力を持つ者、弥生
どうして、こうなった。
睦月はゲームセンターの騒音の中、一人ベンチに腰掛けては現状理解に努めていた。
そう、今日は二人でデート(?)をしていたはずなのだ。そして、ゲームセンターに入ったまでは良かったはずなのだ。なのに、気付けば知らぬ女性が蛍にしつこく絡んだ結果三人でゲームに興じていた。
「おやおや? 睦月君だったかな。隣失礼させてもらってもいいかな?」
「ええ……どうぞ」
睦月の不機嫌そうな声にクスリと笑って、隣に腰掛けた女性は手に持った缶ジュースを睦月に差し出す。
「これを飲むといい。おっと、もちろん私からのお詫びさ。キミ達の仲に割って入ってしまった事への……ね!」
「はぁ……じゃあ、遠慮なく頂きます」
受け取った炭酸飲料を喉に流し込み、少しだけ冷静さを取り戻せたようで、先程の態度は流石になかったなと謝罪する。
「ふふ、気にすることはないさ。それより、キミはバンドをやっていなかったかな? えっと、確か……ぱ~? パラソ――」
「パラノイアです」
「そうそう、パラノイアだ! 何度かライブに足を運ばせてもらったよ。キミの心からの叫びは私の胸を射抜いてしまってね。ファンなんだ」
「高峰……弥生さんでしたっけ? その、ありがとうございます」
「さて、蛍君は今ゲームに夢中になっているね?」
唐突に会話の流れを変えた弥生に戸惑いつつも、彼女の指さす方には蛍が最新のポリゴン格闘ゲームを満喫していた。
「キミにだけ聞きたいんだけど。その力はいつから手に入れたんだい?」
「力……っ!?」
「あ~、別に身構えなくていいよ。私は今、キミ達が何に首を射突っ込んでいるのか気になっただけだからさ」
瞬時に魔力を全身に行き渡らせ、いつでも能力を行使できるよう目の前の女性の挙動の一つ一つを見逃さないように注意を向ける。
「貴女は何者ですか? どうして、力の事を?」
「まぁ、簡単に言ってしまえばご同業という奴さ。まぁ、私が以前住んでいた街である事件があって……おっと、そんな私の事はどうでもいいだろう。さぁ、キミ達の事を話して欲しいんだけどね、睦月ちゃん」
「えっと、それは……」
困惑する睦月に弥生はニヤニヤと問い詰めるように身を寄せてくる。
「えっ!? ちょっ……」
迫る弥生に引く睦月の図を、少し離れた場所からゲームを終えた蛍がジッと眺めていた。
こんばんは、上月です(*'▽')
一話でちょっぴり登場した高峰弥生。
何故、力の事を知っているのか、以前住んでいた街での事件というのは……(; ・`д・´)デデン!
次回は少し戦闘シーンがあります。頑張って皆様にイメージしやすいように頑張って書きますので、よろしくお願いします。
投稿日は12月11日か12日になります(*'ω'*)