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異世界に行っても袋詰め人生  作者: きつと
第2章 従業員、増えました
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装備品と浴槽の作成依頼

「ふう。これで納品分と予備分の製造は完了だ!じゃあ渡してくるわ」


「お疲れ様です。では片付け始めちゃいますね」


「ヒバリお兄ちゃん!ミンサーのおそうじおしえてー!」



 3人となった加工所は賑やかだった。以前よりさらに売上を伸ばしてもしっかりと時間内に間に合うほど2人が優秀だったこともある。畑で鍛えた膂力で重い肉塊を苦も無く運ぶ美李ちゃん、店の経験と固有スキルのおかげか、すぐに覚えて要領よく味付けや計量を行う沙里ちゃん。


(たった2日でもう主力戦力だなぁ)


 納品を終えて、楽しそうに仲良く片付ける姉妹を見ながら、俺は美李ちゃんにミンサーの分解の仕方から教えるために家の中に戻っていった。



「ヒバリお兄ちゃん、お外の畑は何もしないの?」


「んー…そっちまで手が回らなくてねぇ。美李ちゃんがやりたいなら、何か植えてもいいよ。前に畑仕事楽しかったって言ってたしね。ただし、無茶はしないこと!手伝いがいるなら声をかけること!」


「やりたいです!お姉ちゃーん!あのね――」



 やっぱり畑仕事自体は好きなんだなぁ。辛い作業ばかりやらされてたって話だけど、美李ちゃんにとってはステータスを上げる経験値になっただけで、本人は気にしてなかったか。でも、効果が無いと分かるともっとエスカレートしてたかもしれない。こっちに来てよかったはずだ。





 午後になってトニアさんが訪れ、今日も姫様が来られない事を詫びていた。いや、そもそもほぼ毎日来てくれていた事はありがたいが無理してたんじゃないかと思うし!こちらに構いすぎて立場の悪くなるような事なってないといいけど……



 今日はランブさんの所へ、浴槽の発注と護身用に鎧と武器を頼みに行く事になっていた。先日の件は姉妹には伏せているものの、やり方としては姫様にはお気に召さなかったようで押し切られたのだ。

 でも俺だってちょっと実験も兼ねていたから、決してただでやられるような事になってないんだ!なんて言ったら余計怒られそうだから言わない!もちろん鞄に袋付与した時の防御力実験もしたぞ!



結果として、


・物理防御力は付与したものの性能でしかない

・魔法防御力は付与時に蓄積されたMP分防ぐ事ができる

・双方どちらかの防御力を突破された場合、中身は傷つかないが全て吐き出してしまう

・付与した鞄に更に袋を入れても鞄が壊れてからじゃないと袋本来の物理防御は発揮できない

・袋の物理防御は厚さの最大5mm(袋全体の厚さは1cm)だと従士さんの槍突きを防げた

(美李ちゃんは突き破ってたけど

・LV2の袋状の定義は広く、縛り紐や留めボタン等あればズボンのポケットですら付与できる



今分かっているのはこんなところだ。



 ここで特に注目したいのが最後の項目。これ、例えば服のポケットにボタンをつけて付与すれば、財布(今は小袋)をポケットに仕舞って閉じると、権限の無いものには開けられない。つまり、スリに遭う心配もないのだ!しかも服への付与になるから魔力防御のおまけつき!


 そして袋状になっていれば付与できるってことは、こんな事にもなる

 



「で、お前さんの注文がよく分からんのだが……本当にこんなのでいいのか?」


 手土産のワニつくねタネと焼肉ソースをランブさんに渡して、さっそく浴槽と装備の依頼をしたのだが、首をかしげてばかりになってしまった。



内容は、


バックラー

・四角いバックラーの表面に深さ1cmのスリットを作って、縁は落下防止の引っかかりを付ける

・内側は盾の側面に皮ポケットを付ける

(ポケットの開閉が楽に出来る”がま口”)


鉄鎧(胸当て)

・着易さ重視

・表面・背面に1cmほどのスリットを何箇所か追加で付ける

(位置説明で済ませる

・内側の全面(肩も含む4箇所)は鎧に直接大きめのポケットを付ける

・着用者のサイズより少し緩めに作る


武器

・鉄製片手剣2本

・鉄製槌1本

(剣の鞘にもポケットを付ける


 ポケットを付けるのはもちろん後で付与して魔法防御を狙っている。スリットとがま口の説明には手間取ったが、さすがに袋を差し込みたいとは言えずに厚皮でごまかしておいた。まだ色々試してみないと分からないが、急遽決まったのでこの辺りが限界だろう。



 袋を防御に使うには、袋に直接その攻撃が当たった場合のみなのだ。つまり、なんとかして表面に袋をださないと魔法も物理も防具を突き抜けて壊した後でないと効果が発揮されない。

 そこでバックラーは袋を表に出せるようにし更にポケットを付け、鎧はスリットを何箇所かに分けて取り付け、そこに厚い袋を差し込んで全面に出して覆えるようにした。更に鎧も付与した上に内側ポケットに厚い袋を入れて命綱にしようというわけだ。


今はここまでしか思い浮かばなかったが、防具は色々改良の余地しかないなぁ。

 しかし、まさか美李ちゃんはハンマーを選ぶとは……でもまだ子供だし斬るよりはマシなのかな?




 ランブさんへの装備内容の方で時間を取られすぎたが、浴槽も無事に発注できた。こちらは武器同様、鉄製のものに土の術士による錆防止してもらえる。水抜き穴とコルク(のようなもの)栓もぬかりはない。

 さらに、水と火の魔石をつけた小さいタンクでお湯を作り、そこから弁を開くとお湯がでる、給湯器も依頼しておいた。ノズルを換えれば簡易シャワーにもなるのだ!


自分の設計した浴槽と給湯器に満足していると、ランブさんに、


「風呂とはお前さんたちは贅沢じゃな。しかしこの大きさじゃお嬢ちゃん達と一緒に入るにはちと狭すぎるだろう?」


「「違います!」」


 俺と沙里ちゃんが真っ赤になって慌てて否定した。美李ちゃんは槌を振り回して遊ぼうとしてトニアさんに叱られて聞いてなかったようだ。


 あ、ランブさん滅茶苦茶笑ってる!からかわれたのか!?ただでさえ男女の問題は頭抱えたいんだから勘弁してくださいよほんと……



「ハッハッハ!すまんな、その分値引いてやるから。

盾が金貨2枚、鎧が金貨4枚、それぞれのポケットの加工は全部で金貨1枚だな。武器も全部で1枚でいい。錆防止も負けてやろう。あと浴槽は金貨3枚、給湯具とやらは金貨2枚だ」


 後でトニアさんに教えてもらったが、全部で金貨25枚は思った以上に安く済んだらしい。おかげで残金は金貨14枚分以上あるしよかったよかった。完成は4日後らしいので、ついでに既製品の短剣と投げナイフも買って置いた。




 まだ時間があったので、皆に服を買いに行こうと提案したら喜んでくれた。だって沙里ちゃんが来てから毎日掃除洗濯してくれるし美李ちゃんも食材搬入を手伝ってくれるから何か贈りたかったんだよ。あれ、1人暮らし経験者なら分かると思うが、全部やるってほんと大変なんだ。俺はおやじがダメだったからやるしかなかったが。


 トニアさんにも何か贈ると言ったら、制服しか着ないからとやんわり断られてしまった。

やっぱりだめかー。いつも世話になってるんだけどなぁ。




 軽く考えて提案したが、終わった時には晩飯時になっていた。


 時間がなかったので適当な店で持ち帰りの出来る料理を買って、トニアさんは俺達を送ったらすぐ帰った。姉妹はテンションの高いまま2階でファッションショーをしていたらしく、楽しそうな声がしばらく続いていた。



俺は、帰って晩御飯を食べたらすぐにベッドに横になった。



………女の子の買い物って、すごく、長いです。


また近日中にあげますので、よろしくお願いします。

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