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死を司る女神の微笑み

 闇夜の公園には外灯によって妖しくも背筋を凍らせるような鋭い命を刈り取る刃が煌いていた。


「蛍君どうしたのかなぁ? 避けてるだけじゃお姉さんを倒すことは出来ないよ」


 狩りを楽しむようにわざと軌道を逸らし、相手を気づ付けることなくただ純粋に恐怖を与えていた。蛍はただ固唾を飲み隠れる場所が豊富なこの公園を駆け抜ける。


「どうしよう……」


 ポケットから取り出した携帯電話に視線を落とす。俊哉達の誰かに連絡がつけばもしかしたら何とかなるかもしれないが、危険な目に合わせたくないという思いからポケットにしまい込んで、てきとうな茂みにその身を隠し、息を潜めながら周囲を見渡す。


「悠理、どうしちゃったんだろう。まるで別人みたいだった」


 都心であるが賑やかさのない静かな住宅街は人の通りが少ないことから、助けは期待できない。そもそも、彼女の力相手に一般の人間が経ちうてできるとも思わなかった。


 蛍はゆっくりと息を吐き出す。


「僕自身でなんとかしなきゃ」


 いつもは、守ってもらうだけだったがこれからは自分の身は自分で守り、大切な仲間を守りたい。それが蛍が最近抱いた思い。


「蛍君、どこにいるのかなぁ? お姉さん、かくれんぼは苦手なのよね」


 公園の中心部にある大きな池を挟んだ対面側に悠理は外灯の明かりの下で大鎌を担ぎ歩いていた。その姿は妖艶で死神というよりは死を司る女神。幸い悠理とはかなりの距離が開いていて、此方に来るには池の外周を大回りしなければならない。その間に普段働かせない脳をフルで回転させ打開策を講じなければと息をのむ。


「あの大鎌があったら近づけないし、この眼を使っても多分転移先を読まれると思うし……どうしよう」


 刻一刻と距離を近づけていく緊張から思考能力が乱れる。仕方がないと自分の周りに視線を向けると、そこには一本の鉄パイプが捨てられていて、心許なさはあるが無いよりかはマシかと握りしめる。


「もういいや、戦ってみようかな」


 自分で馬鹿な考えに至ったと理解はしているつもりだが、このまま逃げても意味は無いし逃げ切れる自信もなかった。だからこそ戦ってみようと決意したのだ。


「悠理、ここだよ」


 茂みから飛び出し、背後から声をかける少年に悠理は振り返る。


「あらあら、自分から出てきてくれるなんてね。覚悟が決まったの……へぇ、私と闘うのね」

「うん、逃げ切れないと思ったからね」

「お友達に連絡して助けに来てもらうとかもあったんじゃない?」

「みんなを危険な目に合わせたくない」

「そう、じゃあ第二ラウンドを始めましょうかぁ」


 嬉々として大鎌を振り回し身構え、蛍は剣術なんて全くのド素人同然だが時代劇で見た構えをとると、悠理が小さな笑いをこぼす。


「可愛いわねぇ」

「…………」


 一歩だった。


 足首のバネの力だけで宙を滑るように飛び、超重量武器である大鎌を上段から振り下ろす。



 

こんばんは、上月です(*'▽')


投稿日を忘れてしまってしまい申し訳ありません。

次回は1月4日に投稿しますので、よろしくお願いします。

この後21時くらいに『地平線に沈む夕日は明日への希望』を投稿しますので、そちらもよろしくお願いします!


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