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蛍の辿る未来……

 密集して立ち並ぶ灰色のビル群の中で異様な雰囲気を漂わせ、一際浮いた看板が歩道の片隅に立っていた。


「なんか、ちょっと怪しくない?」

「怪しいけど……面白そう」


 その紫色の看板に「森羅万象占いの館」と書かれた小さな占い屋は雑居ビルの地下に続く階段の下にあるようで、二人はどうしようかと顔を見合わせる。


「蛍が興味あるなら行ってみる?」

「うん、行く」

「わかった。じゃあ行こうか」


 結局その薄暗く赤いカーペットが敷かれる階段を降りると、余計な装飾の無いシンプルな木製の扉が出迎え、睦月が先導しノブをゆっくりと回し押し開く。


「えっと、ごめんください。外の看板を見たんですけど……」


 店内はいかにも占い屋と言った風な造りとなっており、室内を照らすのは蛍光灯ではなく心許ないロウソクが至る所で灯し、部屋の最奥部には水晶玉が置かれた机越しに頭から全身をローブを纏った人物が此方へと言うように両手を広げる。


「いらっしゃいな」


 その声からして女性だという事が判断できた。


 睦月と蛍は誘われるように真紅のカーペットを歩み、小さな椅子に腰かける。


「私の占いを必要とする子羊よ、汝らの視たい現実は如何様なものか?」


 独特な喋りに一層の警戒をする睦月と正反対に全くの緊張も感じさせない蛍の組み合わせに、占い師はふっと笑う。


「このお店は占い屋……なんですよね?」

「ええ、ただ……普通の貴方達の知る占い屋とは多少異なるやもしれんな」

「異なる?」


 小首を傾げる蛍に、占い師は蛍に手を差し出すよう促す。


「普通であればこれは手相と言うモノ。だが、私のソレはその人物に流れる血脈から将来を視るモノ」


 聞いたことのない方法を説明された睦月は、余計に訝しい表情になり詐欺師なのではないかとさえ疑い始める。


「僕の何が見えるの?」

「ふむ……うむ。虚無……救済……達成……自壊。おぉ、なんたる険しき試練だ。少年よお前さんは数多の試練を乗り越え、全てを救うだろう。だが、その瞬間に全てを内包する世界に裏切られ、その魂は高次元的閉鎖空間の果てへと辿り着く。それがお前さんの未来だ」

「ちょっと、待ってください! それってどういう意味ですか? 魂が高次元って何を言っているのかさっぱりなんですけど」

「私にも分からぬよ。ただ、これは何者かの意思によって確約された運命。抗えぬ未来だ」

「僕は全てを救うの?」

「ああ、私にはそう見えた」

「そうなんだ。なら、良かった」


 蛍は一人満足げに頷き、何かを言いたげな睦月に顔を向けて小さく笑う。


「……蛍?」

「行こう、睦月。もうここに居る必要はないし、せっかくのお出掛けだから楽しもう」

「えっ……あ、うん。蛍がそういうなら」


 会計を済ませようと、蛍がサイフを取り出すと占い師はそれを手で拒絶する。


「今回の占いに金銭は必要ないよ。さっ、もうお行き」


 タダにしてもらうのは嬉しいが、やはり占ってもらってので千円を一枚机に置き退出する。


「抗えぬ運命を背負いし希望か……彼の意思は後世に生きるだろうか」


 頭部を覆っていたローブを脱ぐと、灰色のショートヘアに紫色の両目が露わとなり、その瞳は虚ろに宙を眺める。


こんばんは、上月です(*'▽')ノ


今回は意味深な発言をした占い師の登場です。


占い……というより未来視のほうがしっくり来ますかね(;'∀')

未来視といえば、今回敵であるクルトが似たような力(未来創造)を持っていますが、この二人は全く関係はありません。


さて、次回は12月3日を予定していますので、是非ともよろしくお願いします!

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