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武神と魔王、最強の腕相撲対決

「あぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」


 変な方向に曲がった腕を抑え、俊哉が絶叫した。


「ふん、人間程度が俺に勝とうなどと啖呵をきるからこうなるのだ!」


 歴戦の武人は地を大いに転げまわる俊哉を見下ろし、豪快に力の差を見せつけていた。


「さぁ、次の相手は誰だ? 我こそは最強と名乗る猛者はいないのか?」


 ヘルトの視線は雪斗に注がれていたが、地面で悶える俊哉の姿を見れば戦意なんてものは、瞬く間もなく掻き消されてしまい、視線を合わせてはならないと顔をわずかに逸らす。


「俺とビーチで激闘を繰り広げたあのおなごは体調が万全ではないからな、こんなつまらぬ形で決着など付けたくもない。ならば……」

「はァ!? おい、ヘルト。何こっちを見てやがる!! ふざけんじゃねェ! こっちは――おい、止めろ! 腕を引っ張るな……ぎゃああああああ!?」


 同じ非常識な存在同士の戦いならば多少は見ごたえがあると思いきや、俊哉同様に瞬殺。


 しかも、肘から先があらぬ咆哮に曲がり、俊哉と並び地面を転げまわりその場で悶えていた。


「嘆かわしいぞ、ムーティヒ!! なんだその様は。それでも使命に命を燃やし戦ってきた同士か!」

「ざっけんじゃねェ!! 俺の……俺に南欧ラミがありやがるんだァ! えェ!?」

「恨みはない。戦士として戦ったまでだ」

「この脳筋野郎がァ!! 痛ぇんだよ、おい、こらァ! ちったぁよ、加減ってもんを覚えやがれ!」

「加減だと? 甘えるな! 武人たるもの女子供であろうとも常に圧倒的力を持ちねじ伏せる。それが俺のやり方だ」

「チッ……この戦闘馬鹿に何言っても意味ねぇな!! おい、カルディナール。早く治療してくれ」


 カルディナールは小さな溜息をし、仕方ないわね、と困った表情を浮かべながら地面にうずくまる二人に駆け寄り、術式ではなく手技で脱臼した肘を元通りに治し、ヘルトに「少々大人げないですよ」と意味を成さぬと分かってはいても一応は注意を促す。


「軟弱な奴が悪いのだ。琴人よ、これが最強の二文字に焦がれ追い求めた先にたどり着いた力だ」

「ははは……えっと、おめでとうございます?」


 子供相手に全力を持って叩き伏せ、若干のどや顔を無意識に浮かべてしまう渋い中年男性に苦笑いしか向けてあげられなかった。それでも、琴人にカッコいいところを見せることが出来たとヘルトは心の中で満足していた。


「おいおい、ヘルト。子供を打倒したくらいで勝者の余裕か? まだ、魔王が残っている事を忘れるなよ?」

「ほぅ、クルト。貴様が直々に相手をするというのか? 確かに実力は貴様の方が上ではある。だが、それは術式や魔力量での話し。純粋な力技ならどうか?」

「試してみるか?」

「面白い。ここで一度その余裕の笑みを崩してやるのも一興か」


 ヘルトとクルトは互いに腕を曲げ手を握り合う。


 剛腕と細腕。


 武神と魔王が机を挟み真剣な面持ちで向かい合い、睦月の合図を持って腕相撲最強を決める戦いが始まった。

こんばんは、上月です(*'▽')


ヘルトとクルト。

力こそが自慢のヘルトと未来創造を司るクルト。

次回その勝敗が決します!

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