帰って来られるかも知らなかった。
奴隷たちにとってガレオン船は自分たちを地獄に連れていく悪魔の船であり、泣き叫ぶ奴隷たちを刃物で脅す者たちは地獄の牛頭馬頭だった。
そして、その沖仲士おきなかせたちも、元は飢饉で親を亡くした子供たちであり、金で買われてきた戦争捕虜たちだった。
その事実は、光に溢れたエル・マール・インテリオールの風光明媚な風景が、実は人間の血と涙で描かれた極彩色の地獄絵図だったかのような、強い驚きと悲しみを見る者に与えた。それだけでなく、ガレオン船から積み下ろされる奴隷たちもいた。彼らは鉱山や農場で過酷な労働を強いられた。この国への輸入品は生糸と絹製織物、そして戦闘用の銃であり、輸出品は金と銀だった。そして輸出も輸入もされるのが奴隷たちだった。人はこの島を奴隷島と呼んだ。言い得て妙な呼び方だった。




