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異世界に行っても袋詰め人生  作者: きつと
第2章 従業員、増えました
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浴槽と装備品

 通常営業である袋詰めが終わり、作業場の片付けと昼食の準備をしている時、馬車がやってきた。


 製品受け取りには早いな?と顔を出してみれば、ランブさんが顔を出して手を振っている。さすがに浴槽もあると2台で来るしかないかーと、家の前に到着した馬車を見ながら考えていた。




「ご苦労様です。ランブさん自ら来られるとは思いませんでしたよ」


「装備は最後の調整をしてこその完成だぞ。それには直接会わねば無理ってものだ!」



 あ、そうか。今回俺達が配送でいいと言ったから、ランブさんも来いと言ったようなものだったってことか!そりゃあ申し訳ないことをしたな……



「そうとは知らずすみませんでした。あ、それなら今から昼食なので一緒にいかがですか?うどんという麺でさっぱりした味付けなのですが、ワニつくねも乗ってますよ」


「ほう!麺とやらは食った事がないな。せっかくだ、いただこう!」


 中でうどんの準備をしてる沙里ちゃんに追加をお願いし、御者さんたちも交えてみんなで食べた。やはり箸は難しいらしくすぐにフォークを準備したけど。麺は短く改良した分啜らなくても食べられていたかな?


「うむ。これもまた面白いな。美味かった!それとこの箸とやらを分けて欲しい」


 結局最後まで箸で食べきったランブさんはさすがとしか言えない器用さで見る見る使いこなしていた。一応旦那様の店でもいつでも食べられる事は伝えておいたら、自分の行きつけの店にも卸してくれとも頼まれた。販路拡張ありがとうございます!




 まず初めに浴槽から設置してもらった。搬入しやすい事も考えて作業場との仕切り板は最後までは設置していない。浴槽と給湯器を無事に取り付けたら使い方のレクチャーを受けて、実際にお湯を出してみる。


「「「おおー!」」」


 久しぶりに見る湯船に俺達3人は感動していた。もう1週間以上体を拭くだけだったからなおさらすぐに入りたくなる気持ちも一緒だ。しかしまだ我慢だ!


 壁に少し穴を開けて、取り外しも簡単な風魔石を使った小型扇風機のような換気扇を取り付けてあるから湿気対策も万全。カビなどは消毒魔法で消せるのでそこも気にせずに済むから魔法って楽だなぁ。



「お前さんら、そろそろ装備の調整したいんだがいいか?」


「ああすみません、すぐ始めましょう!」


 お湯を止めて、後の排水状況や部屋の壁板の固定などは浴槽を運んでくれた人たちに頼んで、装備の方に切り替える。自分の命を守るものだからしっかりせねば。


「言われたとおりの武器、そして剣2本の鞘には投げナイフが入る程度のポケットを付けてある。盾と鎧の方は実際着てみてサイズの調整と、例の溝の確認をしてくれ」


 まずはぞれぞれの武器を受け取り、実際に振ってみたりとチェックを済ませる。そして鎧の方は事前に準備しておいた1cm厚の袋を内側ポケット全面に仕込み、その上でサイズ調整をしてもらった。


「なんじゃ、内側のはその緩衝材を入れるためのものだったのか。変わった材質のようだが、それはなんじゃ?」


「んー……ちょっと企業秘密ってとこですかね。あとでこっそり教えますよ」


 2人の調整も終わり、今度は鎧を着たままで動きのチェックをしていた。その後、盾の確認もして、俺達は何も問題が無い事を告げた。




「あ、ランブさん。またちょっと料理の道具をお願いしたいんですよ」


 そう言ってパスタマシーンの図を描いた紙を出して、どういったものなのか説明しつつ、今ある道具で構造に似た動きを見せて理解してもらった。先にうどんを食べてもらっていたから麺というものの説明が楽だったのは助かったなぁ。

 こちらは5日くらいあれば出来上がるだろうとのことだ。もちろん切り刃は3種サイズの麺が出来るよう替え刃も注文してあるから、うどん・中華麺・パスタとレパートリーを増やせるのが楽しみだ!


「相変わらずお前さんの注文は面白いのばかりで飽きないな。では、うどんの件は頼んだぞ!」



 一応お土産として茹でた麺とつゆの袋詰めを持たせたが、やはりいつでも食べられるようにしたいらしいな。そのうちこの世界でも〆の一杯なんて習慣が生まれたりして?




 家の中に戻り装備を階段側に敷いた板の上に並べた。これから盾と鎧に付いたスリットに、1cm厚の袋を作ってははめ込んでいくのだ。そのためのスリットだからね。全てに袋を挿し込めば、かなりの防御力補正になるはずだ。

 そして鞘・鎧・盾にあるポケットを利用してLV2の袋付与を使って魔力を蓄積させて発動し、更に魔力防御を高めた。 


 その間に姉妹は浴槽を掃除して湯を張って2人で先に入ってもらった。きゃっきゃ聞こえる声に反応しちゃうが今は袋を作るんだ!耳に集中してる場合じゃない!



 誘惑を振り切り無事に盾と鎧の全てに袋を挿し込み、袋付与も出来た。ただ、これには1つ欠点が存在していた。袋が、光を、めっちゃ反射するんです……出来上がった鎧を着こんで外に出たら、見事に夕陽を反射して光る姿がそこにあったんだ……


「今は仕方ないが、あとで改良が必要だなこれ」


 ちなみに、何故兜というかヘッドギアを作らなかったかというと、四角い袋を斜めに折って、それをバンダナのように結べばそれでいいんじゃね?って。下手に重くて視界を悪くするよりよっぽどの防御力あるからなぁ。




 その後少しだけ鎧を着たまま剣を振って家に戻った。風呂に入ってても風呂上りでも女の子なわけで、ちょっとその匂いが薄れるまで外にいたかったんだ……


 家に戻って、さすがに俺も装備を置いて風呂に入らせてもらった。久々の風呂はいい。これは決して女の子の残り湯とかいう話じゃなく、湯船でゆっくりというのがいいのであってだね、



 誰にとも無く言い訳をしながら風呂から上がると、すでに夕食は出来上がっていた。



「おっと、準備手伝えなくてごめんね。やっぱり風呂はいいよねぇ」


「あ、大丈夫でしたよ。やっぱりお風呂いいですよねぇ。」


「あとはシャワーがもっと使いやすければいいんだろうけど、さすがに床にタイルみたいのを敷き詰めるのは大変だからね。海外みたいに浴槽の中でしかシャワー使えないんだよなぁ」


「美李はシャワーも使ったよ!気持ちよかった!」



 昨日は暗い話題しかなかった分、今日の風呂は気に入ってもらえてよかった。あとは浴槽の外でもちゃんと体や頭が洗える場所を作らないとだな。鉄板を加工して、少し排水溝に向けて斜めに傾ければ水はけの良くなる床ができるかな?

 今は浴室に大きい桶を置いて、そこで体と頭を洗うことは出来る。それでも周りに飛び散るから、出来ればユニットバスみたいにコンパクトに床まで何とかしたいもんだ。




 晩御飯を食べる時も風呂と装備の話題で盛り上がった。ついでに兜代わりに袋をバンダナみたいに巻いて欲しい事も伝えておいた。あとは腕や足をどうするか、さすがにすぐにはまとまらなかったが。


 そして今日からまた袋を作る事にした。これは商売用じゃなく、繰り返し開閉が出来るようにする。何かあってからじゃ遅いから、これらは保存用として自分達で使うつもりだ。

 明日から仕入れ量も少し増やして、3人で余裕のある今のうちに溜め込み始める予定だ。旦那様からあんな話を聞いたらさすがに何もしないわけにはいかないだろう。

 ついでにサイズの大きい袋も作って荷造り袋にする。装備や食材、日用品等とにかく袋に入れちゃえば軽くなるし劣化もなくなるからこちらも重要だ。




 寝る前にせっせと袋を作っては種類ごとに整理して、と繰り返した後で久々に自身のステータスを見た。気が付くと袋詰めのスキルがLV3になっていた。





袋詰め:LV3


袋作成時に任意の模様を追加出来る





「………せめて鎧用の袋を作る前に気付けばよかった」



日々の確認を怠った俺が悪いね!ちくしょう!



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