後書き
読者の皆様へ。
こんなに読みにくい小説に付き合っていただいて、本当にありがとうございました。感謝に堪えません。
もともと、この作品は『ある社会において、蔑まれる民族を出自に持つ少年が、市場で買い物をする際に、様々な差別をうける』という内容の短編小説として書き上げられる予定でした。
日本に暮らす日本人で、かつ男性である私が、差別されることをどこまで想像できるか、と考えたのが執筆のきっかけです。
ただ、書いているうちに筆が止まらなくなり、書き終えたときには十八万字ほどの分量になっていました。
この時点で、何かの文学賞に応募してみようかとも思ったのですが、この文字数や枚数を受け付けて下さるところはなかなか見当たりませんでした。
仮に応募していたとしても、この作品は歯牙にもかけられなかったでしょう。理由は簡単で、『終わっていないから』です。問題外ですね。
しばらくの間、ストレージの中に死蔵していたのですが、公開の欲求に負けて投稿することにしました。
当初は、ウェブ小説の世界における常識を全く知りませんでした。
長文を一度に投稿するのではなく、連載小説のように一話ごとにお話を積み上げていく事、
一話ごとに山場を作って連日投稿し続けなければすぐに飽きられてしまう事、
細かい情景描写は不要である事、
などです。
それでも、数名の読者の方は最終話まで読んで下さいました。
本当に感謝しています。
続編については、大まかなプロットがあるだけです。ただ、それを作品にするためには、多くの資料を読まなければなりません。加えて、私が全く理解できない考えを持つ人の心の中にまで入っていかなければなりません。
もっとも、続編に需要があるのか大いに疑問なのですが。
投稿の期間は刺激に満ちた楽しい時間でした。
自らが書いたものが、遠くにいらっしゃる方に届き、感想をいただけるという事は本当に幸せです。
それでは皆様、本当にありがとうございました。
芝原岳彦