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異世界に行っても袋詰め人生  作者: きつと
第2章 従業員、増えました
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今後の目標と無限収納

 美李が寝付き、2階の部屋にあった椅子を部屋の端に用意して俺と姫様が座る。沙里はベッドで美李を撫でながら話を聞くことにしたらしい。起きたら一人ぼっちなんてことにしないためにはこうなるんだろうな。




「ではまずはヒバリ様からお願いします」


「はい。俺の提案は、これから姫様とトニアさんが住むに当たって、そのままの姿だと多少変装したところでいずれバレちゃうだろうなと。そこで俺の魔法のカモフラージュを使う事を提案します

 これは以前姿を背景と同じに変えて隠れる目的で使っていましたが、その使い方を変えてみました。部分的にカモフラージュで姿をごまかす方法です。実際にやってみましょうか」


 そう言ってまずは俺の髪を黒から青やブロンドに変えて、次は帯剣で留めていた剣を見えなくしたりと人の体以外も使える事を実際に見せてみた。 あとはこの魔法の影響を受けない印を付け、カモフラージュで変えているけどちゃんと元の姿がはっきり見える事も説明して実践してみせた。



「……これは、すごいですね。そしてこれを知られる事は危険ですね。武器を隠し持てるのはこちらとしては有利ですが、持っていなくても疑われたら本人以外証明できないでしょう。

 幸いここの全員しか知らない事ですし、迂闊に開示しないことを約束し、もし教えるにしてもカモフラージュの事は変装魔法程度に留めた方がよいでしょう」


 まずはトニアさんが危険性のある事項を注意してくれた。


「私としても変装出来るのであればしておいた方がいいと思います。ただ、あまりに今の外見と離れすぎるとどこかでミスを犯してしまうと思われますので、髪の色程度で十分ではないでしょうか」


 なるほど。姫様は当たり障りのない程度の変装にして、お互いの違和感を無くす方向か。


「そうですね。美李ちゃんも含めて皆で内緒にしておきましょう。変装は髪の色程度にします。それと、トニアさんは耳は隠しておいた方がいいでしょうか?」


「はい、よろしくお願いいたします。それと、短剣にもかけて頂きたいです。いざとなったらの武器を隠しておけるなら、奥の手として用意しておきたく思いますので」



 こうして4人に闇魔法共有の小さな印を手首につけさせてもらって、姫様は髪を銀から薄い金に、トニアさんは耳を見えなくした上で髪を青から赤紫へと変装させた。確認として姫様とトニアさんの印を一旦解いて見てもらい、もう一度印を付けて完了となる。

 俺達の黒髪も目立つから、そのうち変えないといけなくなるかもなぁ。と考えつつすべて済ませてから俺の話は以上だと〆ておいた。




「では次は私の方から報告を。


 ここ数日皆様の帰還魔法について調べておりました。ニング卿からお聞きのとおり、少々城内が慌しいですが、いくつか確認できた事をお話しします」


 調べていたのは帰還についてだったのか!しばらく必死に生活してたから忘れてたけど、そういう可能性があるって話だったよな。美李ちゃんがホームシックになってるから聞かせてあげたいが、雰囲気からしてすぐに帰れるわけでもなさそうだ。



「まず、皆様を召喚いたしました魔法についてですが、あれは私の光魔法の特性である収束、そして媒体として使った初代勇者様から伝わる宝珠の融合魔法なのです。

 そしてこの宝珠は闇の属性を帯びております。つまり、召喚魔法は光と闇の融合魔法なのです。光で収束、闇で空間。この2つが大きな鍵になるはずです。

 今までで確認されている闇の適合者はヒバリ様と逃げたもう一方、それと古くは初代勇者のパーティに一人いたとされています。そして、魔王と同種族である魔族に多いと伝わっています。魔族には長命な者もいますので、もしかしたら召喚魔法のしくみを知るものもいるかもしれないのです」



 魔王や魔族、魔物…そういったものを倒すために召喚されたのに、帰るためにはそいつらから情報を聞き出さないといけないのか……


 なんだか頭が混乱しそうだぞこれ。



「これは確定情報というわけではないのですが、


 魔王や魔族と魔物は別物だ、という記述のものがありました。確かに魔族と魔物は意思の疎通が出来るかどうかで判断されます。ですので、あながち誤述とも言い切れないのです。

 出来る事なら自ら確かめに参りたいのですが、さすがに母上にも了承を頂けませんでした。念のためにトニアからの伝手で第二王女である姉上のパーティに知らせてもらうようにしてありますが、信用していただけるかどうか……


 帰還方法の報告は以上です。


 次に、闇魔法の事についてなのですが、初代勇者のパーティにいた闇の適合者は闇魔法の特徴である空間操作を使ってたくさんの荷物を運んでいたそうです。もしかしたらヒバリ様も同じ事が再現出来るのではないでしょうか?」 



 これは所謂アイテムボックスというものを闇魔法で使っていたということか!

もしそれが出来るなら、荷物を運ぶのもいざとなったらの装備も絶対に役に立つ。是非とも実現させたい!


「帰還方法は今はまだ厳しそうですね。2つ目の収納が増える魔法は是非とも習得したいですね!ちょっと明日から色々試してみたいと思います」


 正直魔王や魔族どころかまだ魔物だって見た事ないから、違いも何も実感湧かないんだよね。これは早いとこ実戦訓練もした方がいいのかもしれない。するかどうかは源さんが判断してくれるだろうから、聞くだけ聞いた方がいいな。


 ちらっと沙里ちゃんの方を見たが、まだ帰れない事と魔族だ魔物だという言葉で少し不安そうだった。城の情勢もおかしいし、何より俺達は良く思われていないから不安材料ばかりだ。



「沙里ちゃん。姫様の話だと俺と姫様の属性魔法の融合が鍵になるかもって事が分かっただけ前進だよ。今はまだ無理だけど、もっとステータスを上げて魔族と話し合いが出来るよう頑張ろう。

 俺達は別に戦争をしたいわけじゃないんだけど、守れる力だけはつけておこうね。そうしたら、俺達も旅に出る方がいいのかもしれない。勇者としてじゃなく、帰る方法を探す冒険者として、だね!」


 わざと明るめの声を出しておいたが、ちょっと大きかったようで危うく美李ちゃんを起こしそうになった。加減間違えたか!?




 話も終わり2階を後にした俺は、さっそく姫様の言っていた闇魔法を考えていた。


「ハイディングの時は影の中に入るってイメージで発動できたんだよな。てことは、手品みたいに袖からこう……魔力の流し方が分からん!」


 などと手を動かしてみるも、そもそも手品なんてやったこともないからまったく想像つかないわ。ゲームで言うアイテムボックスと考えると、鞄を使った方がいいのかね?

 ごそごそと使っていない鞄を取り出し、さっそく中へ手を伸ばしつつ、その奥に空間があると想像しながら魔力を流すよう意識してみる。が、どうにも上手くいかない。


「それならいっそ、俺の作る袋は魔力で出来てるんだから、美李ちゃんみたいにスキルと魔法の融合と考えればいいのか?」


 すでに何千枚と作り続けた袋はすぐにイメージでき、さらにそこへ魔力を注ぐ。これも何度もやってきたことだ。今回はその魔力を闇属性の空間拡張をイメージしてやってみる。


「お?魔力がいつもの蓄積じゃなく広がる感じが……これか?しかも広げる以外にも蓄積の方も同時にいけるのか……なら、これをなんとかして――


出来た!!!」




 出来上がったのはいつもの厚さ0.2mmの1kg用袋。


 しかし、蓄積魔力25Pで拡張魔力10Pという代物だ。蓄積はMP1単位で調整可能だが、拡張は2単位だったため、まずは10Pで作ってみた。



 中に手を入れてみると、ふわっとした空間が出来ていた。しかし、それほど広いわけではなく、ちょっとすると袋の内側に触れた。

 いまいちどれくらい拡張されたか分からないので、拡張MP2と6も作って合計3種類の袋に水を入れてみる事にした。基準はいつもの1kg用袋だ。



 結果は、


・拡張MP2 →2杯分

・拡張MP6 →4杯分

・拡張MP10→6杯分


 つまり、2Pごとに1kg用袋1個分(=1リットル)多く入るってことか。



 今の袋最大の幅と厚さで25P+蓄積MPを源さんの総魔力量より上の200P=225Pだ。そこから更に拡張として1000P(+500リットル分)の袋を作ってみる。さすがにMPを1225P一気に使ったのは初めてで一瞬だけ脱力感がきた。



「じゃあさっそく、


うっわ!なんかすげー!手を入れてるのにまったく広さが分からん!」


 ……っと、いかんいかん。今は夜だからあまり大きな声はまずい。興奮して思わず声出ちゃったよ。気をつけないと!でもこれ面白い!



 ひとしきり中に入れたり取り出す感覚を楽しんだ後、次の実験に移る。


「今度は鞄やポケットへの付与として発動した時に出来るかどうか、だな」


 鞄を用意し、一度深呼吸をしてから集中してスキルと魔法を発動させる。


「……ん。さっきと同じようにイメージできる。これに、拡張で1000P入れて――


よし、できた!」



 出来上がった鞄の中に手を入れ、どこまで広いか分からない感覚を確認した。これでこの鞄も500リットルの大容量だ!いやこれ便利だなぁ。取り出したい物をイメージすればすぐにつかめるし。

 ちなみに、大容量袋にたくさん入れて、それをさらに大容量袋に入れても大丈夫だった。なんだかマトリョーシカみたいだなぁ。これもう袋に入る大きささえクリア出来れば無限収納じゃないか?管理大変そうだけど。



「よーし、それならもっと大きい鞄で拡張付けて作ってみよう!今度はもっと容量広げて、さらに平行で内側にもう1層追加して――」






で、気が付いたら朝でした。



ずっと袋を作っていたわけではなく、MP切れで倒れてました。




いやぁ、召喚された初日以来にやっちまいましたよ。


 床に倒れてたせいで起こしに来た沙里ちゃんの悲鳴で起こされて、心配掛けた罰として朝から正座させられました。いい大人なにやってるんだか!



次で2章終わります。出来るだけ早めに書き上げますので、よろしくおねがいします

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