クルトのからかい
自分が死んだなどと言われ、素っ頓狂な声を上げた雪斗にクルトはk日を傾げた。
「何をそんなに驚いているんだ? まさか、あんな破壊に特化した拳の一撃を受けて死なないとでも思ったのかい?」
「いや……そんなんじゃ、いや違くもねぇけど。ああ!! どうして、俺は今生きてんだ!」
「愚問だね、雪斗。それは俺が蘇らせたからに決まってるじゃないか。まったく、大変だったんだぞ。飛び散ったキミの肉片を――」
「やめろォォォォォォ!! それ以上、言うな! いいなッ!?」
「ふふふ、了解だ。まぁ、キミは一度死んで、俺が蘇らせた。ただ、それだけだ」
バラバラになった自分の姿なんて想像もしたくない。雪斗は首を思いっきり振り無残な光景を打ち消す。
「んで、俺の実力はどうなんだ。次の奴に勝てそうなのか?」
「どうだろうね」
「んなッ!? なんだそりゃ、おい、コラ正直に答えろ」
「正直に言っていいのかい? 聞かなきゃよかったっていうかもしれないよ」
「そりゃ、もう勝てねぇって遠回しに言ってねぇか?」
どこまでもふざけた態度で笑うクルトの性格の悪さはどうやら一級品のようだ、と重い溜息を吐き出す。
「でも、勝てるよ。きっと……ね」
「どういう意味だ?」
「それは、その時のお楽しみさ。ふふふ、結果が最初に分かってたら面白くないだろう?」
「……アホくさ。もう、帰るわ」
「ふふ、送ろうか?」
その申し出を後ろ手に振り断り、現実の世界に戻った雪斗はビル群から差し込む夕日色の斜光に手を翳す。
「チッ、眩しいんだよ」
橙色に濡れる街並みに消える雪斗は眉間にしわが寄り、誰彼が裂ける雰囲気を漂わせる様はまさに不良そのものだった。
こんばんは、上月です(*'▽')
次回は雪斗の戦闘となりますので、是非とも一読くださいませ!