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二人だけの内緒話し

 かつて、共に同じ時間を過ごし、一人の少女の救済を誓い戦った魔王はその魂はこの世を去り、彼女の残した大鎌だけが、魂の宿主である悠理の傍に置かれていた。


 クルトにはその大鎌は想いを託すバトンのように思えてならなかった。


 だが、リリアンはクルトにもプレゼントを残していった。


 それは――。


「今まで狩り集めた人間の魂……なるほど、アイツは無駄に人間を殺していたわけではなかったか」


 いつのまにか手に握られていた小瓶には、きらきらと輝く粒子物質が納められていた。その一つ一つからは微かに邪神の魂の気配が感じられた。


「確かに役に立つな……だが、これを使うのは俺か、それとも……」


 その黄金色の瞳は意識を失う悠理の傍で彼女の安否を確認する一人の少年へと向けられていた。


「なっ、なぁ。悠理ちゃん大丈夫なのか? 大丈夫なんだよな?」

「ええ、呼吸はちゃんとしてますし、問題はないかと……というより、顔面底辺、顔が近いです! 離れてくださいっ」

「いやいやいや、そこまで近くないじゃん!? なぁ、みんなもそう思うだろ?」

「知るかよ」

「怜央、大丈夫だよ。僕の時より距離が空いてるから」


 蛍の発言に一同は俊哉に怪訝な視線を向け、雪斗は蛍の両の肩に手を置き後退する。


「えっ……ちょ!? なんで、距離開けるの? つか、止めてぇ! そんな目で俺を見ないでくれ!」

「俊哉、後で少し一緒に大切なお話ししようか?」

「ヒィ……ちょっと、あの睦月ちゃん? 顔が怖いから……どうして、そんな怒ってんの!? 俺、何かしたっけ?」


 顔を引きつらせ本気で怯える俊哉に怜央は溜息を吐く。


「恋敵ってわけね? 睦月、貴女の気持ちにはコイツじゃ勝負にならないわよ。それより、カルディナールさん、悠理さんの容態を診てくれますか?」

「ええ、任せてください」


 カルディナールは、悠理の触診を始めた。


 その間、黙ってその様子を見守る蛍達にクルトは歩み寄り、協会を指さす。


「さぁ、キミ達は先に席についててくれるかな? 大丈夫、彼女はカルディナールに任せておけば問題はないよ」


 閉じられた瞼と柔和な笑みからは戦意も何も感じられない。


「ねぇ、クルト。キミの力って本当に未来を創りあげるの?」

「蛍君、さっそく俺の能力についての質問か? まぁ、それは後で話してあげるよ」

「話しちゃっていいの? 私達はこれから戦う敵同士なんだよ?」

「問題ないよ。だって、能力を知られた所で俺の勝率には何ら影響を与えないからね」


 この自分最強発言に、この時代を生きる少年少女は呆れたと肩を竦めた。


「ハッ、その余裕のツラ、いつかアッと言わせてやるよ」

「その喋り方、また懐かしい奴の顔が思い浮かんだよ」

「きっと、ソイツは心底ひねくれものだったんだろうな」

「いや、違うね。キミみたいに仲間を大切に想い、何より真っ直ぐだった。馬鹿が付くくらいにね」

「テメェ、喧嘩売ってんのか?」

「ははは、売ってないよ。もし、それをキミが買ってくれても、きっと後悔するだろうしね」

「ちっ、まぁいいさ。悠理はカルディナールに任せてれば大丈夫なんだな? だったら、俺達は先に中に入ってる」


 雪斗は仲間たちと共に教会の中に戻っていく。


「さて、お前達も中に入っててくれ」


 リーダーの言葉に非常識達も素直に従い、今この場に残されたのはクルト、カルディナール、そして意識のない悠理だけとなる。


「カルディナール、お前にだけ話しておきたいことがある」


 クルトは治療を進めるカルディナールの背にそっと声を投げかけた。

こんばんは、上月です(*'▽')


日曜日もあっという間で……また一週間が始まってしまいますね(;´∀`)

次回の投稿は3月6日になりますので、よろしくお願いします!

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