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異世界に行っても袋詰め人生  作者: きつと
第2章 従業員、増えました
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収納袋と盾の改造

 「――と、まぁこんな感じで袋の中が別空間みたいに色々詰め込めます」




 今朝の反省会後、昨夜の成果である闇魔法融合した袋(以降は収納袋)の説明をしていた。


まとめると、


・魔力防御の蓄積とは別に、MP2につき1リットル分容量が増える

・中に入れて振ってもごちゃごちゃにはならない

・通常の袋は中身が軽くなるが、収納袋は中に入れても袋自体の重さのみ

・袋の中の取り出したいものを意識すると簡単に掴める

・生き物を入れたままでは閉じられないが中に入れる

・入った時は洞窟のような別空間になり、広いと迷子になる可能性も

・上記の時でも外からすぐ救出できる

・中には空気も重力も存在しているが外の影響は受けない

・鞄等の付与の時も収納袋の機能を付けられる

・袋もしくは付与された鞄が破壊されても中身は無事だが全部ぶちまける


といったところだ。


 とにかく今ある鞄は収納袋として付け替え、特に普段下げて使う鞄は収納なしとありの二重付与をして中身の偽装工作なんてのもしてみた。大きい容量でやるとMP消費が凄いから、すぐに回復待ちになっちゃうのがもどかしい!




 収納袋の説明も終わり、今度は美李ちゃんにカモフラージュの事を説明しておいた。今の姫様とトニアさんは髪に変装をかけてあるが、影響を受けない印をしてあるおかげで分からないのだ。

 だから2人の素性がバレ無い様に変装していること、それを周りの人にバラさないことを美李ちゃんに気をつけるようお願いしておいた。もしバレたらここにはいられなくなると言うと、かなり真剣な顔で頷いていた。よっぽど2人の事が好きなんだなぁ。




 話が終わって朝ご飯を食べている時のこと。


「それなら、呼び方も変えないとすぐにバレませんか?」


 ふと、沙里ちゃんに言われて気が付いた。確かにバレるわ!


「そうなると……姫様はローザかサリス、トニアさんはニアかソニアなんてどうでしょう?」


「でしたら私はサリスで、呼び捨てでお願いいたします!」


「自分はニアで。自分も呼び捨てでお願いいたします」


 ……呼び捨てっすか。ハードル上げてくるなぁ。


 確かに様なんて付けてたら即バレだからダメだとしても、さんくらい付けてて何も問題ないと思うんだけど。でも結局押し切られるわけだ。なんだかんだで立場弱いなぁ俺。




 そして朝の食品製造の時、姫様もやってみたいとと言い出して、


「変ですわねぇ。色が薄いようですし、もうちょっと入れてみますね」


「待って待って待って!1種類ごとにすり切り1杯ずつです!混ぜればちゃんと見た目同じになりますから!」


「大丈夫です、お任せください!」


 匙を山盛りにした塩を持ちつつ姫様が答える。



 うん。お姫様にこういうのは早かったんだ。味付けやってみたいと言ったからやらせてみたが、おかしいなぁ?1杯ずつ順番に入れてくだけなんだけどなぁ?

 ここは美李ちゃんと代わってもらって、ミンサーで挽肉作りやってもらおう!分解清掃は刃物あって危ないから、トニアさんにフォローお願いしとこう。


「美李ちゃん、キミを姫様とトニアさんの先生に任命します!挽肉とうどん作りを教えてあげてください!」


「わっかりましたー!(ビシッ」


 今日はあたしがおねえちゃんです!と言いながら、実に堂々と2人に教えてくれていた。フォローもしっかりしてるし、意外と美李ちゃんは面倒見がいいぞ?沙里ちゃんを参考にしてるのかもしれないな。



 何故か追加で何か入れたがる姫様をトニアさんが止めつつ、美李ちゃんから教わった事を楽しそうに作業をする姫様。城に居てはこんなことやらせてもらえないだろうしね。

 今は変装もしてるし、もういっそいる間は従業員ということで勝手に試用期間ってやつにしてしまおう!これで従業員5人になったってことで!




 製造を終えて昼ご飯を食べている時、騎士の1人が今日は源さんは来られないとの伝言をして帰って行った。訓練はしたいがその前にランブさんに装備の改善を頼みたいからと、馬車をお願いして俺一人でランブさんの所に行く事にした。



「ふぅむ……盾の表面のスリットに、さらに可動式の枠か」


 ランブさんは手土産を受け取りつつ、俺が書いた図面を見て意味が分からず唸っていた。


「この袋を取り付けたいので、こう盾の中央上下を枠で留めて、表面でがま口の枠を180度動かせるようにしたいんですよ。盾の半分を枠の扉で開ける感じですね。がま口部品を付けて左右どちらに開けても固定できるようにお願いします」


  要するに、盾の表面で袋を開閉出来るようにして、盾で受け止めるだけじゃなく、拡張袋に吸い込ませてしまえばいいじゃないかと。

 横薙ぎな斬り方などは盾として受け流すしかないが、矢や突き・弾系の魔法なら吸い込んでしまえるはずだ。突きの場合は中に入れてから手を攻撃して手放させる必要があるが。

 ダメだったら枠を開かず初期どおり衝撃吸収として使えばいいだけだ。枠の固定部分も壊れやすいかもしれないし、他に欠点もあるかもしれない。とにかくやってみる価値はあるはず!



「それくらいならちょっと待ってくれりゃすぐに出来るぞ。余り板と固定部品だけだからな。どれ、盾を3つなら今すぐ始めよう」


 すぐに1つ目の試作が出来上がり、俺もその形状に合った袋を作って嵌め込んでみて、改良点を告げて修正・確認と何度か繰り返した。おかげでものの数時間で3個とも完了した。


「ありがとうございます!あ、迎えの馬車が来るまで待たせてもらっていいですか?」


「おう。ここ最近傭兵のような奴らがうろついてたり、やたらとスリの被害を聞くからな。気をつけた方がいいぞ?どうにもきな臭い」



 代金を払い馬車に乗って帰る時、御者さんも最近は街中も物騒になっていると言っていた。もう1人付けてもらわないといけないな、と愚痴をこぼしている。

 そんな御者さんの話し相手になりつつ、追加の仕入れをしたいので旦那様に挨拶をしていくつもりで寄ったが不在だった。


 代わりに店長に注文依頼書をお願いし、今日は運べる分だけ積み込んで家に送ってもらう事にした。せめて執事さんがいたら代金もすぐに払えたが、店長はお金を預かるのはさすがに勘弁してくれと断られた。せめて執事さんがいたら大丈夫だったんだろうね。




 店を出てもうすぐ家に着くころに、後ろから旦那様の馬車が駆け込んできた。こちらの馬車に横付けして窓を開け、非常に苦しそうな顔を見せこう切り出した。




「第一王女とその親衛隊が国王に反旗を翻した。詳しくはあの家の中で!」




 俺達の馬車も急いで旦那様の馬車を追いかけ家に駆け込む。



 やっとこの世界で手にした平穏が崩れる。そんな不安しか感じられなかった。




次回から3章になります。


やっと内容を進められそうです…

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