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蛍の困惑する理由

 ビル群から真夏の斜光が差し、地面をジリジリと焼いていた。


 その様子をビルの日陰となる場所から、蛍はジュースを口にしながらぼんやりと眺めている。別段、次の戦闘について考えていたわけではない。


「緊張してるのか?」

「どうだろう。緊張はしてないと思うんだけど……」

「だけど、なんだ?」


 雪斗は違和感を覚えた。


 普段から蛍は表情も声質も淡々としていて、何を考えているのか正直分からない。そもそもだ、早朝に「今日、会おう」という短い内容のメールが送られて着てみれば、日陰でジュースを飲んでいる蛍一人だけで、他の仲間は誰一人姿を見せなかった。


「雪斗は神様っていると思う?」

「はぁ!? なんだよ、藪から棒に。まぁ、神ってのは人が心の寄り辺として生み出した偶像だ。俺は神なんてのは信じてねぇよ」

「そっか、雪斗は信じてないんだね」

「んだよ。その言い方だとオメェは信じてるのか?」

「う~ん、わからない」

「わからないって……俺は、オメェが何をいいたいのか分からねぇ」  


 今この場に居るのが雪斗ではなく玲央だった場合、間違いなくキツイ一言と共に、バッサリと会話を打ち切られていただろう。その様子を思い描く事はとても容易だった。


「僕達の能力って、前世の自分が使っていた能力を受け継いでいるんだよね」

「あ、ああ。そういやそうだったな。つか、神の存在と俺達の能力に何の関係があるんだよ」

「能力に覚醒した時、俊哉は脳内に声が聞こえたって言ってたよね。雪斗も……」

「ああ、それがどうした?」

「僕も一度だけ能力を使えた事があるんだ。確実に覚醒したわけじゃないけど」


 蛍の持つ紫色の瞳の力ではない。


 以前、異空間で枯木のようにやつれた第三魔王アルベールと出会った。彼はクルトと同じ時代せかいの住人であり、クリスティアと親しく密接な関係だった。そんな彼に頼み込んで、命を賭した稽古をつけてもらい、アルベールの能力に蛍はおわりを体験した。だが、気付いたら自分は産まれて(はじまって)いた。自分がどのような能力だったのかは今でも分からない。


 だが、みんなが聞いたような声が自分には聞こえなかったのだ。


「俺は馬鹿だからよ、考え着く理由はあまり多くはねぇ。一つ有力だと思うのは、オメェがまだ覚醒しきってないからなんじゃねぇのか?」

「かもしれないね」


 同意の声には未だ疑問が残っているようだった。


 そんな蛍になんて言葉を掛けたらよいかと、頭を掻く。


「いいか、声が聞こえねぇとか、どんな能力とか関係ねぇんだよ。一番重要なのは最後にどうどうと胸を張って立っているかどうかだ。そんな下らねぇ事考えてる暇があんなら、せっかくの休日だ。日常を楽しく過ごしたらどうなんだ。学生らしくよ」


 雪斗は一度腕時計に視線を落とす。


「そろそろ、昼飯時か。オイ、腹減ってねぇか?」

「お腹空いた」


 蛍は一度小さく頷く。


「んじゃ、良い店教えてやるよ。今はそんな事忘れろ。俺が今日はお前の日常に付き合ってやるからよ」


 雪斗は蛍の腕を引き、真夏の日差しが差す大通りに出る。行き交う人々を掻き分けて海老沢の街を闊歩する。日常を生きる為にも彼等はこれからも歩かなければならない……いいや、歩き続けなければならないのだ。

こんばんは、上月です(*'▽')


どうもです!

今回の話の最後の部分って最終回っぽくなってしまいましたね。ええ、でも大丈夫です。まだ終わりませんので(;'∀')


気づけば百話を超えてしまいましたね。


一話一話書いていると、やっぱりキャラや世界観に愛着をもってしまうもので、このキャラや世界を使って、また別の違った話を書きたいなって思ってしまうんですよ。

でも、他にも書かなきゃいけない作品もあるので、書くとしてもまだまだ先だなぁ~。


おっと、長くなってしまいましたね。

次回の投稿は……木曜日までに投稿できると思います。

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