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第五章 高校一年、進路希望調査 弐

 さて、現在のスルーザブライドルのメンバーはというと……


 当主及びCEO セラフィルデ=スルーザブライドル

 当主補佐 炎導誓

 秘書 クローネ=バラドホルン

 重鎮 児玉由紀 片倉結 愛埜環

    金城拓真 藤原美姫

    レディアラ=クラウニア ファーレスト=クラウニア

 外部特別協力員 風間見鶏

 他、残った前スルーザクラウドルの者たち


 このような形になっている。

 重鎮は3段階分け。クラウニア夫妻より拓真や美姫が偉くて、拓真たちより由紀と結に環が偉い。

 また、スルーザブライドルに移った──前スルーザクラウドルの敷地から退去しなかった──メンバーより見鶏が偉くなっている。

 そしてそれとは別に……

 第一婚約者 児玉由紀

 第二婚約者 片倉結 

 第三婚約者 愛埜環

 第四婚約者 セラフィルデ=スルーザブライドル

 第五婚約者 クローネ=バラドホルン←NEW

 となり、問題が生じている。

 結婚の順番だ。

(あれ? いつの間に──まあ今は置いておこう)

 第二婚約者までは問題ないが、その後が何年かかるかという塩梅なので、現状だと年齢的に待たせる訳にもいかない第五婚約者のクローネが当主のセラフィまで差し置いて先になってしまう。

 どうしたものかと悩む誓。

 そこに解決策を提示したのは出来る秘書のクローネ。

「アメリカ国籍であれば術士関係なく数はお金で買えます。額は最終的に長者番付クラスになりますが」

 1~4人目は2~8億ドル。5人目以降は10億ドル。

「いや無理だろう」

 桁が違う。

 非術士でも問題ない点や人数に上限がない点は正にアメリカンドリームと言えるが、敷居があまりに高い。

「スルーザクラウドルの資産は全てスルーザブライドルに移譲されました。残念ながら妖魔との戦闘の危険性が低いものに関しては相続税がありますので、今までの蓄えはそこまで残りませんが、今後は当主であるセラフィ様と当主補佐である誓さんでおよそ8割を分担されます。恐らく年間40億ドルは固いと思われます。因みに残り2割のうち、1割は僭越ながらCFOでもある私とCLO担当者、他COO担当者2名の計4名で分担。残り1割を他に回す形ですね」

「……え?」

「幸い、気象や発電、農業に航空関係など、そちらを主とした要員の多くは関係各社との契約上、急なリヴェンジには参戦できませんでしたので殆ど欠けておりません。戦闘がメインとならない日常の業務、及び航空の引率に関してはこれまで同様恙なく……」

「ちょっと待ってくれクローネさん。聞き間違いかな? 今年間40億ドルとかあり得ない額を聞いた気がするんだが?」

「いえ、間違っておりません。スルーザクラウドルはアメリカにおいて風のナンバー2でした。セルヴァルト様がそちらに尽力していたのもあって国内におけるシェアは相当なものです。40億というのも、今回の顛末を考慮して低く見積もった値になります。それと、私のことはどうぞクローネとお呼びください」

「あ、ああ。ありがとうクローネ。よくわかったよ」

(本当は全然理解が及んでないとは言えない。今更ながら、クローネさ……クローネを倒さなかったのは正解だな。これ秘書兼CFO担当してたクローネいなかったら色々詰んでたぞ。セラフィナイス判断!)

 とりあえずクローネが必要ということはよくわかった誓であった。

「でもセラフィはともかく、俺がそんなに貰っていいのか? COO担当の人が持つべきのような気もするが」

「家全体の稼ぎで見れば、戦闘をメイン担当する方々は少ない。それは確かです。しかし危険性は雲泥の差。安寧があってこその日常ですよ誓さん。風の第2位という確かな戦闘力が背景にあったからこそ、顧客も安心からお金を出してくれていたのです。家のイメージモデル料、且つ、危険手当や金庫番とでも思って下さい。当然ながら、強者のイメージは大切ですのでホームページにはランカーの経歴を持つ方々を大々的に載せさせて頂きます。それに1割を4名で分担したとしても1人頭年間1億2千万ドル以上です。場合によっては警護も家で付けますし充分だと考えます」

「なるほどな」

(うん、クローネ必要。再確認。というか戦闘力も高いのに、経営にも強いって凄く優秀じゃないか?)

「誓さん? 何か他に聞きたいことでもありましたか?」

「いや、戦闘面でも経営面でも頼りになって、その上綺麗だなんてホントいい女だなと……あ」

「それは……、光栄、いえ、嬉しいです誓さん」

 思わず零れた誓の言葉に、いい大人のクローネが恥ずかしそうに微笑む。

 昨夜、盛り上がってしまった後の今日だと言うのに、否、だからか誓の目線が思わずクローネの艶めかしい曲線を追ってしまう。

「誓さん。この書類を片づけたら、少し二人だけで話す時間を取って頂いてもよろしいでしょうか」

「あ、ああ。俺も少し二人だけで話したいと思っていたよ」

 込み上げる熱を自覚しながら書類を片づけた誓は、少しの間、美人秘書と身を寄せ合い今後について話し合うことに。

 クローネは長く夢だった恋人同士の語らいに、恥じらいつつも興奮を隠せないようで随分と積極的に誓との交流を図り、場の空気を弾ませる。

 気分も上がり、嬉しくなった誓は気付けば随分長い時間クローネの腰に手を──

 ──

 ────

 パチリと、ソファの上で目を覚ます誓。

(……夢、か。危うくなりかけた展開ではあるが、内心惜しいと思っているのか? でも今はいいとして10年後20年後を考えるとな。一回り以上も年上との結婚は難しいだろう……って、こんなことを考えてるとフラグになるか? いやまさかな)

 昨晩、若干の身の危険を感じながらもどうにかクローネの結婚相手について模索していた誓たち。

 クローネは大事な役どころ。

 事は重要性が高いので、情報漏洩を避けるべく風での対処も行っていた。

 誓は自身との結婚ルートを避けつつもそういった話には及んだので、夢でその先のもしもを追体験したようである。

(昨日はかなり多くの情報を捌いたからな。長い夢の合間に記憶の整理でもしてたか)

 先に起きていたクローネが少な目に珈琲を淹れてくれた。

「ありがとうクローネさん」

「いえ、朝食の用意は出来ております。セラフィ様が起きられたら一緒に向かいましょう」

 そうして誓の隣で眠るセラフィを優しく見つめるクローネ。

 そんなクローネを、夢の中とは違いただ優しく見れたことに、誓は安堵した。


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