強敵の前に散る呪印持ちの戦士達
「テメェ……俊哉いい加減にしろよな! 何で毎回毎回俺の嫌いな炭酸飲料なんて買って寄越すんだぁ? 嫌がらせか、オイッ!」
「いやいや悪いって、マジ悪気は無いんだってば、ただ何て言うのかな~。アレだよ。そうそう、ほらたまたまってやつで……なぁ?」
「僕に振られても困る」
日常化された光景。
俊哉が問題を起こし、雪斗がキレて蛍は飲み物を飲み睦月が仲裁する。そんなありふれた日常だが皆はまんざらでもなく毎日のように」繰り返す。
「今日はどうするの?」
蛍は飲み終えたペットボトルをゴミ箱に捨て、雪斗の分の炭酸飲料を開けて飲み始め、それを見た雪斗は深い溜息一つして俊哉を開放する。
「あぁ、そうだな。今日も適当に街を探索してみるか?」
「雪斗ちょい待とうか、俺的には中恵公園に行けば出会いがあると思うんだよ。お前も睦月もそんな気がするだろ?」
「僕に振られても知らない」
「多分そう思ってるのって俊哉だけじゃない?」
2人の意見を聞き流し、強引にメンバーを説得し中恵公園に向かう。
電車に乗り15分くらい揺られ、着いた中恵公園は小森ヶ丘公園と並ぶ広さで東京ドーム2つ分の広さを持ち園内には遊具やコンビニ、飲食店等のお店が入っており、都内の喧騒に疲れた時には羽を伸ばすのに適したもう1つの楽園だった。
夏休みという事もあり、公園を行き来する年代層も幅広かった。
「せっかく来たんだしさ、思いっきり身体でも動かさねぇ?」
俊哉は何処から取り出したのかバドミントンのラケットを4本と羽を用意して1人1人にラケットを手渡す……もとい押し付けていく。
「俊哉、お前……ただ遊びたかっただけだろ」
雪斗は肩を落としつつも、まんざらでもなさげにラケットの状態を確かめている。
「バドミントンなんて久しぶりね。どうせ、やるんだったら2対2のダブルスでやってみない?」
睦月は意外とノリノリで軽く準備運動を始め、俊哉から羽を借り練習を始める。
蛍はジッとラケットを見つめながらコクリと肯く。
「よっしゃ、じゃあチームはグッパで決めるからなっ!」
皆俊哉の掛け声に合わせ自身の選んだ運命を展開する。
チームは睦月と蛍、俊哉と雪斗に別れる。
雪斗がこれでは勝負にならないのでは? と一応抗議してみたが睦月も蛍も問題ないということで夕飯代を賭けた戦いが始まった。
やはり俊哉は最初から飛ばし点数を稼いでいき、対して雪斗は本気を出さず相手がスマッシュを打てるように軽く打ち上げ、手を抜く。
睦月達のチームは睦月が前衛で蛍が後衛を担当していた。
俊哉は運動部に入っていることもあり、大抵のスポーツを得意とし、それ以上に彼が本来より持つ反射神経能力の高さにより相手の行動を先読みし、ソレに対し対抗策を取ってくるので、睦月達は得点を稼げないでいた。
「ふっふっふ、夕飯ごちになるぜ。雪斗お前も手を抜いてないで真剣にやろうぜっ! 戦う相手に対して手を抜く行為は失礼なんだぞ!」
後方にいる雪斗に喝をいれるが、雪斗としては何か大人気がないようで気が進まなかった。
「くっ……俊哉にここまでやられてると、ちょっと殺意が湧くんだけど」
睦月は肩で息をしながら俊哉を睨みつけるも、俊哉本人は卑下た笑みを浮かべては夕飯の事を考えているのだろう。
睦月としてはせめて勝てずとも1点くらいは奪ってやりたいのだろう。そんな彼女の気持ちを組んで蛍が動いた。
「睦月ここからは僕たちが勝ちに行こう」
睦月は蛍が自主的に、しかも勝利宣言をした事に一瞬驚くも自然と心強くなり思い直した。
「1点じゃなく勝ちに行こう!」
「おーっと、スポーツ嫌いの蛍と肩で息をしてるむっちゃんで万全の俺達に勝てるかな?」
雪斗は内心アイツ等の相手してんのお前だけじゃねーか、と呟きながら一応ラケットを持ち構える。
「今までの俊哉の動き僕は"視てたよ"睦月は少し体力回復に努めて前衛は僕が出る」
睦月は前衛を言われるまま蛍に任せ、少し後ろで呼吸を整える。
「んじゃ、行くぞ」
雪斗がサーブを繰り出し羽を打ち上げる。羽はネットの上を超え睦月たちの陣地に入ったところで蛍が力任せに打ち返した。
返された羽は俊哉を飛び越え雪斗に向かって飛翔する。
その羽を少し強めに返し、羽は再び蛍たちの方へ行き、その羽を俊哉の喉元を狙って返すと俊哉は一瞬動きが止まり、1歩下がりバックで返す。
「睦月お願い」
急に振られたため睦月は一瞬出遅れたが何とか前衛まで足を走らせ、戸惑いを孕み打ち返されたフワフワと浮かぶ羽を思い行っきり敵陣に叩きつける。
俊哉は1歩下がったことで若干バランスが崩れた御陰で身動きがとれず、そのまま蛍たちのチームに点が入る。
俊哉から余裕の笑みが消え、命を賭ける戦士のような表情に変わる。
だが、蛍は今までの俊哉の動きや癖を完全に見抜き、次々と点を入れ最終的には圧倒的得点差で勝利を収めた。
「私たちが勝ったの?」
「うん、僕らの勝ちだよ」
コートの奥には膝から崩れ落ち敗北という2文字を重く痛感している俊哉と、負けたが意外と楽しめたなと満足気味な雪斗。
「たくッ…テメェら強すぎだぜ、お前もそんなスゲェ眼と頭あんだからもっと別の事にいかさねぇのか?」
「別に凄くないよ、ただ俊哉に負けたくなかったから」
「ふふ、じゃあ約束通り俊哉と雪斗には夕飯奢ってもらうから」
睦月が満足気に笑い額の汗を拭い大空を見上げる。雲1つない一面全てが歪んだ天空だった。
「なに……これ」
皆睦月に習って宇宙を見上げると、やはりそこには何処までも禍々しい歪んだ大空が展開されていた。
周囲には先程までいた人達は嘘のように消え不気味な静寂が支配し、公園には彼等のみが存在していた。
「よォ、やっと遊びは終わったか? だったら次は俺と遊んでもらおうかねぇ」
突如背後から声が聞こえ皆振り向くとそこには真夏にもかかわらずに頭からローブを被った男が存在していた。
「貴方だれ?」
睦月がその男を睨みつけると、男はクックと肩を震わせながら笑い、頭を覆うローブを脱いだ。
真紅の髪に好戦的な瞳も紅色をしていて、耳には複数のピアスで飾られた青年だった。
「あんた等に覚醒の兆しが見えないって我が王がお怒りなんよ、だからさ俺が自ら赴いて喝入れてやろってんだ、ありがたく思えよ」
「うっせぇ、俺達はただ休日を楽しんでただけなんだよ、邪魔すんじゃねーよボケェ! こっちは夕飯おごる羽目になってサイフの心配してんだよっ!」
俊哉は完全にバドミントンに負けた鬱憤を目の前の男に対して八つ当たりをしていた。
「雪斗と蛍は能力がまだ使えない、なら後ろで待ってて、私と俊哉で何とかするから」
睦月はすぐにでも動けるように姿勢を低くし、雪斗と蛍には下がるよう指示を出し、仕方ないといったように2人は少し下がり彼等の成り行きを見守ることにした。
「くくッ……おいおいおいおい、冗談だろ。お前等2人で俺の相手しようって言うのかよ。しかもだ、それで何とかするって……出来んのかよオイッ!」
男は2人を品定めするように全身に視線を這わせ、いつでも来いと言っているように腕を広げる。
「そういや名乗ってなかったな俺はムーティヒ・イェーガー。我が王に仕えし序列6位の希望」
「へぇ、そりゃ丁寧にあんがとな。俺は垣谷俊哉だ別に覚えなくてもいいぜ」
「宮城睦月」
互いに挨拶を済ませ先に動いたのは俊哉だった。
「我亡国の英雄にして反逆の騎士、我が剣は義を軽んじる不敬の刃、今此処に断罪と反逆を……アグリンスト フォーバエイゲン(反逆せし騎士の剣)」
地表に俊哉の腕に刻まれている模様と同じ模様が地面に現れ収縮し、一振りに剣が発現するとそれを手に取りムーティヒに向かい正面一直線に駆けていく。
「はぁ……ガキだなァ、一直線に突っ込んでくるなんて馬鹿のすることだぜ。まぁ、俺は嫌いじゃねーけどよ、そういう命知らずの馬鹿がよォッ!!」
ムーティヒはダルそうに宙に何かを描き始める。
「遍く遍く昇華の炎、紅蓮に猛る神格の呪聖、轟く地平線の彼方に今誓約は解かれた アルガラット ヴォヤージュ(地平線に落とされた終わりの爆撃)」
詠唱に合わせて描かれる模様は複雑な魔法陣のようであり、彼らとは能力の発動体系が違った。
剣を大きく振り上げ、ムーティヒの右首に対し斜めに剣を振り下ろすが、ムーティヒは余裕の笑みを浮かべ防御どころか回避行動さえ取らなかった。
俊哉の剣が首に触れた瞬間、周囲は轟く爆音とそれに見合うほどの爆発が彼ら二人を包み込む。
「俊哉ッ!!」
睦月が叫んだが、煙の中からは返事がなく代わりに現れたのは肌を焦がしぐったりとした俊哉の胸元を握り、宙に吊し上げるムーティヒの姿だった。
「あぁ、安心しろよ。王には殺すなって言われてんだ。といってもだ、このままコイツを放置してると死んじまうかもしれねーがなァ、クックック」
見下したように笑い、気を失った俊哉をゴミクズ同然と言わんばかりに放り投げる。
睦月の中で何かが爆ぜるのを感じた。
それは怒り。
純粋にまで爆発してしまった感情。
「反意せし罪業を侵せし神、汝断罪の鎖に繋がれ四肢は離別の道を辿るだろう……エヴァーランジェ フリーデ!!(無慈悲にして荘厳なる鎖)」
詠唱を怒りの静寂を孕ませ淡々と読み、空間から無数の鎖を発現させ、目の前の敵を捕縛し圧殺を命じると鎖は意思を持ったように動きムーティヒを捕縛する。
だが、先程の俊哉の時と同じように爆発が発生し鎖は弾き飛び連結が崩れ消滅する。
「そ、そんなッ!?」
「クっ、クヒャハ、ハハハハハハハァ! 無駄ぁなんだよ無駄無駄。いいか俺の能力は俺に触れるもの全てを爆発させる能力なんだぜ、そんな物理攻撃で来たって俺には効かねのよ。さらに言うと俺はまだ1%くらいしか実力を使っちゃいない。物理、術式、呪法、霊体、気体なんでも爆発して無効にしちまうんだよォ!」
睦月はもう1度鎖を発現させ思いっきり地面に向かって叩きつける。そうする事により弾けた石や土が弾丸のようにムーテェヒに向かうが結果は同じく爆発が起き無効化されてしまった。
ムーティヒは睦月に対して言葉を発するがそれを無視し鎖を手に握り特攻をかけた。
「おいッ! 止めろ睦月。お前も俊哉のようになりてぇのかッ!!」
雪斗の制止を振り切り叫びながら駆けていく。脳裏に浮かぶはバンドのメンバーや家族、そしてなにより今まで行動を共にした仲間達。
「馬鹿なオ・ン・ナだな」
爆音と爆発によって睦月の華奢な身体は宙高く放りなげだされ、地面に背中から墜落する。
やはり服は焦げ胸元などの薄い部分は完全に燃え散っていた。
肌も大火傷しているところが見受けられ、このまま放置すれば俊哉同様に危険な状態だった。
だが、戦場で残ったのは能力を未だに覚醒出来ていない二人だけだったが、ムーティヒは笑いながらこっちに向かってやってくる。
「テメェは逃げろ、振り向かずに一心不乱で走れ!」
「やだ」
「ふざけてんのかッ!? このままだと二人とも死ぬんだぞ!」
雪斗は焦りと恐怖で冷静さを欠き、蛍はいつものように無表情無感情を貫いていた。
「僕は逃げたくないし、もう……失いたくない」
雪斗は蛍の言っている意味が理解できずにいると、目の前にはムーティヒが此方を見下ろしていた。
「ッ!!」
もう遅せぇ、きっとそう言っていただろう。
自身の心臓の高鳴りで彼の言葉は聞き取れなかったが、読唇術とまではいかないがソイツの口はそう言っていた。
一瞬だった。
俊哉が物凄い勢いで爆風で後方にまで吹き飛ばされ、それ以降動きを見せなかった。
「へ〜お前が……ねぇ。つか、仲間がこんな風になって、お前はこの現状と俺が怖くないのかァ? お前からは恐怖が感じられねぇんだけど」
「多分怖いと思うけど」
「そうかよ……」
それだけ言うと彼の身体に触れ起爆させる。
もちろん彼は防御の術があるわけでもない。俊哉達と同じように吹き飛ばされ意識が暗闇に溶け込んだ。
意識は大海の底をたゆたい、深く深く深海の領域にまで沈んでいく。
暗く黒く日の光など届かぬ孤立とした世界。何も考えなければ自身という肉体の概念すら失せ魂のみの存在となれるのではないだろうか。
朦朧とする意識と無意識の狭間に人の姿を見た。
それは美しい異国の少女だった。
何故か彼女は地に座り込み泣いていた。
煌びやかで柔らかそうな金色の髪がハラリと揺れる。蛍は彼女に近づこうとしたが思うように動かけず、ただ黙って見ていることしかできなかった。
彼女は誰なのだろう。いったい何故こんな所で泣いているのだろうと疑問が沸き起こるが今の自分では答えを導くことができない。
声がするそれは彼女の悲痛な声、何人分もの誰かの名前を呼び震えながら謝っていた。
そこでまた意識は深海より深い世界に眠りに着く。
目を覚ますと先程までの意識の海では無く周囲一面白に覆われた何もない空間だった。
何の感情も見出さない、純粋なる無、病的なまでの潔白、黒より暗い白、挙げればキリがないほどの感想が出て来るだろうが。
単純なまでの複雑めいた白い部屋だった。
自身の周りには睦月、俊哉、雪斗が転がっていてその姿は火傷1つない綺麗なもので、これが死後の世界なのかと自己完結しようとした時に聞きなれた
明るい声が聞こえる。
「別に此処は死後という世界ではないんだよ。此処はただ概念が生まれない純粋な空間。まぁ、僕がキミたちを此処に招待したんだ」
その声の正体は自分と同じ顔をした少年だった。
「なんで僕等を呼んだの?」
「そうだね。ちょっとキミたちに失望しちゃったからかな。なんだいあの様は、いくら彼が手を抜いて戦ってたからって流石に酷くない? ガッカリだよ。僕もねあまり悠長に待っていられるほど時間が残されているわけじゃないんだ。だから、期限を決めようか、今日から一ヶ月後に戦争をするよ。たとえキミたちの能力が覚醒せていなかろうが、仲間が集まっていなかろうが僕達はキミ達人類に戦争をしかける。言っておくけど脅しじゃないからね。それと傷は僕の法で治しておいたから」
自分と同じ顔を持つ少年は深い溜息を1つ溢し、いつものように笑いながら消えていった。
彼が消えたことによりこの空間に亀裂が入りパズルのように粉々に砕けていった。
また目を覚ますと中恵公園の広場に倒れていて身体を触ってみるも何処にも異常は感じられず沈みゆく夕日を眺めた。
「なぁ……俺たちって負けたんだよな。僅かな差じゃなく圧倒的な実力差で、今思い出すだけであの熱さや痛みや恐怖が蘇ってくるんだ。正直殺し合いがこんな怖いものだと思わなかったよ、だって震えが止まんないんだぜ」
俊哉だった。
目を覚まして夕日を眺める蛍の隣に座り、震える身体を必死に抑えるが止まらず何故こんなことになったんだといった顔をしていた。
「残りの期限は一ヶ月後だって」
抑揚なく先ほど言われた期日を伝えるが俊哉は1回肯く。
「俺も朦朧とした意識で聞いてたよ、アイツにはあまり時間がないらしいな。その事についてお前はどう思うよ?」
「僕にも分からない、ただ今出来ることをやっておかないといけないと思う」
蛍の横顔を寂しそうに眺めた後決心したように立ち上がると、蛍は俊哉を見上げる。
「だったら、ちゃっちゃと仲間集めてお前と雪斗の能力を覚醒させなきゃいけないな! 悪いけどちょっと俺先に帰るからアイツらのこと頼んだぜ」
いつもの調子に戻った俊哉は彼に手を振り駅の方に駆けていった。
「お腹すいたな」
彼は近くで眠る2人を起こし彼に言われたことを話し3人でそのまま帰路に着く。
いつもであれば何かしら会話をしながら帰るのだが、今日は皆黙ったまま駅に向かい適当な所で分かれた。
彼は耳にイヤホンを差込みお気に入りの音楽を聞きながら電車に揺られる。
車窓から射し込む夕日の紅が眩しく目を逸らし別の風景を眺める。
過ぎ行く街並みや人々、安寧に暮らし世界が壊されることなど知らずに生きる無知な人々。
死という概念……。
恐怖……。
なにも感じない。
1度だけ感じた悔しさと後悔と深い悲しみ。
かつて自身の弱さのせいで失ってしまったもう戻っては来ない友人の姿。
そんな事を考えていると有羽高台に付き、改札を出て坂道を登っていく。
そうすると後ろから軽い衝撃を感じ、振り向くとそこには妹が買い物袋を持っていた。
偶然だねお兄ちゃん、重いから持つの手伝ってよ、きっとそう言っていた。
イヤホンから流れる音楽によって妹は何かを口パクしていたがそういう事だろう。現に買い物袋の1つをこちらがわに突き出している。
彼は買い物袋に一瞥くれるとだまって正面に向き直り歩を進める。
「ちょっ……!? 待ってよお兄ちゃん。いいじゃん1つくらい持ってくれても」
鈴音が急いで兄に追いつこうと駆けて来てイヤホンを引っこ抜く。
「鈴音どうしたの?」
ここまでされては無視を決め込む事が出来ないし後ほどの仕返しが怖い為仕方なく相手をする。
「鈴音どうしたの? じゃないよー。重いから袋1つ持ってって言ったのに無視するんだもん」
「ごめん、じゃあ1つ持つよ」
「うん、ありがとうお兄ちゃん。大好きだよ」
喜びながら買い物袋を1つ持たされ、結構重かったのでソレを今まで運んでた妹に関心反面やっぱり持たなければ良かったという気持ちが半分を占めていた。
こうやって妹と会話をしながら歩くなんていつぶりだっただろうか、思い出せる範囲で4年間はこうやって一緒に歩いてない。家に着くと買ったものを冷蔵庫に詰めていき彼は自身の自室に戻りベッドに腰掛ける。
カーテンを締め切った暗い部屋。ベッドに置かれた妹から貰ったクマのぬいぐるみ。彼にとって意味をなさないその空間だが、何故か戻って来れたという安心感に浸ていた。
天井を眺めながら妹が料理を作り終わるまでボーっとしていた。
今日という日は彼らにとって心の深層に現実を植えつけた。
こんばんは上月です(*'ω'*)ノ
今回現れたムーティヒ・イェーガーの前に圧倒的実力差で敗北した蛍達。
これから、戦う相手がどういう存在かを思い知らされ、皆胸中に抱く恐怖。
次回の投稿は9月25日の日曜日となりますので、よろしくお願いします^^