表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/144

瞳のない死体

 静かな夜だった。


 生から死へ――動から静へ移り変わるその瞬間でさえ、悲鳴を上げる事叶わずに虚無へと返っていった。


《悠理ィ、話しが違うんじゃない? 私は楽に殺していいなんて言ってないわよねぇ?》

「私は……嫌なの……彼らの死の間際に私を見る眼が……」

《そう、怖いのね? ふふ、なら取るべき行動は一つじゃない?》

「え……クッ!」


 腕が勝手に動く。


 腕だけじゃない、足も体全体が悠理の意志に反した動きを取る。


「なっ、なにするの!?」

《悠理ちゃんを見る眼が怖いのよねぇ?》


 リリアンは嗤う。


 悠理の白く綺麗な指は血だまりに沈み、まるで生きているかのような表情をした少女の瞳に指を這わせる。


「いや……やめて!」

《だ~め》


 そのまま、プツっと指を眼窩と瞳の間に無理やりねじ込む。果たして普通の人間に、このような芸当が出来るだろうか。


 指先にかんっじるヌルヌルした感触に、粘着音がその耳に貼り付くように、いやらしく聞こえてくる。


「うっ……お、おえ!?」


 腹の底から込み上げてくる異物を飲み干す。


《あらあら、悠理ちゃんには刺激的過ぎたかしらぁ?》

「そう思うならやめてよ!」

《そう……ねっと!》


 眼窩に沈む指を思いっきり引き抜くと、視神経が繋がった眼球が飛び出す。


《せっかくだし、貰っちゃいましょ》

「……ひッ!」


 リリアンは指を宙で振るうと、その場に歪みのようなモノが生まれる。


《この空間にしまっておきましょうね。いつか、またこの日を思い出して快楽に浸る為に使うかもしれないしねぇ》


 その狂気じみた彼女の思考と思想に嫌気がさしていた。


 いつまで、こんな危険人物と共にしていなければならないのだろうと、生きていることにうんざりとさせられていた。


 それからも、気紛れなリリアンの殺人快楽思想に振り回され数年の月日が経ったある日、悠理は彼らに出会った。


 不思議な力を持つ、輝かしい少年少女たちに……。


 悠理は彼等と過ごしているウチに生きている楽しさを久々に思い出す事が出来た。できれば、このまま何事も無く彼等と日常を過ごし、楽しい人生を送れればとも思った。


 だが、こんな美味しい獲物をリリアンが黙ってはいなかった。


こんばんは、上月です(*'▽')


今回は少々グロい表現をしてしまいました。

さて、次回からは俊哉や睦月達の時間軸に戻ります

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ